先日の話なんですけどね。
20代前半の友人と「ニューヨークへ行きたいかー!」っていう「アメリカ横断ウルトラクイズ」のお馴染みのセリフの話になった時、「それ実際に見たこと無いんですよねー」と言われました。

こ、これがジェネレーションギャップ!!
「どんなことをしてもニューヨークへ行きたいかー!」「罰ゲームは怖くないかー!」。当たり前のようにみんな知ってると思ったけど、アメリカ横断ウルトラクイズって1977年から1992年(98年にもう一回ある)ですものね、20歳前後なら見たこともないはずですわ。
とはいえ「全国高等学校クイズ選手権」は今も続行中。今もなお高校生達がその青春をかけてクイズに挑みます。この番組、世界一参加人数の多いクイズ番組らしいですよ。
たかがクイズ、されどクイズ。高校生クイズに出場した経験のある人ならもちろん、そうではない人でもテレビを見ていてその過酷さはよーく分かると思います。まさに「知力・体力・時の運」。テレビ番組の場合はショー的要素も絡みますが、生半可な気持ちじゃ絶対勝てないんですよ。中でも一番過酷にして体育会系なのは早押しクイズだ!
勝つコツというのがやはりあるんですよ。単に知識量が多いだけじゃあ勝てません。そのコツを描いたのが杉基イクラ『ナナマル サンバツ』という作品。
「サマーウォーズ」のコミカライズをしていた作家さんです。
早押しクイズと言っても複雑なことは何もありません。ボタンを早く押して、質問に答える。それだけです。しかし0.1秒でも遅かったら負けなのです。じゃあどうすればいいのか?
例えば作中にもある問題を参照してみましょう。
「日本の非核三原則といえば『持たず・作らず・何?』」
簡単ですね。ほとんどの人が「持ち込ませず」と答えられると思います。
そこなのです! 
みんなが知っているからこそ、競技化するのです。
このクイズ、あなたならどこで押しますか?
おそらく「作らず」の「つ」で予想がつくと思います。残り一つですしね。もっとカンのいい人なら「非核」で押せるかもしれませんが、その分博打的要素がアップします。

表紙にも載っているヒロインの深見真理はその押すタイミングを見極める事ができる子です。クイズにおいてどこで、どのスピードでボタンを押すべきかの勝負! 
どんな問題が出題されるのかを予想する力、パターン化された問題に反射的にボタンを押せるかどうか、出題者の読み方を聞き取る集中力、ボタンの遊び(押し込みの余裕の部分)をなくして瞬間的に押せるかどうか……。深見さんはこの一瞬に青春をかけている少女なのです。
一方、主人公の少年越山識は競技型クイズのノウハウはまったく知りません。内気で、目立つのが苦手な地味な少年なんです。高校に入ってからも別に誰かとつるんで何かするなんて気にもならないし……。ところが彼は孤独であるがゆえに、図書室にこもるのがとても好きで、驚異的なほどの読書量を誇る少年でした。
競技型クイズに必要なのは洞察力や集中力や度胸。しかし一番重要な知識量を彼は持ちあわせていました。そこで深見さんは越山くんと一緒にクイズ同好会に入り、競技クイズの世界に挑むことになるのです。
読んだらクイズやってみたくなること間違いなし。ボタンを早押しし、光り、答えたときの快感、味わいたいよ! 競技クイズやったことない人への入門書としても最適な一冊です。
知力・体力。友情、かな?
まあとはいえ。やっぱさー、真剣に集中してクイズのボタン押してる女の子ってかわいいよねっていうマンガなんじゃないかなとも思ったりします。
かわいいよね。高校に戻って女の子とクイズしたいよ!
(たまごまご)
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