漢字はアルファベットと違い、基本的に概念を記した表意文字である。いくつかの単純な絵文字を構成して、日常生活の中でなじみ深いものを表現している漢字や、日常生活とは全く関係ない概念、つまり聖書の記述を秘めていると思える漢字がある。
前のコネタ、漢字に見られる聖書の記述(一)では、「船」について深く考察してみた。今回は広く浅く、漢字の背後にある考えに迫ってみたい。
「造」意味はつくること。何がつくられたのか。
聖書、創世記2章には、この上ない創造の記述が載せられている。それは「神は地面のチリで人を形造り、その鼻孔に命の息を吹き入れられた。すると人は生きた魂になった」というものだ
上記を「造」の構成を説明しよう。
土 + 口 + ノ = 告
土(つち)、つまりチリからつくられて人の口・息に、生命力を表現するノが吹き入れられて、人は生きた魂、告(話すこと)になった。
そして告 + (しんにょう) = 造
話せるようになった魂、つまり人間は、(しんにょう)、つまり歩くことができるようになった、動き出したことを示唆している。
ここでポイント! つくることを意味する略語が「吉」であることを、覚えておきたい。
創世記2章を読み進め。その後「神はエデンに、その東のほうに園を設け、ご自分が形づくった人をそこに置かれた。…それから神は人から取ったあばら骨を女につくり上げ、それを人のところに連れて来られた」。
「園」の中の文字、「吉」の下の文字は2人の人を表している。つまり神に創造された始めの人間夫婦、アダムとエバ2人に、エデンの園という特別に整えられた住みかが与えられて生活していたことを表現している。それでガーデンを表す漢字ができたとされている。以下の通りである。
(吉 + 人 + 人) + □、つまり限定された地 = 園(ガーデン、楽園)
アダムとエバは、私たちと同様、全てを自分で考え、選択する能力、自由意思が付与された人間である。それで日々の生活の中で、エデンの園のどの木から実を食べるかなどの決定を下していた。そんな人間との間に、神が約束されたことがある。創世記から見てみよう。
「神は園の真ん中に命の木を、そして善悪の知識の木を生えさせた。
「禁」は上記の記述をどのように表しているだろう。
禁の構成は、木 + 木 + 示、つまり2本の木と、神の省略文字、示。
2本の木を食べないことで、神に敬意を持って服していること表現できたアダムとエバ。こういった背景が、「禁ずる」ことを示す文字、「禁」から読みとめるのである。
聖書の創世記2章の記述がみられる漢字を考えてみた。その他にも仁、遠、義などの漢字について『The Discovery of Genesis』に解説されている。解説書がなくても、もうお分かりになった方もおられるのでは? パズルを解く感覚で、どんどん漢字を覚えていける面白さを発見できることだろう。
(W.Season/ woofoo studio)