「初もの」だらけの意欲作
これぞまさに流れに棹さす新曲リリース。今年4月にグループ初のトリプルA面シングル「ピース / この道を行こう / ナイショデオネガイシマス」を放って勢いづくRIP SLYMEが、またまたトリプルA面シングル「POPCORN NANCY / JUMP with chay / いつまでも」を発表して話題を集めている。
(取材・文/猪又 孝[Do The Monkey])
5人のブレーンだけじゃなくて、他の人がリップをいじったらどうなるのか
――トリプルA面シングルを3ヶ月の間に2枚連続でリリースするというのは、制作が大変だったんじゃないですか?
PES:ある意味、大変でしたけど、昨年はデモ制作期間でたくさん曲を作っていたんですよ。今回はそこで作ったものが2曲入っているので、労力的には通常のシングル1枚分っていう感じもあるかも。そういう意味では楽だったかもしれないです。
――そもそも、どんな経緯で、トリプルA面を2枚連続で出そうという話になったんですか?
SU:タイアップがついて、どんどん楽曲がA面曲になってきたっていう解釈ですね。だから、作っている側としては、そんな特別な意識はないんです。
PES:あと、レコード会社とかスタッフの意向も強いんです。前回、リップにとって新しいカタチで出させてもらったから、それをもう一回やって新しい提案をしていることを広く印象づけようっていう。
――1曲目の「POPCORN NANCY」は、昨年11〜12月に行った『SINGLE JUKE BOX』ツアーですでに披露されていた曲ですが、いつ頃、制作に着手した曲なんですか?
PES:2014年の5月頃ですね。
SU:ずっと寝てたんですよ。グーグーって。
――トラックは初顔合わせとなるJazzin' Parkと共作していますが、これはどういう経緯で実現したんですか?
PES:もともと30曲デモを作るっていうミッションのなかでFUMIYAがオケを作っていたんですけど、レコード会社のスタッフから今井了介さんに共作をお願いしてみないか?という話をもらって。そのときに手ぶらじゃなくて、こっちから何かしら提案したほうがいいだろうということで、僕の作ったトラックとFUMIYAが作った「POPCORN~」の元になったトラックを聴いてもらったんです。
――今井了介さんは、意外といえば意外な人選ですね。
PES:面識はあったけど、意外といえば意外で。でも、それはひとつのトライとして、いつもと違う人たちとやらせてみたいっていうスタッフ側の要望だったんです。リップは、リミックスとかはたくさんあるんだけど、外部クリエイターとイチから曲を作りあげていく、根本的なところで他人にプロデュースを頼むっていうのはあまりなかったから。
――「リップのサウンド作りはFUMIYAとPES」というのが不文律のようにありますからね。
SU:その2人が作るものを誰かが料理したらどうなるのかを見てみたかったっていうことなんですよね。5人のブレーンだけじゃなくて、他の人がリップをいじったらどうなるのか。また違う角度のもの、違う表情のものができるんじゃないかっていう。
PES:で、今井さんにトラックを聴いてもらったら、「POPCORN~」をJazzin' Park (今井了介が主宰するTiny Voice Productionsに作家として所属)にやらせてみたいっていうことになり、こちらも新しい試みだから「ぜひ」と。
――歌詞はどんなふうに作っていったんですか?
SU:最初はタイトルが違ったんです。「POPCORN SUNDAY」だった。明日は月曜で憂鬱だけど、日曜の午後を有意義に過ごそう、みたいな。そんなテーマだったんです。
PES:そこからRYO-Zくんが「POPCORN SUNDAY」って付けて。ポップコーンを食べながら映画でも観て嫌なこと忘れよう、みたいな感じで書いたんです。それを元に今井さんとミーティングしてたら、「もうちょっと主人公の人物像が見えたほうがいいんじゃない? 女の子の主役を作っちゃおうよ」っていうことになり、そのときにSUさんがいきなり「ナンシー」って言ったんですよ(笑)。
――パッとひらめいた(笑)。
SU:ポップコーン……んー、ナンシーだ!って(笑)。そのとき会話していた女の子像のことを考えてたらこの名前が浮かんだんです。
PES:なんかね、エロが欲しい、エロが足りないっていう要望だったんです。
――今井さんのアイデアもあるし、RYO-Zさんのアイデアもあるし。
SU:メロディーを作ったのはJazzin' Parkだしっていう。
「ここにきてドエロの歌をうたってるっていう(笑)」(SU)
――「POPCORN NANCY」というタイトルに落ち着いたあとは、どんなイメージで書き進めていったんですか?
SU:自分だけが口説いてると思ったら、みんな狙いに行ってた女っていう。
――主人公は尻軽女ということでOK?
SU:そうでしょうね。いわゆるビッチ。いないことないですからね、世の中に。でも、そういうテーマを思いきり歌うっていうのも今までないし、今回は外部のクリエイターと作るということで、いろいろチャレンジしてた感覚が強いんです。だから、内容も今井さんの提案に乗っかってやってみたっていう。
――果たして、楽曲はリップのシングル史上いちばんエロい歌詞になりましたよね。妖しさ満点の「熱帯夜」は“どうにかなりそう”な気持ちでとどめてたけど、今回はもう女の子とベッドインしちゃってる。そういう意味ではメジャーデビュー15年目にして攻めてる曲なんですよね。
SU:そう。ここにきてドエロの歌をうたってるっていう(笑)。
――この曲のミュージックビデオ(以下MV)で、新進注目女優の清野菜名さんを起用した理由は?
PES:MVを作ることになって、スタッフから最初に出てきた案が、エロティックな女の子に僕ら5人が翻弄されちゃうっていうもので。「それ、『SLY』でもやりましたけど?」って(笑)。
――また外国人さんをキャスティングですか、と(笑)。
SU:それも同じ案、出ました(笑)。だから「なんでまた外国人?」って。曲の世界観をそのまま表現しようとしてたんですよね、最初は。
PES:だったら、僕は曲の世界観と全然関係なく、たとえば女の子の筋肉がすごくなっていくとか、女の子がアクションとか殺陣をするとか、もしくはゴレンジャーみたいな戦隊系の女性ヒーローみたいな、曲のエロティックさとは関係ない方がいいと言っていて。
――彼女が出演した「TOKYO TRIBE」からひらめいたのかな?
PES:そうです。それで菜名ちゃんにオファーしたら、引き受けてくれて。
――「ナンシー」という方向ではなく、ポップコーン=弾けるというイメージの方向にフォーカスしていこうということだったんですね。
SU:そうですね。俺たちが女の子を口説いていくっていうんじゃなく、俺たちが女の子に助けてもらってるっていう。
――MVでは、清野さんがリップと一緒に歌って踊りつつ、迫る敵をなぎ倒す映像になっていますが、撮影現場はどうでしたか?
PES:菜名ちゃんとはその現場が初顔合わせだったんです。だけど、当日は雨が降っちゃって。晴れ間を見ながらちょこちょこ撮影していったんですけど、足元が滑るし、危ないなぁと思っていて。
SU:本人もやりづらかったって言ってましたね。
PES:けど、きっちりウォーミングアップしてテンション高くやってくれて。
SU:菜名ちゃんはずっと練習してたんですよ、マイクロバスの中で。
PES:見習いたいです、その前向きさ。おかげで、時間がない中でも良いものができたなって思ってます。
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≪リリース情報≫
■New Single
『POPCORN NANCY / JUMP with chay / いつまでも』
2015.07.29リリース
【完全生産限定盤】
WPCL-12158 / ¥2,200(税抜)
※5,555枚限定盤
※アロハリップくんビーチクッション付
[収録曲]
1. 1POPCORN NANCY
2. JUMP with chay
3. いつまでも
4. Laugh Maniac(Senor Coconut remix)
-Bonus Track-
5. STEPPER'S DELIGHT(TRICKY REMIX)
6. Don't Panic(Ugly Duckling Remix)
7. 黄昏サラウンド(tofubeats REMIX)
【通常盤】
WPCL-12159 / ¥1,600(税抜)
※初回プレス分:ステッカー付
[収録曲]
1. 1POPCORN NANCY
2. JUMP with chay
3. いつまでも
4. Laugh Maniac(Senor Coconut remix)
-Bonus Track-
5. STEPPER'S DELIGHT(TRICKY REMIX)
6. Don't Panic(Ugly Duckling Remix)
7. 黄昏サラウンド(tofubeats REMIX)
■10th Album
『10』
2015.09.30リリース
WPCL-12240 / ¥3,000(税抜)
【初回プレス盤】
デジパック仕様/スペシャル封入特典予定
※初回プレス盤と通常出荷盤のジャケットの色が異なります
[収録曲]
1.Powers of Ten
2.ピース
3.POPCORN NANCY(Album ver.)
4.KINGDOM
5.だいたいQuantize
6.いつまでも
7.青空
8.気持ちいい for Men
9.TIDE
10.Happy Hour
11.JUMP with chay
12.Vibeman feat.在日ファンク
13.メトロポリス
14.この道を行こう
15.時のひとひら
≪ツアー情報≫
【RIP SLYME “Tour of Ten”】
2015年10月30日(金)千葉・市川市文化会館 大ホール
2015年11月2日(月)神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
2015年11月3日(火・祝)静岡・静岡市民文化会館 大ホール
2015年11月12日(木)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
2015年11月14日(土)広島・広島文化学園HBGホール(広島市文化交流会館)
2015年11月15日(日)愛媛・松山市民会館 大ホール
2015年11月23日(月・祝)茨城・茨城県民文化センター 大ホール
2015年11月27日(金)北海道・わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
2015年11月29日(日)宮城・仙台サンプラザホール
2015年12月5日(土)石川・金沢本多の森ホール
2015年12月6日(日)新潟・新潟県民会館 大ホール
2015年12月15日(火)岡山・倉敷市民会館
2015年12月17日(木)熊本・市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)
2015年12月19日(土)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
2015年12月21日(月)大阪・大阪フェスティバルホール
2015年12月22日(火)大阪・大阪フェスティバルホール
2015年12月26日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(名古屋市民会館)
2015年12月27日(日)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(名古屋市民会館)
2016年1月9日(土)東京・日本武道館
2016年1月10日(日)東京・日本武道館
≪関連リンク≫
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