第150回記念「芥川賞&直木賞フェスティバル」速報第8弾!
イベント終了後、30分以内に書いて即アップの最速リポートです。
3月2日17時から18時、2日間全8ステージのラストは、
「最終便に間に合えば」「京都まで」で第94回直木賞を受賞した林真理子、
『鉄道員』で第117回直木賞を受賞した浅田次郎のトークイベント。

テーマは「小説講座・人物造型の舞台裏」。

着物姿のふたりがデビューのころの思い出を語るところからスタート。

浅田:デビューがおそかったんですよ。はじめて本を出したのが39歳。当時としては遅かった。45歳のときに直木賞。
その前の年あたりからものすごく忙しくなってベッドで寝た記憶がほとんどない。
林:31歳のときにデビューで、はやくて。直木賞候補4回目で受賞でした。テレビに出まくっていた時期があって、小説書いてもどうせ続かないんだろうみたいな感じ。好意的じゃなかったですね。だから、どうしても欲しいわけ。
寝ないで書いてホテルに缶詰になって、夜も昼も書いていて、倒れたりしました。そのころ、乗ったタクシーの運転手に「あなた、いま何で食べてるの」って心配されたんですよ、テレビ出なくなったから。だから受賞したことは本当にうれしかったですね。

小説を書くとき、人物造型をどこから発想するのかという質問に。

浅田:『黒書院の六兵衛』は、主人公が最初から最後まで口をきかない。江戸城にずっと座ってる。
勝手にいい部屋に移っていく人物なんです。それを上下二巻の小説にした。これ、どこから思いついたかというと夢なんです。城で知らない侍と鬼ごっこをしている夢を見たんです。

林:オール読み物で連載している「中島ハルコの身の上相談室の春子は、はっきりとモデルがいるんですね。出版界でも出没するあるおばさん。
このひと、新幹線のKIOSKで立ち読みするんですよ。『女性自身』に読みたい記事があるんだけど買うのはプライドが許さないとか言うの。立ち読みしてるのに! でも、モデルがいるようで、でも自分じゃないかなと思う。彼女ほどずーずしくないし、小心ですけど、こういうことも言ってみたいな、こんなことしてみたいなという願望がこもっている。

昔の出版社の缶詰秘話や、新聞連載の楽しさや、ユーモア小説、人間観察のポイントなど、さまざまな話題で盛り上がった(このあたりの楽しくためになる話は、エキサイトレビューにて島影真奈美が近日中にリポートします)。

最後に小説を書こうとしている若い人に向けて、ふたりが語った。


林:新人の小説を読むとうまいなーと関心する。でもね、続かないんですよ。一作二作書いても小説家じゃないんですよね。
書きながら作り出していくシステムを作り出さないと、続かない。吐き出して終わりになってしまう。だから、そのシステムをはやく見つけだしてほしい。


浅田:ともかくほんを読みなさい読みなさいとこれだけ言いたい。読まないとダメですよ、底が浅くて。いまは映画やコミックが下地にある人も出てこれるようになった。でも小説を呼んでないと底が浅い。本を読むというのが一番大事なことじゃないかな。ぼくは数えてるわけじゃないけど、年間300冊ぐらいは読んでます。そういう下地があって、自分の文章の良し悪しがわかるし、書くことができる。
(速報担当・米光一成)

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