自動車には「モーターショー」が、ゲームには「ゲームショウ」があります。では、自転車には何があるかご存じでしょうか?

答えは「CYCLE MODE」。
これは年に1回東京と大阪で行われる日本最大の自転車エンターテインメントショーなのです。その東京会場に行ってきました。

さて、自転車の祭典と言われても、え? 「ママチャリ」がたくさん並んでいるの? と思う方もいるかもしれません。でもこれは違います。ママチャリなどではなく、「スポーツバイク」に分類される自転車の祭典なのです。

自転車は大きく分けると、実用車とスポーツバイクとに分けることができます。実用車というのはいわゆる「ママチャリ」のことです。頑丈で、荷物をたくさん運んでも壊れません。まさに実用的です。もう一方のスポーツバイクとは定義が難しいのですが、荷物を運んだりするのが目的じゃなく、走ること自体を楽しむ目的で作られた自転車だと思ってください。どれぐらい走りが違うかというと、個人的な実感ではママチャリで5km走る感覚だったらスポーツバイクだと10kmとか20km走れちゃう。それぐらい、走るのが軽快で、走るだけで楽しくなるのがスポーツバイクなのです。


スポーツバイクはさらにロードバイク(ロードレーサー)、マウンテンバイク、クロスバイク、ミニベロ、折りたたみ自転車、ランドナー、リカンベント、ピストといった、用途や形状で分かれたさまざまな種類のものがあります。自動車でもF1みたいに舗装された道を走るものから、ダートを走るラリーカーみたいなものまでありますよね。あんな感じに自転車でも走る道によって、種類が分かれているというわけです。

このCYCLE MODEはそんなスポーツバイクの最大のお祭りで、2012年モデルが見れたり、メーカーの人にお話を聞いたり、プロ選手に会えたり、トークショーがあったり、試乗できたりしちゃう、そんなイベントなのです。

特にすごいのは、実際の自転車に試乗できちゃうことでしょう。スポーツバイク、とくにロードバイクはとてもお値段がお高い乗り物です。自転車に興味無い人だと「え? 高いといってもたかが自転車でしょ? 5〜6万円なんじゃないの?」と言う人もいますが、高いものだと桁が2つは違います。はい。100万円を超えるものもあるんです。まあさすがにそれはごく一部の超高いものになるのですが、それでも50万円ぐらいのロードバイクはごろごろしています。ちょっとした車が買えちゃうわけですね。

そうなると、さすがにまったく試乗しないで乗るのは勇気が必要になります。
そこで、こういうイベントがあるわけなのです。各メーカーが出している試乗用自転車には乗り放題なので、欲しい自転車が複数あって迷っていたら両方乗ってみて試してみればいいのです。でも毎年試乗は超人気なので、すごく並ぶ必要があるのですが……。

あんな前傾姿勢になって自転車に乗ったことが無い、なんか興味はあるけど怖そうという人も大丈夫。イベント内では試乗前レッスンコーナーがあります。ヘルメットのかぶり方、乗り方、降り方、さらにはギアチェンジまで実際の自転車に触りながら基本を教わることができるので、初心者も安心です。

ちなみに乗るだけではありません。自転車に関わるいろいろな人がトークイベントを行うのもCYCLE MODEの魅力です。ロードレースファンの自分としては、国内や海外で活躍している日本人選手や、海外の選手などがトークショーを行ったり、サイン会を開いてくれます。さらには、『弱虫ペダル』を大好評連載中の渡辺航先生のトークイベントまであったりします。

個人的に自転車そのものやトークショー以外で気になったのは、iPhoneを利用した自転車のローラー台のシステムです。ローラー台という、くるくるまわるローラーの上で自転車を漕ぐというトレーニングに使う機器なのですが、これがiPhoneと同期していろんなことができてしまうというもの。
iPhone上にトレーニングしたいコースを作成すると、走れば走るほどiPhoneに表示される地図の上をマーカーが動くのはまだ序の口で、坂道だったら自動的に負荷がかかったり、速度だけでなくケイデンス(ペダルの回転数)なんかも測れたり、いたれりつくせり。これは正直かなり欲しくなりました。

また、CYCLE MODEでは年々フードコーナーが充実してきていたりもします。東京会場では宮崎の肉巻きおにぎりや大阪のホルモン丼なんかのご当地メニューがありました。ついうっかり食べ損ねたのですが、わらび餅は食べておきたかった……

自転車が好きな人も、そうでない人もそこへ行って色々な自転車に触れると自転車が好きになるだろうこのイベントは、大阪会場で11月12日、13日に開催されます。もし週末予定が無い人は行ってみてはいかがでしょうか。(杉村 啓)
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