
■New Single『ピース オブ ケイク -愛を叫ぼう- feat. 峯田和伸』インタビュー(1/2)
衝動的な女とロマンティックな男の激しい愛のぶつかり合いを描く
加藤ミリヤの新曲「ピース オブ ケイク -愛を叫ぼう- feat. 峯田和伸」は、多部未華子と綾野剛が主演する話題の映画『ピース オブ ケイク』の主題歌。のっけから二人のシャウトが絡み合う激情型疾走系ロックチューンだ。作曲はNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』('13年)の劇伴を手掛けた大友良英。映画にも出演する峯田(銀杏BOYZ)とのコラボは正直意外な組み合わせだが、果たして楽曲はどのように作られたのか。二人の顔が急接近する衝撃的なミュージックビデオの撮影話を含め、楽曲制作の舞台裏に迫った。一方、カップリングには最先端のクラブ系サウンドを聴かせる「U can love me」と「LIFE IS A SONG」を収録。音像は違えど3曲に通じる想いとは!? 今、ミリヤはどんなものを求めて音楽を作っているのだろうか。
(取材・文/猪又 孝[Do The Monkey])
まさか峯田さんとやれるとは、っていう感じでした
――新曲は、映画を監督された田口トモロヲさんからの指名で作られたそうですね。
加藤ミリヤ(以下、ミリヤ):そうなんです。田口監督の作品は全部観てるし、原作も大好きだったので、すごく嬉しいお話で。だからもう、ぜひやりたいって。
――監督から具体的な曲調のイメージも伝えられたんですか?
ミリヤ:私の「LALALA feat. 若旦那」みたいな。ああいうパワフルなバンドサウンドで、男性と歌っている曲っていうイメージだったらしいんです。だったら映画にも出られている峯田さんと一緒にやったらどう?って。
――峯田さんはトモロヲ組ですからね。
ミリヤ:だから、私的には本当“棚ぼた”で。中学時代、ゴイステ(GOING STEADY)のときからすごくファンだったので、まさか峯田さんとやれるとは、っていう感じでした。
――正直、意外なコラボだったんですが、ゴイステはどんなキッカケで聴くようになったんですか?
ミリヤ:それこそ私は中学時代なんて「ヒップホップしか聴かない!」みたいな感じだったんですけど、当時、私の面倒をデビュー前から見ていてくれたソニーの方に「たぶんミリヤはこの人の歌詞の世界が好きだと思う」と言われてCDをいただいたんですよ。そしたらハマっちゃったっていう。それが中1ですね。
――なるほど、まずは歌詞にシンパシーを覚えたんですね。ゴイステも思春期の悶々とした感情を歌うのが特徴だったから。
ミリヤ:そう。自分も思春期だったし、女子なんですけど、ああいう感じが響いて。で、ライブに行ってみたいと思って放課後に制服のまま行ったんです。名古屋のクアトロだったかな。最初からは観られなかったんですけど、会場に入ったらちょうど峯田さんがダイブしてて。
――まさかポロリはしてないよね?
ミリヤ:してなかったです(笑)。けど上半身は脱いでたかも。そういう文化とか知らなかったし、ダイブして人の上を泳いでいく光景を初めて見て、「なんだ、これ!?」みたいな。一人で行ったから超怖くて(笑)、ずっと柱の陰から見てたんですよ。
――でも、そごく興味は煽られるっていう。
ミリヤ:そうなんです。大人しそうな男の人たちが「ウォーッ!」ってなっていて。これはひとつの宗教だ、すごいと思って、そのカリスマ性に感激して帰ったんです。
――その後の銀杏BOYZもチェックしたり?
ミリヤ:銀杏になっても聴いてました。ゴイステの『童貞ソー・ヤング』もずっと聴いてましたし。でも、峯田さんは、私みたいなタイプは毛嫌いするほうじゃないかと勝手に思ってたんですね。そしたら私の「ディア ロンリーガール」を当時買って聴いてくださっていたらしくて。そういう接点があったので、結果、やりやすかったですね。

――今回は、映画の音楽監督を務めている大友良英さんが作曲を手掛けていますが、楽曲制作はどんなふうに進めていったんですか?
ミリヤ:先に歌詞が欲しいと言われていたので、峯田さんと2人で先に作詞作業をして、それを大友さんが見てガイドとなるメロディーを作られたんです。その後は大友さんが集めたバンドの方とセッションして作っていって。
――歌詞は映画のどんな部分にフォーカスして書いたんですか?
ミリヤ:好きすぎて傷つけたい、みたいな。好きだからこそ(相手のことを)噛みたいみたいな感じを描きたいなと思ったんです。で、まずは「ピース オブ ケイク」っていう題名から、好きという気持ちを「あなたを食べちゃいたい」っていう風に言い換えたいなと思って書き出して。あと、映画で多部(未華子)さんが「ダイッキライ!」って言うから「大嫌い」っていう言葉も入れたいなとか。なので、私は多部さんが演じる(梅宮)志乃をイメージして書いていったんです。
――ミリヤさんのパートは衝動的な感じが滲み出た歌詞ですよね。
ミリヤ:そう。逆に峯田さんのほうはロマンチックな歌詞で。峯田さんとは事前の打ち合わせをせず、文通みたいな感じでメールをやりとりして作っていったんですけど、送ってきてくれた歌詞がすごく良くて。だったら、私のほうはもっと現実的な感じというか、剥き出しな感じの女性像にするべきかなと思って書いていったんです。

翔太とでさえ、あんなに顔を近づけたことはないですから(笑)
――バンドのみなさんとのセッション、レコーディングはどうでしたか?
ミリヤ:バンドのみなさんは全員キャリアのある方々だし、最初に入ったスタジオも自分が普段使わないような、タバコ臭い、アンダーグラウンドみたいな場所で(笑)。レコーディングもBPMが決まっていないというか、クリックを聴かずにドラムの人の体感リズムで録っていくやり方は初めてで、なにもかも新鮮でした。一人で「こういうのを作りたい」と言っていつものメンバーと作っていくのもいいですけど、違うやり方をするとやっぱり勉強になりますね。
――ミュージックビデオは猥雑なムードたっぷりですが、どんなコンセプトで撮ったんですか?
ミリヤ:私が監督に伝えたテーマは「ジプシー」だったんです。私と峯田さんの二人が放浪していて、見知らぬ場所……愛に疲れたり、愛を諦めたり、愛に傷ついてる人たちが自堕落な生活を送っている場所に辿り着いて、愛することの必要を叫ぶっていう。そういう設定なんだけど、歌っている二人は何かをスパークさせてるようにしたかったので、パフォーマンスは自由にいきましょうということにしたんです。そしたら私が思っていた以上に峯田さんが攻めてきて(笑)。
――グングン顔を近づけてきますからね(笑)。
ミリヤ:(清水)翔太とでさえ、あんなに顔を近づけたことはないですから(笑)。
――最初に見たとき、「もう、このままキスしちゃえ!」って思いましたよ。それくらい真に迫る感じがあったし、エモーショナルだったから。
ミリヤ:けど、それくらいドキドキするのをやりたかったし、峯田さんのパワーがすごかったから、これは画的にすごく強くなるだろうなと思って。向こうの愛がガンと来たら、こっちも愛をガンと投げ返すみたいな感じを見せられたらいいなと思ってたから、迫ってくる峯田さんの目を見て、「来る、来る、来る!」みたいな。「逸らしちゃダメ、逸らしたら負け」って。そんなことを思いながら歌ってたと思われたくないだけど(笑)、そう思ってました、私は。
――緊張感も大事だろうから、そんなにリハーサルも重ねてないんでしょうね。
ミリヤ:そうなんです。何回かしただけ。だから普通より撮影時間はすごく短かったんですけど、疲労感はヤバかったですから。家に帰ったらソファに体を投げ出して天井をボーッとしばらく見てたくらいの疲労感(笑)。
――茫然自失というか。なにかを奪われた、みたいな(笑)。
ミリヤ:そう(笑)。まさか耳のそばで叫ばれると思ってなかったし。でも、すごく面白かったです。後日、峯田さんからは「夢のような撮影でした」って言っていただけましたし。

「愛してる!」って言いなよっていうことをいちばん伝えたい
――途中で一瞬、挿入されるソーセージの映像も意味深ですね。
ミリヤ:私が肉を切ってるようなシーンをやりたいって言ったら監督がいろいろ提案してくれて。ソーセージ以外にも生肉が用意されていて、そういう生々しいもの、肉感的な感じが欲しかったんです。ポールダンサーとか周りのカップルとかもそうなんですけど。
――生身感ですよね。肌と肌というより肉体と肉体のぶつかり合い、血が通ってる感じというか。
ミリヤ:そう。そうして世の中に愛を伝えたいんですよね、今回は。「愛してる!」って言いなよっていうことをいちばん伝えたい曲だし、ビデオからもそういうことを感じ取ってもらえたら嬉しいですね。
――2曲目の「U can love me」は、趣をガラッと変えたナンバー。ブロステップとトラップをミックスしたようなクラブサウンドですが、どんなイメージで作ったんですか?
ミリヤ:今、私が好きなジャック・ユーです。
――やっぱり(笑)。
ミリヤ:もう大好きすぎて(笑)。好きすぎて今年、ラスベガスに(ジャック・ユーのメンバーでもある)ディプロのリリースパーティに行ったんですよ。今年6月くらいだったかな。もう音が感動するくらいメチャクチャ良くて。
――ぶっ飛べるような低音が出てる。
ミリヤ:そう。それがメッチャ良くて。私、フロアのいちばん前に行って、2時間くらいずっと踊り続けてましたから。私の数倍ある、でっかい黒人の女たちに負けじと踊りまくっていて(笑)。それからもずっとディプロ熱が冷めなくて、サウンドとして好きだし、夏っぽい感じもあるから、そういうのを1曲やりたいなって。
――サウンドはエッジーですが、メロディーは美しいし、歌詞もパーティーソングじゃないところがポイントですよね。
ミリヤ:そうなんです。私的にはすごく気に入っている歌詞で。最近の向こうのこういう系の曲を聴いていると、音的にはバウンシーな感じでもすごくシリアスなことを歌ってたりして。それで、歌詞は一途な恋愛ものにしたんです。
――3曲目の「LIFE IS A SONG」は、コラボしているプリ機に搭載され、さらに先日のミックスCD『加藤ミリヤ M- MIX ~MASTERMIX Vol.1~』でもチラ出しされてた曲ですね。
ミリヤ:これはエレポップな感じをやりたくて。タイトルのフレーズは、私の親友のおばあちゃんが書いていた言葉にインスパイアされたんです。たまに会いに行くんですけど、「Life is a song」とか 「Life is beautiful」とか、たくさんのlife is ○○を書いたポエムみたいな言葉があって。そこから着想を得て、「みんな人生を楽しんで! 歌うように楽しんで!」っていう思いを込めて書いたんです。
――曲調はアップテンポで軽快だし、歌詞も前向きだし、聴いているとウキウキしてくる曲でした。
ミリヤ:そういう気分なんですよ、今は。愛を叫んでいる曲のほうが世の中に必要だと思ってるし、「切ないなぁ……」みたいな曲ってあんまり求められてない時代だと思っていて。なるべく楽しく聴ける、ポジティブに聴ける恋愛ソングのほうが、今は必要とされてる気がしてるんですよね。
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≪動画コメント≫
≪リリース情報≫
New Single
『ピース オブ ケイク―愛を叫ぼう― feat. 峯田和伸』
2015.09.02リリース
【初回生産限定盤】CD+DVD
SRCL-8880~81 / ¥1,556(税抜)
【通常盤初回仕様】CD
SRCL-8882 / ¥1,204(税抜)
[収録曲]
1. ピース オブ ケイク―愛を叫ぼう― feat. 峯田和伸
2. U can love me
3. LIFE IS A SONG
≪映画情報≫
2015年9月5日(土)ロードショー
『ピース オブ ケイク』
出演:多部未華子 綾野剛 松坂桃李 木村文乃 光宗薫 菅田将暉 柄本佑 峯田和伸
原作:ジョージ朝倉「ピース オブ ケイク」(祥伝社フィールコミックス)
監督:田口トモロヲ 脚本:向井康介 音楽:大友良英
主題歌:「ピース オブ ケイク ―愛を叫ぼう―」加藤ミリヤfeat.峯田和伸
製作:「ピース オブ ケイク」製作委員会 配給:ショウゲート
≪ツアー情報≫
【“MILIYAH” LOVEHEART PARTY 2015】
2015年11月2日(月)大阪・Zepp Namba
2015年11月3日(火)大阪・Zepp Namba
2015年11月8日(日)札幌・Zepp Sapporo
2015年11月21日(土)東京・Zepp DiverCityTokyo
2015年11月22日(日)東京・Zepp DiverCityTokyo
2015年11月27日(金)愛知・Zepp Nagoya
2015年11月29日(日)福岡・Zepp Fukuoka
≪関連リンク≫
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