水に少々つけてみて、色落ちしなかったからOK→洗濯したら、他の衣類に色移りしてしまった……なんて、悲しい経験をしたことはないだろうか。

色落ちの可能性があるものを分けて洗うというのは、当然のこと。

だが、衣類のラベルを見ると、「濃色のものは色落ちのおそれがありますので、他のものと別に洗ってください」「色柄物の場合は、濡れた状態でこすられますと色移りするおそれがあります」といった注意書きがあるものは非常に多く、「全部別々にするの!?」なんて憂鬱な気分になることもある。
しかも、洗濯物が色落ちしてしまった場合に、色移りをしてしまうものと、そうでないものがあるけれど……。色移りするのは、たまたま近くにあったものということ?
NPO日本洗濯ソムリエ協会に聞いた。

「色移りしやすいのは、綿など、天然繊維のものですね。また、洗濯機の状況にもよりますが、色が移るのは、特に近くにあったものというわけではありません。基本的に、服と服がくっついているから移るわけではなく、いったん洗濯水に全部色が移り、水によって他のものに色が移転するんですよ」

いったん色移りしてしまったものは、本当に落ちない。何か回復の方法はあるのだろうか。
「残念ながら、色移りしてしまったものを落とす方法はないですね……。汚れではなく、染まってしまったわけですから」
完全に真っ白なものであれば、漂白剤を使用することもできるが、ワンポイントなどがあっても真っ白になってしまうというのは、想像通り。

色移りしてしまったものは、「染め直す」という方法しかないのだろうか。
「染め直すという方法は確かにありますが、それでご本人が良いかどうかですよね。また、クリーニング屋さんによっては、色移りしてしまったものの染め直しをしてくれるところもありますが、それができるのはウールや麻、綿などの天然繊維のものだけ。
ポリエステルやナイロンなど、化学繊維が含まれているものは染め直しができません」
「色移りしやすい」のも天然繊維であり、「染め直ししやすい」のもやはり天然繊維ということだ。

ところで、赤や青、グリーンなど、鮮やかな色のものを洗う場合には、色落ちの危険を感じるが、色によって「色落ちしやすいもの・しにくいもの」というのもあるのだろうか。
「赤だと落ちるとかいった、色による違いはないんですよ。色落ちしやすいかどうかは、染料の『堅牢度(けんろうど)』といって、染まり具合・色の定着具合の違いによるもので、どんな色でも起こります。ただ、ラベルには堅牢度は書いてないので、やってみないとわからないんですよね」

では、色落ちするかしないかは、どうやってみれば良いのでしょう? 水につけておくしかない?
「水につけておく方法でも、しばらくの間は色が出なかったのに、なが~くつけおきしていてから色が出てくるものもありますからね……」
そんな……。何か方法は?
「全部水につける前にやってみてほしいのは、ティッシュや白い布などをしめらせて、裾などの部分をギュッとおさえつけるという方法です。1分ぐらいおさえつけていて、色が移ったら、他のものと一緒に洗っては絶対にダメですよ」

これからは、「水につけて色が出なかったらセーフ」ではなく、まずはティッシュで試してみます。
(田幸和歌子)
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