同様のことは、本能寺の変にかぎらずほかの歴史上のできごとにもいえるのではないか。金子はまた《歴史的想像力とは、信頼しうる史料をおさえてこそ発揮しうるものである。根拠がなかったり、信憑性の低い史料を土台にしたりした想像力は、妄想でしかない》とも書く。
「良質な史料を見きわめ、それらを丁寧に解釈する」という姿勢は、この新シリーズに貫かれたもののようだ。何しろ、「史料を読み解く」というコーナーまで設けられ、創刊号では太田牛一『信長記(しんちょうき)』(『信長公記』とも呼ばれる)がとりあげられている。
あるいは、「キーワード新解釈! 戦争」というコーナーでは、1575年の長篠の戦いをとりあげる。信長と徳川家康の連合軍が、武田勝頼率いる騎馬軍団を打ち破ったこの戦いは、信長軍が鉄砲3000挺を3列に配することで、1000挺ずつの一斉射撃を連続させるという“新戦術”で勝利を得たものと、一般的には知られてきた。
だが、この記事にはのっけから、