「岸辺露伴は動かない」は、不定期で掲載されている読み切り短編です。
実はこの岸辺露伴を主人公とした作品は、「岸辺露伴は動かないシリーズ」だけでなく、さまざまなものがあります。少しここでタイトルと掲載年および掲載誌を整理してみましょう。
「岸辺露伴は動かない 〜エピソード16:懺悔室〜」週刊少年ジャンプ1997年30号掲載
「岸辺露伴は動かない −六壁坂−」 ジャンプSQ.2008年1月号掲載
「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」ウルトラジャンプ2010年4月号〜6月号掲載
「岸辺露伴 グッチへ行く」 SPUR2011年10月号掲載
「岸辺露伴は動かない 〜エピソード5:富豪村〜」 週刊少年ジャンプ2012年45号掲載
このうち、懺悔室は短編集「死刑執行中脱獄進行中」に収録され、ルーヴルへ行くは愛蔵版コミックスで1冊にまとまっております。
今回の密漁海岸は週刊少年ジャンプ2013年46号掲載です。約1年ぶりの登場ですね。動かないシリーズは「原作:岸辺露伴 作画:荒木飛呂彦」という体裁を今までとっていたのですが、本作密漁海岸では「荒木飛呂彦」とだけクレジットされています。
六壁坂にエピソード番号が書かれていないのは、別に僕が調べ忘れたわけではありません。外伝1作目のエピソード16:懺悔室を描いた時には、「いくつか外伝のある中の1本というニュアンスが出せれば」ということでエピソード16としたけれども、10年後に2作目を描いた時にはナンバーのことを忘れていて、富豪村のときにナンバーを入れてもらったということが(当時の)担当編集者へのインタビューで明かされております(JOJOVELLER収録)。
密漁海岸の舞台は第四部でおなじみの杜王町になります。イタリア料理人トニオ・トラサルディーとともに海に潜り、ウニならぬアワビを採るというお話です。第四部でも屈指の人気を誇る「イタリア料理を食べに行こう」のトニオがまさかの再登場です。
ちなみに、今回はトニオが出てくるので、料理もテーマのひとつになっています。ここで「協力」にクレジットされているのは森崎友紀。美人すぎる料理研究家として話題になり、現在は同じ週刊少年ジャンプで連載されている「食戟のソーマ」の料理協力も行っています。
なお、ジャンプを買い損ねてしまった方、単行本になるまでグッと我慢する派の方もご安心ください。岸辺露伴は動かないシリーズが単行本にまとまり、11月19日に発売されます。「岸辺露伴グッチへ行く」も収録されるので、これで全ての岸辺露伴シリーズを単行本で読むことができるようになりました。ここできっと「六壁坂」のエピソード番号が明らかになったり、「原作:岸辺露伴 作画:荒木飛呂彦」がきちんと整理されるのでしょう。今からこちらも楽しみでしょうがありません。
(杉村 啓)