大原櫻子 『カノ嘘』で鮮烈なデビューを飾った少女の止まるところを知らない快進撃を示した2ndツアー

■大原櫻子/【大原櫻子 2nd TOUR 2015 AUTUMN~秋櫻タルトを召し上がれっ☆~】ライブレポート
2015.11.12(THU) at Zepp DiverCity(TOKYO)
(※画像5点)

大原櫻子の2ndツアーは、魅惑的でクセになる味わい

映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』で鮮烈なデビューを飾った大原櫻子。アーティストとして本格的に始動した後も、その快進撃は止まることを知らない。
この春の1stツアーも大盛況だった彼女が、多くのファンの熱望に応えるかたちで『2nd TOUR 2015 AUTUMN~秋櫻(コスモス)タルトを召し上がれっ☆~』を開催。追加公演にしてツアーファイナルとなったZepp DiverCity(TOKYO)でのライブの模様をレポートする。

フロアを埋め尽くす約2,400人のファンは、熱い視線をステージ1点に注いでいた。会場が暗転すると待ちきれない思いが爆発し、大歓声が沸き起こった。と、その熱狂を鎮めるかのように、コツコツコツと地面をヒールで踏み鳴らすリズミカルな音が響いた。続いてドアが開き、「いらっしゃいませ」の声。どうやらカフェに誘われたようだ。ツアータイトルになぞられた粋な演出で本公演はスタートした。

アコースティックギターを抱えて入場する姿は、まだ2度目のツアーとは思えないほど堂々としている。「東京、盛り上がっていくぞ!」の雄叫びで、オーディエンスのテンションは瞬く間にトップギアに入った。歌うのはこの夏を彩った爽やかなサマーチューン「真夏の太陽」。白地にビビッドでカラフルなペイントを施したパンツのセットアップを着こなす姿は、なんともキュートだ。


「次の曲はこのツアーで初披露しています。タオルを回して盛り上がっていきましょう!」と呼びかけて「My Way」に突入。疾走感が痛快な前向きソングを伸びやかに、表情豊かに歌い上げる。骨太なバンドサウンドにも決して負けない確かな歌声に圧倒された。

「改めまして大原櫻子です。ツアーファイナルですから、全12か所で一番大きな声を期待しちゃいますよ! 私の大好きなタルトのように、曲たちを美味しく召し上がってくださいね」と自己紹介。続いて、「せーの! チェリー!!」と大原が呼びかけると、観客が声を合わせて「ブロッサーーム!」と応じる。ファンの間ではもはや恒例のやりとりでさらに距離を縮めたあとは、「私みたいに家にいて今年のハロウィンをあんまり楽しめなかった人も遅ればせながら一緒に楽しみましょう」とポップな「オレンジのハッピーハロウィン」へ。軽やかにステップを踏んで踊ったかと思えば、「ここからはみんなで一緒に歌いましょう」と参加を促す。ギターを弾きながら歌うだけでも精一杯でもおかしくはないが、休む間もなくコミュニケーションをとり続け、魅せ続ける彼女のプロ意識の高さに驚嘆させられた。

大原櫻子 『カノ嘘』で鮮烈なデビューを飾った少女の止まるところを知らない快進撃を示した2ndツアー

心弾むアップチューンが続いたあとは、映画『カノ嘘』挿入歌「ちっぽけな愛のうた」へ。ファンの間でも人気の高いこの曲は、イントロが鳴った瞬間から歓声と拍手が起こった。
バラードをしっとりと歌い上げる姿がスポットライトに浮かび上がり、その切なげな表情は少し大人びて見えた。

「富山から始まった12公演、あっという間でした。みんなは何してた?(笑) (ライブに来るのが)はじめましての人もたくさんいると思いますが、大きな声で助けてほしいな」と話しかけ、歌い始めたのは4thシングル『キミを忘れないよ』のカップリング曲「Dear My Dream」。これまでタフなバンドサウンドを従えて歌うことが多かった大原にとって、クールな打ち込みを軸にしたこの楽曲は大きなチャレンジだったと以前語っていた。マラソンや駅伝中継で流れるタイアップソングで、女性アスリートたちを応援する楽曲として自ら作詞を手がけたことを説明しようとしたが、「実際にマラソン選手にしゅ、しゅ、取材して」と思わず噛んでしまった。実はこの時だけでなくMCでは、「そこで?」と思わず突っ込みたくなるカミっぷりを披露してくれたが、歌もパフォーマンスも完璧なだけに、逆に親しみがわくというもの。むろん、曲が始まるときりりと引き締まった表情になり、夢を追いかけることの大切さを力強く歌いきった。

白熱するバンドセッションをはさみ、大原が衣装チェンジして再登壇。ステージ中央に置かれたキーボードを弾き語りながら「瞳」を丁寧に歌いかける。カラフルな衣装と打って変わって、白の膝丈ドレスを身にまといながらバラードを情感豊かに歌い上げる姿はとてもフェミニンだった。

大原櫻子 『カノ嘘』で鮮烈なデビューを飾った少女の止まるところを知らない快進撃を示した2ndツアー

「今回のツアーもスタイリストさんにわがままを言って衣装を作ってもらいました。前半はタルトを食べてもらうということでコックさんをイメージしたものです。
今日はファイナルでスペシャルな日なので「Special day」を聴いてもらいたいと思います。『コロプラ』のCMで流れているので聴いてくれた人もいるかな。バースデーサプライズをイメージして作った曲なんですが……、あ〜、新曲って緊張するんだよね。みんな、頼んだよ!」

まるで友達に話しかけるかのようなトークの後、ホーンの音色もハッピーなナンバーへ。サビの振り付けを身振り手振りで指導しながら一つの曲をライブ会場全体で作り上げることで、一体感がぐっと増した。

「次はほっこりソングです」と言って、ユーモラスで愛らしい「のり巻きおにぎり」を歌い出した。ギタリスト以外は楽器を手放しておにぎりの被りものをかぶり、急きょ「おにぎり隊」に変身。思わず笑いそうになり手のひらを盾にして視線に入れないようにしてなんとか歌いきった。和気あいあいとしたムードに、誰もが笑顔になった瞬間だった。

温かな余韻の中、新曲で『映画ちびまる子ちゃん』挿入歌「キミを忘れないよ」を歌い始めた大原。自身初となるラブバラードは、原作者のさくらももこ氏が作詞を手がけたものだ。「小さいお子さんもわかる歌詞になるのかなと思っていたら大人っぽい歌詞でどきっとしました」と語ったように、胸がキュンとする切ない初恋の歌をピュアにみずみずしく歌い上げた。


大原櫻子 『カノ嘘』で鮮烈なデビューを飾った少女の止まるところを知らない快進撃を示した2ndツアー

胸がじんとする歌声に酔いしれる間もなく、「東京、まだまだいけるかー!?」と喝を入れる。白いオーバースカートを鮮やかに剥ぎ取ると、ジェリービーンズを散りばめたようなカラフルな光る(!)ミニスカート姿に大変身。スピード感が魅力のロックチューン「明日も」に合わせてキャノン砲が打ち上げられ、怒涛の終盤へなだれ込んだ。

続く、熱いロックナンバー「READY GO!」ではゴールドに煌めくエレキギターをかき鳴らしながら、「東京! まだいけるでしょ」と何度も煽っては、オーディエンスの心に火をつけた。かと思えば、ラストナンバーのウォームなミッドチューン「Happy Days」では優しく歌い聴かせる。すると、天井から無数のハート型の紙吹雪がまるで紙飛行機のように弧を描きながらくるくると舞い降りてきたではないか。その光景はなんとも幸せで、誰もがハッピーな気持ちで満たされたにちがいない。

本編が終わると、すぐさまアンコールがかかった。デニムのホットパンツ姿でステージに再び姿を見せると、「さくちゃん(大原の愛称)、かわいい!」の声があちこちから飛んだ。照れ笑いしながら「アンコール、ありがとうございます。今日は最後だからスペシャルなゲストをお呼びしました!」と招き入れたのは、なんと国民的キャラクターのちびまる子ちゃん。意外なゲストに観客も大興奮。
「身長、私と一緒くらいだね(笑)」とじゃれあいながら、「みんな絶対に知ってる、あの曲を歌います」と宣言して、「おどるポンポコリン」を全員で大合唱した。

大原櫻子 『カノ嘘』で鮮烈なデビューを飾った少女の止まるところを知らない快進撃を示した2ndツアー

「こんなにたくさんの人と一緒に歌えて幸せです。各地でいろんな会話をして、全てがすてきな思い出です。こうして歌えるのも皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。これで最後の1曲になりました。もっと食べたいなって思ってくれた人は、次のライブに来てくれますよね? では、感謝の気持ちを込めて歌います」

まっすぐな「ありがとう」の気持ちを伝えた後、1stシングル「サンキュー。」を丁寧に心を込めて歌いきった。伸びやかで明るく、温かい。まるで大原櫻子そのもののような楽曲と歌声だなと思った。全てを歌い終えた後も立ち去りがたそうに、ステージを行ったり来たりしてはギターのピックをフロアへと投げ入れていた大原。最後の最後にマイクを通さない生の声で「ありがとうございました!」と叫び、深々と頭を下げて感謝の気持ちを伝えていた姿がとても印象的だった。

もともと歌唱力に定評があったが、ステージ上でのパフォーマンスの素晴らしさは目を見張るものがあり、その完成度はまるで一人で演じた筋書きのない舞台かミュージカルのようにすら感じたほど。
年明け1月には、初挑戦となるミュージカル舞台「地球ゴージャスプロデュース公演Vol.14『The Love Bugs』」への出演も控えている。演技と音楽が活動の本流であり、互いに相乗効果を生むと語っていただけに、その舞台を経てさらにパワーアップした大原が、ライブで何を魅せ、驚かせてくれるか、ますます楽しみになる魅惑的で味わい深い夜だった。
(取材・文/橘川有子)

≪セットリスト≫
1. 真夏の太陽
2. My Way
3. オレンジのハッピ^―ハ口ウィン
4. Glorious morning
5. ちっぽけな愛のうた
6. Dear My Dream
7. 瞳
8. Special day
9. のり巻きおにぎり
10. キミを忘れないよ
12. READY GO!
13. Happy Days
<アンコール>
1. おどるポンポコリン
2. サンキュー。

≪リリース情報≫
4th Single
『キミを忘れないよ』
2015.11.04リリース

【初回限定盤A】CD+DVD
VIZL-907 / ¥1,500(税抜)
【初回限定盤B】CD+DVD
VIZL-908 / ¥1,500(税抜)
【通常盤】CD
VICL-37123 / ¥1,200(税抜)

[収録曲]
1. キミを忘れないよ
2. Dear My Dream
3. Special day
4. キミを忘れないよ(instrumental)
5. Dear My Dream(instrumental)
6. Special day(instrumental)
<DVD>
「キミを忘れないよ」Music Video+メイキング収録(初回限定盤Aのみ収録)
「Dear My Dream」Music Video+メイキング収録(初回限定盤Bのみ収録)

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