いつもジーンズを履いてるという人は多い。しかし、先日放送された『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日)では「ジーンズも、もはやダサいのでは?」という話題が上がっていた。
果たしてジーンズはダサいのか? そもそもジーンズってどういう人が履いたら似合うのか? 『大人のための私服の教科書』(飛鳥新社・11月15日発売)の著者で、スタイリスト、ブランドプロデューサーとして国内外で活躍中の久保田卓也さんにお聞きした。

――そもそも、ジーンズが似合う人ってどんな人ですか?
「顔がサッパリした人、長身で細身の人、姿勢が良い人なら、なおさら似合います」

確かに、同じジーンズでも、モデルが着るとおしゃれに見えるが、道行くお父さんが着るとそうはいかない感じがする。

「デニム素材(ジーンズ)は、服の中でもかなりカジュアル。トータルバランスから考えると、下がデニムパンツならトップス(上着)と靴はカジュアルではないものにしないと、全身カジュアル尽くしでアカ抜けない人になりがちです」

つまり、よくやってしまいがちな「ジーンズの上にTシャツ、靴はスニーカー」にしてしまうと、超ウルトラカジュアルになってしまうのだ。

「もちろん全身カジュアルでもオシャレに決まる人、女子ウケする人はいます。ただ、コーディネート的にはかなりハードルが高いです」

(そうか、ジーンズにTシャツだとハードルが高いのか!
自分がモテなかった理由はそこにあるんだな。
うんうん。服さえ変えればモテるようになれそうだ)

いや、「モテない問題」はそんな単純なものではなさそうな気がする。
――どうしても、ジーンズを履きたいという人はどうしたらいいですか?
「ジーンズ以外をフォーマル寄りなアイテムにしましょう。シャツを襟のついているものにしたり、テーラードジャケットを羽織ったり。靴もスニーカーではなく革靴などにして、とにかく全身のカジュアル感を薄めるようにするとダサく見えません」

●そもそも、ジーンズって洗わなくてもいいものなの?

――「ジーンズは洗わなくてもいい」っていうイメージがあるんですが、本当のところはどうなんですか?
「その人がジーンズに対してこだわりをもっているかどうかにもよります。デニム素材は洗うと色が落ちます。
ジーンズにこだわりがある人で、ヘタに色が落ちると嫌だという人は、あまり洗わない場合があります。つまり、ジーンズにこだわりのある草なぎ(なぎは弓+剪)剛さんが洗わないのと、単に面倒くさがりやのおじさんが洗わないのとでは、意味合いが違うわけです」

特に何のこだわりのない私は、何の気なしに洗わずに履いているのだが・・・。

「くさい場合は洗った方がいいですよ。それに、洗わないと菌が繁殖するし、生地の糸も弱くなって、穴が空きやすくなります」

ええ!?そうだったのか!
私のジーンズがくさいかどうかは別として、ジーンズは洗った方が長持ちするなんて!

●ジーンズ以外に、これがおすすめ

久保田さんは、何の気なしにジーンズを履いている人に、ジーンズから脱却してみることを提唱している。
「まずはチノパンから履いてみましょう。ダボダボだと野暮ったいのでジャストサイズで、とりわけ無地の黒いチノパンがおすすめです。ユニクロでも買えるし、脚が細く長く見えます。それに、ジーンズほどカジュアルではないから、どんな服とでも合わせやすいです」

●ダサい彼氏はどうすればいいのか?

――例えば、ダサい彼氏がいつも似合わないジーンズばかりを履いていて困っている・・・という場合は、どうすればいいでしょう?
「実は、そのテの相談は非常に多くて、昨日も相談されたばかりです(笑)。せっかく似合うと思って女性から服をプレゼントしても、男性はダサいなりにこだわりがあったりしてなかなか着てくれなかったりしますね。そういう場合、男性はうんちく好きな人が多いため、うんちくを足すのがポイントとなります」

例えば、『このパンツの生地、ロンドンの老舗生地メーカーのもので、あのビートルズも愛用してたらしいよ』という感じで、なぜそれが良いのかという背景や歴史を一言足すだけでも反応が違ってくるという。

●久保田さんが編み出したおしゃれの新しい指標『K値』とは?

ところで、久保田さんは「服の清潔感」の値を「カッチリ、すっきり、さっぱり、トラッド(トラディショナル)な感じ」ということで、『K値』と呼んでいる。Kは「カッチリ」のKだ。


「K値は1~10までの10段階。最高にカッチリした雰囲気のK値を10とすると、スーツがまさしく10に値するんです。オン、オフでいうところのオンの状態。では、その真逆をいく1Kの服装は、カジュアル&ラフ&オフな格好を指します。上下ともジャージやスウェットなど、部屋着の格好を1Kとしています」

格好をつけすぎると浮いてしまうため、私服では全身平均7Kくらいにするのが良いそうだ。Tシャツ&ジーンズ以上、ビジネススーツ以下といった具合。(PCの方は関連写真を参考に)

――それでいくと、ジーンズやチノパンは?
「一般的なジーンズのK値はだいたい3~5K程度なので、カッチリ具合が非常に低いです。チノパンは6K。しかも センタープレス(真ん中の折り目)を入れると7Kとなります」

ちなみに、顔にも持って生まれたカッチリ具合(K値)があって、さらに加齢と共にK値は下がってくるとのこと。全身のK値を7Kにするには、顔のK値が低い人ほどフォーマルに近い(=K値の高い)格好を意識した方がいいそうだ。「スマホに顔をかざすだけで顔のカッチリ具合が分かる」なんていうアプリがあったら、肌年齢が分かる機械よりも怖いかもしれない。
(取材・文/やきそばかおる)


●2013年11月15日発売
『大人のための私服の教科書』(久保田卓也著:飛鳥新社)
・どうオシャレしたらいいかわからない30代、40代男性向けに、オリジナルのファッション理論「K値メソッド」による講義
・不潔なロン毛より清潔な薄毛
・「オシャレじゃない」とは「TPOと服装のマッチングができていない」だけ
・目指すのは『コギメン(小綺麗なメンズ)』

【久保田卓也さんプロフィール】
・ファッションスタイリスト、ブランドプロデューサー、専門学校講師
・レディスアパレルで15年、バーバリーを始め様々なブランド・職種を経験。
フランス人デザイナーとともにハイヒールブランドを担当し、毎年パリ・東京で展示会に出展していたことも。2012年からブランド立上げに携わっているおしゃれベビー服ブランドも好評で、来年からいよいよヨーロッパ進出が決まっている。
●久保田卓也さんのサイト
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