生放送にはトラブルがつき物です。それは1986年から30年近く生放送を続けている『ミュージックステーション』(以下『Mステ』)も例外ではありません。

特に『Mステ』で人々の記憶に残っているトラブルといえば、やはり「t.A.T.u.ドタキャン事件」でしょう。

【そもそもt.A.T.u.って誰?】
ていうかt.A.T.u.って一体何者よ?という方もいるでしょうから簡単に説明しましょう。t.A.T.u.はロシアから来た美女2人組で、2000年代前半には日本でも人気になりました。特徴的なのはそのコンセプト。日本の女子高生のような制服を着て、歌うときは手をつないだり、ディープキスをしたりします。いわば”レズ”がコンセプトなんですが、日本でもこのようなパフォーマンスは話題になりました。


【人気絶頂でのMステ】
当時、日本でも人気だった彼女たちは来日して生放送の『Mステ』に出演することに。しかし、結果は最悪の事態に。オープニングこそt.A.T.u.は参加したのですが、なんと出番になっても楽屋から出てこないのです。司会のタモリも必死に呼びかけ、他の出演者の曲順を変え引き延ばすも結局最後まで現れませんでした。

【ミッシェルガンエレファントの伝説的パフォーマンス】
t.A.T.u.のボイコットのため、放送時間が余ってしまいます。そこで急遽、出番を終えたばかりのミッシェルガンエレファントが即興でもう1曲歌うことになりました。
「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」を歌ったのですが、これがタモリも含めてスタジオは大盛り上がりに。
結果として、見た人の心にいつまでも残るようなパフォーマンスを披露したミッシェルガンエレファントの株が大きく上がり、ドタキャンしたt.A.T.u.の株は大暴落しました。

【その後のt.A.T.u.】
このドタキャン騒動が起きて以来、t.A.T.u.の日本での人気は急降下してしまいます。後に東京ドームでコンサートを行った際も半分以上が空席になり、チケットが投げ売りされました。最近になってドタキャンは彼女たちの判断ではなく、t.A.T.u.プロデューサーの判断であったと告白したのですが、後の祭り。まさに自業自得ともいえる結果になってしまいました。


ドタキャン行為も他の国ではスキャンダラスなイメージがつき、より人気が出ることもあったかもしれません。しかし、日本では騒ぎを起こした沢尻エリカや市川海老蔵への批判などからも分かる通り、規律を重んじて、たとえ実力がある人間でも"はみ出し者"は嫌う傾向があります。
このような日本のカルチャーをt.A.T.u.サイドが理解しきれなかったことも日本での人気衰退に繋がったのではないでしょうか。
(さのゆう)
(「t.A.T.u.」)