■SPITZ THE GREAT JAMBOREE 2014 “FESTIVARENA”
2014.07.09(WED) at 日本武道館
(※画像8点)

SPITZが、2014年の夏に繰り広げた全国アリーナ・ツアー【SPITZ THE GREAT JAMBOREE 2014 “FESTIVARENA”】。90年代後半に行っていた野外ライヴ・シリーズに名づけられていた“THE GREAT JAMBOREE”と、“FESTIVAL”と“ARENA”を合体させた造語“FESTIVARENA”を並べたツアー・タイトルは、特別な時間と華やかな空間への期待、その期待が生み出す高揚感をかきたててくれた。
また、今回のツアー全10公演中4公演を占めたのは日本武道館公演。バンド結成27年、デビュー23年にして、SPITZの武道館初単独公演が遂に実現した。

7月9日。武道館初日。客電が落ちたあとに流れたSEは、デビュー当時のライヴで開演前に流していた曲を元に、「リコシェ号」(3rdアルバム『惑星のかけら』収録)や「scat」(最新アルバム『小さな生き物』収録)などをコラージュしたものだった。SPITZがまるで時空を一気にビュンと飛び越えてきたかのようなこのSEは、まさに“FESTIVARENA”のために選ばれた本編23曲の予告編だったのかもしれない。というのも、デビュー曲「ヒバリのこころ」から最新アルバム『小さな生き物』に収録されていた「野生のポルカ」、ライヴで初披露した「スワン」など、今回のメニューにはSPITZのどの時代にも飛んでいける楽曲が並んでいたからだ。ライヴでは久しぶりに聴くことができた「海とピンク」「僕の天使マリ」。夏の様々な匂いをまとった「プール」「夏の魔物」。誰もが知っているヒット曲「空も飛べるはず」「涙がキラリ☆」。草野マサムネ(Vo&G)がタンバリンを片手にハンドマイクで歌った「俺のすべて」。前奏が鳴った瞬間、場内のあちこちから「待ってました!」といった感じで歓声があがった曲がいくつもあった。
草野マサムネの独特な詞世界と伸びやかに響く歌声。ライヴが楽しくてしょうがないといった感じで、ステージを動き回る田村明浩(B)。繊細さと骨太さを併せ持ったギターを奏でる三輪テツヤ(G)。SPITZサウンドの土台を力強く支える崎山龍男(Dr)。この不動の4人がいつの時代もSPITZにしか作れない世界を常に築いてきたからこそ、彼らは全ての楽曲を同じ場所に立たせることができるのだろう。

彼らの頭上に設置された傘の骨組みのような形をした大小14機のセットに組み込まれた照明群は曲ごとに色彩を変化させ、大海に揺らぐクラゲのように見えたり、手元でわずかな光を輝かせる線香花火に見えたり、星の瞬きのように見えたりと、ステージに様々な景色を作り上げた。また、段差のある舞台にしたり、カラフルな紙吹雪が舞ったりと、SPITZのライヴでは初めての演出もあり、祝祭感を大いに感じることができた。この日、草野マサムネはMCで「おじさんになって初めて武道館をやるのも、なかなかイカしてるんじゃないかと思います」「今日が新たなスタートになりました」と言っていた。“THE GREAT JAMBOREE”という名を冠にしたツアーやライヴが、次にどのタイミングで、どのような形で行われるかはわからない。けれど、ニュー・アルバムを携えたツアーではない場所で、過去も現在も同列に並べ、お祭りのようなステージを作り上げた“FESTIVARENA”は、SPITZがこれからもライヴを続けていくための新しい扉を開けたツアーになったことは間違いない。
(取材・文/松浦靖恵)

≪セットリスト≫
1. 夜を駆ける
2. 海とピンク
3. けもの道
4. 僕の天使マリ
5. 不思議
6. 恋する凡人
7. 空も飛べるはず
8. プール
9. フェイクファー
10. 夏の魔物
11. 涙がキラリ☆
12. エスカルゴ
13. ヒバリのこころ
14. スワン
15. 楓
16. 愛のことば
17. 正夢
18. ハニーハニー
19. エンドロールには早すぎる
20. 8823
21. 野生のポルカ
22. トンガリ'95
23. 俺のすべて
<アンコール>
1. 青い車
2. 晴れの日はプカプカプー

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