review

放射能あびて、250円の弁当食って、日当1日6000円。過酷すぎる『原発労働記』

以前、ちょっとした理由で関東近県の貯水ダムを見学してまわったことがある。ダムに行くと、たいていどこでも見学者向けの資料館が併設されており、ダムの仕組みや、ダムがいかに人々の暮らしに役立っているかを解説した展示が、これ見よがしにかかげられていた。
巨大土木としてのダムには心をときめかせつつ、どことなく違和感もぬぐえなかった。なぜなら、どの説明展示にも奇麗事しか書かれていないからだ。

それでも、ダムはまだマシな方だ。同じような展示スタイルは原子力発電所でも見られるが、こちらは問題がもっと深刻だ。原発を運営する側──電力会社は、口を揃えて「原発は安全で、コストが安く、クリーンなエネルギーです」とアピールしてきた。でも、ひとつも根拠のないお題目だったことを、福島第一原発が証明してしまった。

なんでこんなことになってしまったんだろう。

いまからおよそ30年前に、みずから原発労働者の中に身を投じた人物がいた。その人物、ドキュメンタリー作家として活躍していた堀江邦夫は、政府や電力会社、関係団体など原発推進側が過剰に安全性をアピールする一方で、それ以外の側からは頻繁に危険性を訴える情報が出てくることに、いらだちを感じていたという。そのいらだちの元を確かめるために、作家の身でありながらわざわざ原発の中に労働者として入り込んでいったのだ。

作家から原発労働者となった堀江は、1978年9月28日から1979年4月19日までのおよそ約半年のあいだ、美浜原発、福島第一原発、敦賀原発という3ヶ所を渡り歩いてきた。そこで見聞きしてきたことの記録が、「原発ジプシー」(1979年/現代書館)というタイトルで刊行された。原発の内部では何がおこなわれているのか? 本当に原発はクリーンなのか? そうした疑問に対して、著者自身の実体験を元に書き記された「原発ジプシー」は、日本の原発事業が“それなりに”運営されていた当時でさえも、あまりにショッキングな内容でかなりの注目を浴びた。

あわせて読みたい

レビューの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

もっと読む

トレンドニュースランキング

トレンドランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

エキサイトレビューとは?

エキレビ!では人気のドラマやテレビアニメ、話題の書籍を人気ライターがレビュー、解説! 人気ドラマのあらすじや、話題の書籍が支持される理由の考察、国民的アニメに隠された謎の解明など話題の作品の裏話を紹介。エキサイトニュースは、最新ニュースをすばやくお届け。

その他のオリジナルニュース

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。

お買いものリンク