先日、香川県の小豆島を訪れたとき、「世界一狭い海峡」を見つけた。


どこから見ても川なのだが……実は海


どう見ても川だけど実は海! 四国にある世界一狭い海峡を渡ってきた
土渕海峡。水はなめてはいないが、しょっぱいはずだ

町を流れるのどかな川……だと思ったら、橋の下に「世界一狭い海峡 土渕海峡 ギネスブック認定」という文字を発見。なんと川ではなくて海だった。
土渕海峡の読み方は「どふちかいきょう」だ。
どう見ても川だけど実は海! 四国にある世界一狭い海峡を渡ってきた
一部遊歩道もある

海峡とは、陸に挟まれたあいだの水路のこと。運河のような雰囲気だが、人工的に造られたものではない。

訪れたのが平日の夕方だということもあり、ほとんど人もおらず、観光地的な派手さはなかった。だが、世界一に認定されたスポットだと思えば、なんだか味わい深いような。

私がいるあいだはとくに舟の往来はなかったが、今も漁船やレジャーボートなど小型船が運航する現役の海峡なのだとか。



どれくらい狭いのか?


どう見ても川だけど実は海! 四国にある世界一狭い海峡を渡ってきた
小豆島の地図。左側のオレンジで書かれているところが「土渕海峡」

看板によれば、土渕海峡は土庄町の前島(土庄地区)と小豆島本島(渕崎地区)に挟まれた延長2.5kmの海峡で、最大幅は400m、最小幅は9.93m。また土庄町役場のサイトによれば、水深は満潮時で3.4m、干潮時で1.5mとのこと。

最小幅は、海峡にかかる3つの橋のひとつ「永代橋」の下。ということで橋を渡ってみる。
どう見ても川だけど実は海! 四国にある世界一狭い海峡を渡ってきた

わずか10秒ほどで海峡が横断できた。
どう見ても川だけど実は海! 四国にある世界一狭い海峡を渡ってきた
永代橋から見た景色。左側に見えるのは土庄町役場


世界一狭い海峡横断証明書が人気


橋のたもとには「お知らせ」が。
どう見ても川だけど実は海! 四国にある世界一狭い海峡を渡ってきた

土庄町役場に行けば、世界一狭い「土渕海峡」の横断記念証明書を発行してもらえるらしい。早速行ってみることに。
ちなみに役場は永代橋のすぐそば。
どう見ても川だけど実は海! 四国にある世界一狭い海峡を渡ってきた
土庄町役場で発行してもらえる「世界一狭い海峡横断証明書」。申請の日付と時刻入り

訪れたときはほかに観光客もおらず、すぐに発行してもらえた。1部100円。せっかくなので台紙付きバージョン(200円)に。証明書ははがきになっており、切手を貼って投函も可能。記念スタンプがあったので押しておいた。

どう見ても川だけど実は海! 四国にある世界一狭い海峡を渡ってきた

役場の人に聞くと、証明書は1996年2月20日から発行しており、年間8000枚ほど発行しているとのこと。
「最近は外国人観光客がツアーバスで来ることも多く、数十枚が1度になくなることもあります」
なお、右上のナンバーがのべ人数というわけではないらしい(印刷ミス等もあるので)。

普段は静かだが、今年はハロウィンイベントの一環として、どでカボチャで作ったランタンが土渕海峡に飾られ、賑やかになったとか。小豆島では日本一大きなカボチャ(どでカボチャ)を決める「日本一どでカボチャ大会」が毎年行われている。


3度目の申請でようやくギネス登録


役場でもらった資料によると、土渕海峡は1996年1月11日に世界一に認定され、1997年版のギネスブックに掲載されたとある。当時の四国新聞によると、ギネスへは3度目の挑戦だったそうで、初めての申請は1990年。
過去2回は「国家的な証明が不備」という理由で却下に。そこで土渕海峡の記載がある国土地理院の地形図や航空写真などを添付して再申請し、見事認定となった。3度目ということであれば、まさに念願の認定だっただろう。

このあたりは複雑な路地が広がり、まるで迷路のようなので「迷路のまち」といわれている地区でもある。ぜひギネス認定の海峡とあわせて散策を楽しんでみてはいかがだろうか。
(古屋江美子)