こうしてスタートした花嫁育成計画は、順調に進んだ。そう、最初のうちは。
2人は禁欲的な生活に耐えた。「家のなかの仕事はすべて妻がすべき」というデイの信条に基づき、家事の大半を2人でこなした。「重要な問題についても話し合えるように」という理由から、地理や物理学、天文学の基礎原理も学んだ。教師(デイ)を喜ばせたい2人の生徒は、彼の教えの数々を熱心に吸収した。
そして、最初の決断の時が来た。デイが選んだのはサブリナだった。ルクレティアは「勉強面でも忍耐力に関してもまったく進歩がなかった」ため、お払い箱となる。婦人帽子屋に400ポンド(今で言えば6万ポンド)の餞別付きで奉公に出された。
対象を1人に絞ったデイは、プライバシーを守れる地に引越し、計画を次の段階に進める。ここにきて、デイの「教育」はより異様なものになっていく。
デイはサブリナに袖をまくりあげ、肩を出すように命じた。それから棒状の蝋燭を手にとって蝋燭の炎で熱し、サブリナに動くことも声をあげることも禁じたうえで、むきだしの背中や腕に蝋を垂らした。(中略)蝋の代わりに針を突き刺されたこともある。
SMにはあらず。これはデイの考える「丈夫な身体を作るため」の試練の1つである。しかも、サブリナは痛みだけでなく、暑さや寒さにも耐えなければならなかった。