史上初! 夏の四大フェスを制したthe telephonesが語る、今 /インタビュー

■Album『Bye Bye Hello』インタビュー(1/2)

ごちゃごちゃ考えずに“これが今のtelephonesです!”というアルバムにしたかった

the telephonesのニュー・アルバム『Bye Bye Hello』。リリースから1ヶ月以上が経過した今もはっきりとこう思う。これが、活動休止前の4人が最後に鳴らしたかった、今と未来を繋げるロックなのだと。全体像の派手さこそ過去作には劣るが、自由度が高く多様なサウンドプロダクションとじっくり構築されたバンドグルーヴからは、過去最高に彼らが実直に音楽と向き合ったことがはっきりと伝わる。だからこそ、多くの人に聴いてほしいと思う。そして、もうすぐ夏が終わり、11月3日にさいたまスーパーアリーナで開催される【the telephones Presents “Last Party ~We are DISCO!!!~”】まで、もうすぐだ。
(取材・文/三宅正一)

埼玉が危機を迎えたらすぐに再始動するかもしれない

――アルバムのリリースから時間も経過しているので、リリース後の話も聞きたくて。今夏もフェスに出まくってますけど、改めて年内で活動休止するバンドというムードがないのがtelephonesらしいなと。

石毛輝(以下、石毛):よく言われます(笑)。

――バンドにとって念願だったフジロックのグリーンステージにも急遽立てたしね。

石毛:代打ですけどね。

――でも、やっぱりこのバンドは引きが強いんだなと。

石毛:ね。このバンドは何か持ってるんでしょうね。僕もそう思いました。でも、正直、活動休止することを発表してなかったらオファーされなかったと思うので。だから、いろんな偶然と運が重なったと思うんですよね。(主催者の)SMASHの人も飲みながら決めたって言ってましたよ。「ここで代打をお願いするならtelephonesじゃね?」って(笑)。

長島涼平(以下、長島):楽しいときに思い浮かべやすいバンドなのかもしれない(笑)。

石毛:そういうテンションを引き寄せるんだろうね(笑)。ただ、結成当初から洋楽と邦楽の垣根を壊したいということは言っていたから、もしかしたらそれがここにきて評価されたのかなって。

――こんなこと言うのもなんですけど、ニュー・アルバムを聴いて、そして今のtelephonesを見ていると、休止してもこれはすぐに帰ってくるんじゃねえかなって(笑)。

石毛:それもすげえいろんな人に言われますね(笑)。

岡本伸明(以下、岡本):言われるねえ(笑)。

――でしょうね。本人たちからしたら、休止前にそんなことを言われるのはヤかもしれないけど。

長島:いや、そう言ってもらえるのはうれしいですけどね。でも、休止しないなら活動ペースを間違いなく落としていたと思うし、そこはなんとも言えないですね。

石毛:それはそうだね。

岡本:埼玉が危機を迎えたらすぐに再始動するかもしれないですけどね。

――え、どういう意味で?

石毛:俺も何を言いたいのかわかんない(笑)。

岡本:いや、埼玉が東京に吸収合併されそうなったら「ちょっと待て!」って感じで。

松本誠治(以下、松本):ちゃんとインタビューしましょうか(笑)。

史上初! 夏の四大フェスを制したthe telephonesが語る、今 /インタビュー
Bye Bye Hello

自由に作れてホントによかった

――ですね。ニュー・アルバムは素直にこういうtelephonesが聴きたかったと思える作品だったし、しつこいようだけど、また笑顔で再会するために作られたものでもあると思ったんですね。

石毛:ありがとうございます。『Bye Bye Hello』というタイトル自体がそういう感じですもんね。でも、制作中はそういうことはまったく考えずにとにかくいいアルバムを作ろうという一心でした。やっぱり感傷的にアルバムを作りたくはなかったので。とにかくやりたいことをやろうと。結果的に歌詞は感傷的な部分が出てますけど、音を録ってるときはカラッとしてました。

――確かに歌詞は内省的な筆致も多い。

石毛:やっぱり自分が今思ってることしか書けないので、こういう感じになりましたね。

――つまり、サウンドにしても歌詞にしても総じて素直な表現を貫いたということですよね。

石毛:そう、ごちゃごちゃ考えずに「これが今のtelephonesです!」というアルバムにしたかったから。変な話、「この4人で演奏すればカッコいいでしょ」というくらい自信を持って作ったので。

――うん、それがとてもいい。その結果、全体的にBPMも落ちて、サウンドも多様な引き出しが開いたという。

石毛:そう。結局、ひとつのフォーマットにハマらなかったのがtelephonesらしさなのかなと思った。今の海外インディシーンの流れが反映されているところもtelephonesらしいと思うし。

――ニュー・アルバムの曲はまだライブでそんなにやってないんですよね?

岡本:そう、そんなにやってないです。

――このアルバムのモードを中心にライブを組み立てたらお客さんがどういう反応をするのかすごく気になるんですけどね。

岡本:ああ、なるほど。

石毛:うん、それはわかる。ただ、今回はアルバムツアーもやらないし、フェスもおかげさまでトリを務めることが多いんですよ。そうなると、バランスがなかなか難しくて。でもね、ツアーをやらないことが決まってたからこういうアルバムを作れたというのもあるんですよ。

岡本:うん、それはあると思う。

――ああ、なるほど。

石毛:もしツアーが予定されていたら、この4人はまじめだから、きっとライブのことをすごく考えてこういうアルバムにはならなかったと思う。そういう意味では、今回のアルバムはすごくtelephonesらしいんだけど、特殊でもあると思う。

岡本:でも、そういうアルバムをいいと言ってもらえるのはすごくうれしくて。

石毛:そう、作品として評価されることがすごくうれしい。

――いろんな取材を受けたと思いますけど、総じてかなり好評だったでしょう?

石毛:うん、みんないいって言ってくれてます。

――このタイミングでこういうアルバムを作れたことを祝福されるべきだと思う。

石毛:ミーティングをいっぱいして。スタジオに入る前にどういうアルバムを作るか4人ですごく話し合ったから。その結果、4人の自然体を出したいということになって。涼平の発言が大きかったんですよね。

――それはどういう?

長島:本格的な制作に入る前に石毛さんが最初にデモを何曲か持ってきたんですけど、僕はなんかちょっと違うなと思って。

――どういう部分において?

長島:イメージ的にどこか過去を振り返ってるようなデモだったんです。それだったらニュー・アルバムを作らなくていいじゃんって思って。今、自分たちがやりたい音楽、カッコいいと思う音楽を作らないなら意味がないなって。だから、まずはそこをちゃんと話し合いたいと思ったんです。活動休止に入る前のこの1年を楽しくやっていきたいという思いは4人とも共通してるけど、だからといって「最後だからこれでいいか」というアルバムには絶対したくなかったから。

――それはすごく重要な提言でしたね。

石毛:デカかったです。それまでは俺もどこかモヤモヤしていたけど、涼平の話があってから気持ちが晴れて。レコード会社との契約が残っていたから出さなきゃいけないアルバムではなくて、出したいなら出すという選択肢がバンドにあったから。もし契約云々でアルバムを作ってたら消化試合みたいな内容になってたかもしれない。だからこそ自由に作れてホントによかったです。

――11月3日のさいたまスーパーアリーナはtelephonesの同志と言うべきバンドが一同に介しますね。

石毛:うん、そうですね。メンバー4人が個人的に一緒にやりたいバンドで言ったらそれぞれあったと思うんですけど、活動休止前にtelephonesとして最後にやりたいメンツに声をかけさせてもらいました。この10年で僕らが築いたシーンはこういうものだったという風景を見せられたらと思います。

――休止前最後のライブがどういうものになるか想像できますか?

長島:泣くだろうなっていう気はしますけどね。(日本)武道館のときはまったく泣けなかったから。

岡本:ステージでやるべきことが多かったしね。

長島:今も忙しくさせてもらってるからなかなか実感できないけど、最後のライブは「ああ、活動休止するんだな」って否応なしに実感すると思うんですよ。でも、集大成を見せようとしなくてもいいと思っていて。いつも通り100点を取りにいくだけでいいと思う。

松本:そうだね。

岡本:いいこと言う。

石毛:うん、そういうライブにしよう。

――インタビュー2へ

≪動画コメント≫


≪リリース情報≫
Album
『Bye Bye Hello』
2015.07.22リリース

【初回限定盤】(CD+DVD)
TYCT-69083 / ¥3,500(税抜)
【通常盤】(CD)
TYCT-69084 / ¥2,800(税抜)

[収録曲]
1. Amber Romance
2. Something Good
3. Last Night
4. When The Zombies Come 
5. Pretty PrettyPretty
6. Never Say No
7. Thank You DISCO!!!
8. Relationships
9. My Hero
10. Let’s Talk About Music
11. Jesus
12. Love Is All
13. Evergreen<Special Track>
<DVD>※DVD盤のみ収録
●SUPER DISCO Hits !!! RETURNS~FANTASTIC DISCO PARTY NIGHT~
1.Used Skin
2.Love&DISCO
●SUPER DISCO Hits !!! RETURNS~THE BEST DISCO PARTY NIGHT~
3.kiss me, love me, kiss me
●SUPER DISCO Hits!!! “niconico”
4.Four Guys From Saitama City
●SUPER DISCO Hits 9!!!
5.Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!
●武道館 DE DISCO!!!~SUPER DISCO Hits 10!!!
6.Say DISCO
7.Monkey Discooooooo

≪ライブ情報≫
【the telephones Presents “Last Party ~We are DISCO!!!~”】
日程:2015年11月3日(火・祝)
会場:さいたまスーパーアリーナ
時間:開場 9:30 / 開演 11:30
チケット:前売 6,500円
出演:the telephones/サカナクション/9mm Parabellum Bullet/THE BAWDIES/dustbox…and more
問い合わせ:ライブマスターズ 03-6379-4744

≪関連リンク≫
the telephones オフィシャルサイト
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