
■May J. Spring Tour 2015 ~ ReBirthday ~
2015.06.26(FRI) at 昭和女子大学 人見記念講堂
(※画像10点)
自身史上最大のホールツアーを完走
さまざまな社会現象を巻き起こした映画『アナと雪の女王』日本版のエンディングテーマを歌ったことをきっかけに、大ブレイクを果たした歌姫、May J.。勢いもそのままに、今年1月には初の日本武道館公演を敢行。

開演時間が近づくと観客から自然と手拍子が沸き起こる中、May J.のデビューから今までを写真で振り返る映像が流れはじめた。ステージセットの上段にこの日の主役、May J. が立つと、割れんばかりの拍手で迎えられた。上品なペールグリーンのドレスに身を包みながら登場すると観客全員がスタンドアップ! すると、May J. はマイクも持たずにアカペラで美声を響かせ、2009年にカヴァーしたヒット曲「Garden」を歌いはじめたではないか。ホールの隅々まで伸びやかな歌声が行き渡った時、おもむろにDJがプレイを始め、瞬く間にダンスナンバーへと生まれ変わった。サビでは「さあ、皆さんも歌って!」「大きな声を出していきましょう!」とMay J.自らがウォーミングアップを手助けする。ライブに不慣れな小さな子供から年配者までがライブに集う彼女らしい配慮だ。
「改めましてMay J.です」と笑顔をふりまくと、今度はハッピーなラブソング「Be mine~君が好きだよ~」で好きな気持ちをまっすぐに歌い上げた。
「今回のツアータイトルは、生まれ変わる日という意味です。皆さんと思い切り楽しんで、心を解放して、ここを出るときは新しい自分に生まれ変われるように楽しんでいきましょうね。この2年でカバーアルバムを2枚作りましたが、それはテレビ番組に出演したことでカバーアルバムを作ってほしいという声をたくさんいただいたからです。

メドレー冒頭の「手紙~拝啓 十五の君へ~」では、深みのある温かな歌声で、続く「やさしさに包まれたなら」では明るく、「元気を出して」では易しく語りかけるようにと、歌詞の世界観に寄り添うような歌唱で見事に歌い分けるあたりはさすが。メドレーの最後を飾る「Let It Go~ありのままで~(Heartful ver.)」ではイントロが鳴ると大きな歓声が。あまりに自然で、なおかつ堂々と力強く歌い上げた姿を見て、もはや映画の主題歌という断り書きは必要なく、May J.の歌の一つになったのだなと感じた。
大きな拍手と歓声に迎えられ、友達に話しかけるかのように親しげに話しはじめたMay J.。
「今日、暑くない? 私だけ? 28公演という今までで一番長いツアーですが、いよいよセミファイナルまで来てしまいました。この会場には初めて来たんですが、学校の中にある講堂なので入るときは不思議な気持ちがしました(笑)。(会場の最寄り駅の)三軒茶屋には以前からよく来ていて、お気に入りの洋食屋さんでは必ずハンバーグ定食を食べます。スタッフさんはいろいろ違うものも頼むんですが、私は一途なので浮気しません(笑)」
すごい歌声を聴かせた後にも関わらず、なんともまぁ肩から力の抜けたMCだ。歌が上手くてて美形、マルチリンガル……と近寄りがたいイメージも少なからずあるが、May J.という人は意外にも天然系。そんなギャップもまた彼女の大いなる魅力だろう。

飾らないトークの後には、2月にリリースしたシングルでゲームのエンディング曲「Faith」を歌いはじめた。
DJ Timeとダンサーたちによるパフォーマンスを挟んで、次に魅せたのは歌って躍るMay J.だった。ハンドマイクからヘッドセットに替え、ミニスカートの裾を軽やかに翻しながら、ダンサーを従えて軽やかにステップを踏む姿は、確かに近年の彼女のイメージとは少し違うだろう。ディスコ調のナンバーからパワフルかつセクシーな曲、エキゾチックなムード漂うアップチューンまでをしなやかに歌い、躍ってみせたMay J.。
「躍りながら歌う姿はあまりイメージないかもしれませんが、デビュー当時はこんなふうに歌って躍っていました。その姿も知ってもらいたくて懐かしい曲も歌わせてもらいました」
そう語りかけたかと思えば、カバーメドレー第2弾では、「First Love」や「ハナミズキ」などの泣ける名曲をしっとりと丁寧に歌い聴かせた。

彼女のめくるめく歌声の余韻に包まれていたとき、ふと語りはじめたMay J.。
「6枚目のアルバムをリリースした2年ほど前は人生で一番苦しい時期でした。もうCDをリリースできないかもしれない、そんな先が見えないなかで全力を出し尽くそうと全曲の作詞を手がけたりもしました。ですが、私が夢見たような結果は出ませんでした。
「TSUBASA」と名付けられたそのバラードは、失望や苦悩を包み隠すことなく吐露しながらも諦めない気持ちを持ち続けたMay J.だからこそ歌える曲だ。不思議なことに、客席には曲名を思わせるような天使の羽を背負った小さな女の子がその歌を一生懸命に聴き入っていた。たとえもし歌詞の全てを理解していなくても、本当の想いは必ずや伝わっているはず。

ライブも中盤にさしかかると、「皆さんにお知らせがあります! 8月5日に新曲をリリースします。同じ日には(日本)武道館のDVDもリリースすることになりました」。
半年ぶりとなる新曲発表とあって、ファンも嬉しそうに拍手しながらその告知を受け止めた。そのシングルに収められるハートウォームなスローナンバー「ずっとずっと」を歌うと、観客はさらに大きな拍手をMay J.に贈った。
そして、さらなるギフトが! なんと、クリス・ハートがゲストとして駆けつけたのだ。

これまでにもツアーや日本武道館など、いざという時は必ず駆けつけてくれるクリスはMay J.にとってかけがえのない盟友。その息の合った二人が、ディズニー・ソング「A Whole New World」を歌い始めると、その場の空気がより温かで親密なものになった。「1曲だけじゃものたりないですよね?」と観客も味方に付けたMay J.のリクエストを受けて、「366」を再び歌いはじめた。狂おしいほどの恋心を男女の声で聴かせるバージョンは新鮮で、カヴァーの新しい可能性を感じさせていた。「オリジナルよりも半音高いキーで歌っているのにも関わらず、それに合わせて歌ってくれてありがとう」とMay J.が謝意を述べると、温かな歓声と拍手が起き、クリスを見送った。
「そろそろ東京の皆さんの本領を発揮するときです!声を出して盛り上がりましょう。でも、その前にじっとしてたから準備運動をしましょう(笑)」。

会場に集う全員で背伸びをしたり手や首を回したり。実にアットホームでほのぼのとした光景だ。「東京が一番って思わせてください。
最高潮の盛り上がりの中、「みんなの元気な姿を見れて嬉しかった。ありがとうございます」とお礼を伝えた後、ドラマ主題歌として作られた切ないラブバラード「本当の恋」で本編を閉じたMay J.。ペンライトが煌めくなか、しっとりと歌う大人の恋に誰もが浸っていただろう。

鳴り止まないアンコールの声に応えて、華やかなドレスを身にまとって再登壇したMay J.。「今着ているドレスは、実は紅白歌合戦で着たものなんです。あのときは気の枠で固定して動けなかったから、動き回せるように作り替えてきました(笑)」。茶目っ気たっぷりのトークに、再び場内は満面の笑顔になった。

「10歳で映画『ムーラン』を観たとき、クリスティーナ・アギレラの歌に心を掴まれました。その時からずっとディズニーソングを歌うのが私の夢になりましたが、実際に夢が叶って歌うことができてからは恐さを感じることも多くて……。特にテレビの生放送は恐くて仕方がありませんでした。でも、今日のようにライブで小さなお子さんたちが嬉しそうに歌っているのを見ると、歌い続けてきて良かったと心から思います。夢を持ち続ければ叶うんだと思いを込めながらこの歌を歌うことで、そのメッセージを届けていきたい」。そう語りかけた後、英語バージョンを情感込めてダイナミックに歌い上げた。歌い終えた瞬間に、ひと際大きな拍手が鳴ったのは言うまでもない。最後を飾ったのは、ストレートな感謝の気持ちを歌う「ありがとう」。清らかな声で何度も何度もありがとうを繰り返すこの歌では、ラララで再び大合唱となり、みんなが繋がった。
「素晴らしい時間でした。楽しかったです。ありがとうございました! またお会いできるのを楽しみにしています。皆さんが居るから大好きな歌を、ステージを続けられます。音楽で前に進める力になるように頑張ります」。そう力強く宣言して幕を下ろしたMay J.。この夏も各地でのフェスやBLUE NOTEでのライブなどが決まっているという。求められることの喜びを知って生まれ変わった彼女の、歌を届ける旅はまだまだ終わりそうもない。
(取材・文/橘川有子)
≪セットリスト≫
1. Garden
2. Be mine ~君が好きだよ~
3. Cover Medley ~Mellow~
手紙~拝啓 十五の君へ~、やさしさに包まれたなら、元気を出して、キラキラ
4. Let It Go ~ありのままで~(Heartful ver.)
5. Faith
6. ふたりのまほう
-DJ&DANCE-
7. MY GIRLS
8. HERE WE GO
9. DO tha’ Do tha’
-BAND SESSION-
10. Cover Medley ~Ballad~
11. TSUBASA
12. I DREAMED A DREAM
13. ずっとずっと
14. A whole New World / with クリス・ハート
15. 366日 / with クリス・ハート
16. So Beautiful
17. Sunshine Baby!
18. 風になりたい
19. RAINBOW
20. Beautiful
21. Shiny sky
22. 本当の恋
<アンコール>
1. Believe
2. Let it Go (劇中歌/英語歌)
3. ありがとう
≪リリース情報≫
New Single
『Sparkle』
2015.08.05リリース
【CD+DVD盤】
RZCD-59912/B / ¥2,000(税抜)
【CD盤】
RZCD-59913 / ¥1,300(税抜)
≪関連リンク≫
May J. オフィシャルサイト
May J. レーベルサイト
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