身近な人が亡くなった場合、翌年のお正月は「年賀状を出さない」「初詣に行かない」「おせち料理を食べない」のが一般的。ところが、最近はなんと喪中の人用のおせち料理=『もせち』なるものがあるらしい。


先日、『ホットおせち』をご紹介した懐石料亭の『徳(のり)』さんが5年ほど前からつくっているもので、商標登録も済ませているのだとか。「このネーミングは『もちゅう』の“も”と、『おせち』をかけあわせたものです。対象が喪中の人だけにリピーターになることがなく、なかなか浸透しないのですが……」とのことだが、気になるのはその中身。

おせち料理だと、たとえば「 黒豆……まめ(元気)に働けますように」「カズノコ……子孫繁栄」など、お料理にそれぞれ意味があったりするが、もせちではその辺はどうなっているのか……。

「精進料理が基本となります。古来より法事でふるまわれるお食事のことを『お斎(おトキ)』といい、肉類を一切使わず作られていました。
この『お斎』をお正月用にお作りしたのが『もせち』なのです。新鮮な野菜を使った本精進のお料理は、現代人のお口に合うよう、食感や味付けに工夫を凝らしています」

具体的には「蓮根磯辺焼」「慈姑(くわい)コロッケ」「百合根最中」「胡麻豆腐青竹盛り」などなど、手の込んだお料理がギッシリと詰められており、なかなかおいしそう。野菜メインで動物性のものがあまり入っていないので、カラダにもよさそうだ。ふだんから玄米菜食=マクロビオティック風の食生活を心がけている自分としては、(喪中ではないが)ふつうのおせちよりこちらを注文したくなってしまったほど!

「核家族化が進む現代において、私たちが提案する古式に則った“新しいスタイル”のお正月です」とのことで、本精進で作られた『本もせち』のほか、小さい子供にも食べやすくアレンジした『~絆~』、2~3人用のコンパクトな『~想~』などなど、家族構成やシチュエーションに応じて3種類があるそう(全国発送可能)。

そんなわけで、カラダだけでなくココロにもしみじみと優しそうなお料理が詰まった『もせち』。去年起こったできごとに気持ちの上で区切りをつけ、新たな年を生きていく元気を養うという意味では意外と理にかなっているのかもしれませんね!?
(まめこ)