ウェブサイトの問い合わせフォームや申込フォームに名前を記載するとき、記入する項目、形式を間違えないように、「記入例」が書いてある場合がある。

名前の例として昔から一般的なものに、「山田太郎」「山田花子」があり、多くのウェブサイトでもこれらの名前が使われているのだが、まれに、これら以外の名前例が使われていることがある。
例えば、少し前から静かな話題を呼んでいる「消しゴムはんこ」を販売するヒノデワシ(株)の問い合わせフォームでは、「はんけし太郎」という名前が使われている。

このように、「名前例」も、時代とともに進化を遂げていそうなので、さまざまなウェブサイトで使われる「新しい名前例」を調べてみた。

山田太郎、山田花子以外の名前例として最も一般的な形式が、名字部分を別のものに変更した「太郎・花子タイプ」である。例えば先に紹介した「はんけし太郎」のほか、豊橋にあるこども未来館のイベント申込フォームにおける「豊橋太郎」や、東芝のオンラインショッピングサイトである東芝ダイレクトの問い合わせフォームにおける「東芝太郎」はこのタイプに含まれる。

「太郎・花子タイプ」は、名前例としてはやや保守的な部類に属するものであり、美容院のヘアカットでいうところの、「いつもより、ちょっとだけ前髪を短くしてください」とか、「いつもより、ちょっとだけ明るめの色に染めてください」といった感じのマイナーチェンジに近いものであると思われる。大企業や公的機関にこのタイプが多いようだ。


ちなみに、東芝ダイレクトの問い合わせフォームにおいては、「東芝太郎」の他に「John Smith」という外国人名も例として記載されており、グローバリゼーションの波はこんなところにも押し寄せている。

一方で、太郎・花子タイプからさらに一歩進んだ、ニュータイプ的な名前例がある。例えば、模型メーカーのタミヤでは「田宮一郎」という名前が使われているし、クーポン共同購入サイトの一休マーケットでは「一休一郎」という名前が使われている。「一郎」は問い合わせフォーム界では太郎につづくメジャーどころであるようだ。

また、大阪コピーライターズクラブの問い合わせフォームに使われている名前例は、「大阪来太(おおさからいた)」であり、瑛太みたいな感じで、これはかなり今っぽい名前である。

さらに、マーケティング支援サービスを提供する(株)アルトビジョンの名前例は、「有鳶時音(あるとびじょん)」。
アニメの主人公でも通用しそうな、かなり素敵な名前である。

このような、ニュータイプな名前例は、クリエイティブ系の会社ウェブサイトに多い印象だが、広告関連の雑誌や講座を手がける(株)宣伝会議の問い合わせフォームは「山田太郎」であったりし、そのギャップにまたグッと来たりする。

ちなみに、『成功みかん箱』など種々のユニークかつ変態的なサービスを展開する変態企業カメレオンの場合、問い合わせフォームの名前例は「ふくとめひろゆき」であるが、これは例というか会社代表であるジョーカー福留氏の本名なのではないかという憶測も飛び交っている。

調査の結果、やはり山田太郎、山田花子から名前例が多様化しつつあることが実証されたが、結局最も多かったのは、「全角で記入してください」や「本名をご記入ください」といった、名前でもなんでもないただの注意事項であり、地味にものすごく調査が大変だったのであった。
(エクソシスト太郎)