
22話は、こんな話
慶応4年(1868年)鳥羽・伏見の戦いで旧幕府軍を負かせた新政府はさらなる戦いのために、商人たちに大金を調達させようとする。
加野屋の正吉(近藤正臣)はショックを受けながらも、新政府のために金を用意しようと考える。山王寺屋では、惣兵衛(柄本佑)が金を用意しようと言うが、菊(萬田久子)は激しく反対する。
やがて、新政府が銀貨の廃止を通告したため大阪で銀目手形を勧銀しようとする客が詰めかける。あいにく腰を悪くして寝ている正吉に代って、あさ(波瑠)が客の応対をする。
前座の雁助
21話では、番頭・亀助(三宅弘城)に注目した。22話では、大番頭の雁助(山内圭哉)の見せ場が。
銀の価値がなくなることをおそれ、これまでずっと柔らかな物腰を続けていた雁助が、加野屋につめかける客に辟易して、ついに声を荒げる。
しっとり系は仮の姿、じつは腕っぷしが強い? と思った・・・のもつかの間、すぐにへなへなに。結局、あさの前座だった。
でも、その緩急の付け方は、さすがの山内圭哉。
大阪出身者だけあって、大阪弁もしっとり系もべらんめえ系も決まる。
弁髪がトレードマークで、主に舞台で活躍。役柄はたいていエキセントリック。
亀助との番頭コンビは、ローゼンクランツとギルデンスターンや、エストラゴンとウラジミールのような名コンビとして昇華する可能性を秘めている。
真打ちのあさ
正吉に筋が通っていて、人の心を掴むと評価されるあさ。
新次郎(玉木宏)から井原西鶴の本を借り、そこから商売の極意を学ぶだけにとどまらず、その本を引用し、新次郎の酔狂にしっかり釘を差すことも忘れない。
にっこり笑って「お早うお帰りやす」とはかなり恐妻度あがってきた。
22話の終わりでは、新次郎に「格別なおなごや」と言われ、店の代表として客の前に立つ。
波瑠の魅力は大きな瞳ともうひとつ、あごのホクロ。これが格別感を際立たせるし、意思の強さも感じさせる。
そういえば、「あさが来た」とつい重ねてしまう漫画「はいからさんが通る」(大正時代のお転婆娘が大活躍していく話)の実写映画で主演した南野陽子も同じところにホクロがあった。
あごのホクロは開拓者のイメージを倍増させるのかも。
(木俣冬)
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