清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

■■清水翔太 LIVE TOUR 2015
2015.09.10(THU) at 日本武道館
(※画像11点)

「この風景をまた見られたことが心から嬉しいです、どうもありがとう」

今年2月に自身初のベスト盤『ALL SINGLES BEST』をリリースした清水翔太が、9月10日、日本武道館で『清水翔太 LIVE TOUR 2015』のセミファイナル公演を行った。武道館での単独ライブは、『“Naturally” Tour 2012』のファイナル以来、およそ3年ぶり2度目。
前回は緊張で納得のいくパフォーマンスができなかったことを悔やんでおり、ツアー中に発売された『BYE×BYE』のインタビューでも、今回の日本武道館でのリベンジを誓っていた。

そんな気持ちを持って挑んだライブは、セットの2階部分に立つ翔太の「トーキョー!」というシャウト一閃、爽やか哀愁チューン「flower」で始まった。続く「Impossible」は、力強くも華やかなR&Bナンバー。翔太がステージから両手を左右にグンと伸ばし、興奮冷めやらぬ観客を丸ごと抱えて空に舞い上がっていくような錯覚に陥るパフォーマンスが見事で、場内に心が浮き立つような開放感と高揚感が満ちていった。

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

3曲目「DREAM」終了後のこの日最初のMCでは、「この風景をまた見られたことが心から嬉しいです、どうもありがとう」と全国から駆けつけたファンに感謝の気持ちを伝達し、今回のツアータイトルに『ALL SINGLES BEST』というアルバム名が入っていないことを説明。「ベストアルバムのツアーにしてしまうとシングルしかやれなくなっちゃう」「今年はキャリアの集大成にしたい1年だから、もっと清水翔太のいろんな楽曲を聴いてもらいたいし、今の清水翔太ができる一番良いライブをしたかった」と胸裡を明かした。

実際、「flower」も「Impossible」もベスト盤には未収録で、予想外の選曲に戸惑った人もいたかもしれないが、ダンサー陣と共にステップを踏んで見せるなど、翔太のダンサブルな持ち味を伝える好パフォーマンスに得心した人は多いはず。その後、「今日はみんなが予想してない曲とか懐かしい曲もたくさんやるので、最後まで楽しんでください」と挨拶すると、客席から大きな拍手と歓声が沸き起こった。

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

その声援に応えるよう、続いてはちょっと懐かしい「Journey」へ。次曲「with you」と併せ、柔らかな横揺れグルーヴで会場をピースフルなムードで包む。前半のハイライトは続く「シンガーソングライターの唄」。R&B、ゴスペル、カントリー、フォークといったアメリカのルーツ音楽をブレンドしたスワンプロックのようなバンドサウンドと、ダイナミックな起伏を描く情感豊かな歌声でグングン観客を引き込んでいった。


ダンサーの短いショーを挟んでの「KISS」は、前回のツアーで話題を集めた「女性客にキス!?」演出を再現した、濃厚且つ官能的なR&Bワールド。翔太が観客の中から女性をひとり選んでステージに置かれたスツールに座らせ、その周りで♪I wanna kiss you♪というフレーズを何度も何度も狂おしく歌唱。最後、舞台が暗転すると同時に、その女性の首筋にキス(!?)すると悲鳴にも近い歓声が場内に響き渡った。

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

また、「BYE×BYE」ではダンサーと横一列に並んでステップを踏みながらパフォーマンス。アンビエントなムードが漂う耽美なミッドR&Bだが、楽曲のボトムを支えるバウンシーなリズムを強調して表現したところに、翔太の「こういう曲でもリズムはあるんだ」と伝えたい「作家」としてのこだわりを感じた。

ライブ中盤のMCでは、歌手をめざして小6から中3まで毎日歌詞を書いていたというエピソードを披露し、15~16歳の頃に初めて書いた5曲のうちの1曲という紹介から「春風」を演奏。思春期の甘酸っぱい記憶がよみがえるような曲調に、春霞がかかったような淡く優しい空気が場内に立ち込めた。

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

終盤は、代表曲「アイシテル」の演奏中に「せっかく武道館に来たから夏の思い出をつくりたい! 夏と言えばレゲエでしょ!」と観客を煽り、同曲をダンスホールレゲエ調にアレンジして披露。続いて、日本のダンスホールレゲエ界で黎明期から活動するBOY-KENを呼び込み、デビューシングルのカップリングに収録されていたナツカシの「MUSIC feat. BOY-KEN」をパフォーマンス。二人の共演は翔太の1stアルバム『Umbrella』のツアー(2009年)以来。タオルをぶんぶん振り回し、会場をヒートアップさせていった。

その後は、「武道館をアポロシアターにしていいですか?」という名言から彼のキャリアの出発点であるベンEキングのカバー「STAND BY ME」をソウルフルに熱唱。
本編最後はライブのド定番曲「君が好き」で、場内を大いに沸かせて締めくくった。

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

この日はファンの期待に応えてダブルアンコールが実現。2人目のゲスト、加藤ミリヤが登場して大歓声が沸く中、二人で「Sakura Melody」をパフォーマンス。続いて「いろんなラブソングを書いてきたけど、究極のラブソングを書きたいと思ってつくった」という新曲「花束のかわりにメロディーを」がピアノの弾き語りで披露された。ピュアな男の情熱的な想いを歌ったロマンチックなソウルナンバーに場内はうっとり。この曲はNHKドラマ『デザイナーベイビー』の主題歌に決定、併せて10月28日にシングルとして発売されることも報告された。

大トリに演奏されたのはデビュー曲「HOME」。これまで何百回とステージで歌ってきたことを感じさせない熱のこもったバンド演奏と歌唱で、場内のボルテージは最高潮へ。渾身のパフォーマンスに会場からは感謝と興奮による割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

すべての演目を終え、バンドメンバーやダンサー、ゲストと共に横一列に並んで最後の挨拶をしたあと、「武道館は広いから、みんなのところに行って帰ります」とひとりステージに残った翔太。ステージの左手側からちょっとずつ移動しながら客電がついた客席に向けて「ありがとう」と手を振りながら感謝の思いを丁寧に届け、最後の最後に「みんな、武道館に連れてきてくれてありがとう。また、みんなを武道館に連れてこられるよう頑張るから。
また、そのときに一つになろう!」と約束してステージをあとにした。

清水翔太 3年ぶり2度目の日本武道館公演「武道館に連れてきてくれてありがとう」/ライブレポート

ダブルアンコールを含めた全19曲のうち、ベスト盤に収録されているのは半分にも満たない8曲。しかし、CD音源の数段上を行くソウルフルなパフォーマンスと笑いを忘れない親近感あふれるMCで、集まったファン1万人にとって忘れられないベスト=最高の思い出をつくった清水翔太。この上なくエモーショナルでありながら、肩の力は抜けているように見受けられた今回のライブ。前回のリベンジはきっと果たせたことだろう。
(取材・文/猪又 孝[Do The Monkey])

≪セットリスト≫
1. flower
2. Impossible
3. DREAM
4. journey
5. with you
6. シンガーソングライターの唄
7. KISS
8. BYE×BYE
9. 春風
10. I miss you -refrain-
11. アイシテル~アイシテル RAGGAE version
12. MUSIC feat. BOY-KEN
13. STAND BY ME
14. 君が好き
<アンコール>
1. マダオワラナイ
2. Diggin On You
3. Sakura Melody feat. 加藤ミリヤ(※ゲスト:加藤ミリヤ)
4. 花束のかわりにメロディーを
5. HOME

≪リリース情報≫
New Single
『花束のかわりにメロディーを』
2015.10.28リリース

【初回生産限定盤】CD+DVD
SRCL-8917~18 / ¥1,574(税抜)
【通常盤】CD
SRCL-8919 / ¥1,204(税抜)

[収録曲]
1. 花束のかわりにメロディーを
2. カゼニフカレテ
3. BYE×BYE REMIX(仮)
4. 花束のかわりにメロディーを -Instrumental-

≪関連リンク≫
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