9話の天音の乱によって、高嶺(山下智久)は潤子(石原さとみ)との結婚を強引に白紙にして寺を選んだ。これまでで最も暗いスタートを切った「5時から9時まで」10話。

フジテレビ系ドラマ「5→9~私に恋したお坊さん~」オリジナルサウンドトラック/ポニーキャニオン
恋などしなければよかった……死んだように生きる高嶺
「誰かを自分で愛して欲しい、そのきっかけにと思って仕組んだ見合いがこのようにお前を傷つけてしまった。許してくれ高嶺……。」
潤子と出会う前の表情に戻ってしまった高嶺を見て住職(小野武彦)が謝った。
「私は感謝しています。潤子さんに出会えたことで沢山の方と知り合えることができ、家族を大切に思う気持ちを学びました。一生の思い出になりました。……ただひとつ、こんなにも辛く悲しいものなら恋などしなければよかった」
高嶺は京都の寺に戻ろうとする天音を引き止めた。
「行かなくてよろしい。あの方が家族を大事にするように、私も家族を大切にすると決めたのです」
高嶺は潤子との別れを決めただけじゃなかったんだ。
ELSメンバーの作戦で最後のデート
二人の別れは合鍵を返しに来た高嶺によって桜庭家に伝えられた。家族の前でアジフライを頬張りながらぼろぼろと涙をこぼす潤子が切なかった。
一時はつきまとわれているほど言い寄られていたのに、結婚を前提に仕事まで辞めたのに…手のひらを返されたら傷つかないわけがない。
でも潤子の父(上島竜平)は高嶺を追いかけて、こんな時でもやさしく接した。
「こういう日は銭湯行きたくなるよね。
高嶺が初めて味わった明るい家庭、息子のように接してくれたお父さんともお別れだ。
最後まで憧れの上司、清宮の告白
潤子の周りにはいつも人が集まっていた。
「俺がおまえの退職届けを受理するわけないだろう。帰ってこいよ」
いつでもかっこいい清宮(田中圭)。
幼なじみの三嶋(古川雄輝)も、高嶺をだましてデートを企画した。しかし何をしても冷たい態度の高嶺。意志はかたい。ただ、泣いてる潤子に一瞬触れようとした。ムリをしているのが漏れてる。
前を向いて進もうとする潤子のNY行きが決定。出発の前日に清宮がパスを出した。
「会いたい時に会えるってあたりまえじゃないんだぞ。俺の奥さんはもうこの世にはいない、もう会えないんだ」
「桜庭、お前が好きだ。またこうやって誰かを愛せたことが嬉しいんだ。お前も好きな人と一緒になって欲しい」
最後までカッコいい上司だ。
腹を決めたら突き進む潤子はカッコ良かった。そしてやりすぎなほどに一途に相手を想う高嶺も同じ。逃げたし泣いたけど腐らなかった潤子と高嶺。
高嶺が世話になった人へ書いた感謝状。受け取った人たちが寺に集まると、政略結婚が決まっていた香織(吉本実優)が身をひいた。気持ちを誤摩化してでも適当な付き合いをしなかった高嶺は偉い。
そして最も厄介なひばりが潤子の前に現れた。
「私はあなたに会うのがいやでした。
寺の風習と折り合いがあわず寺を出た高嶺の母、迎えにいった父。そこで事故に遭遇した。消せない悲しい過去があったのだ。
二人が破局してからは、たくさんの言葉を聞いた。潤子も高嶺も、そしてひばりも。四六時中一緒に過ごしていたのに、寺に修行に来ていたのに……。好き嫌いを態度には出せても、事態がこじれなければ本音を伝えられないものか。
寺に大きなクリスマスツリー。潤子の前にスーツ姿の高嶺が現れた。
高嶺……いや、常に袈裟姿だった山Pのスーツ姿は新鮮だ。
「お伝えし忘れていたことがあります。なぜあなたのことが好きなのか、あなたでないとダメなのか。
お見合いで即結婚を申し込まれ、つき合ってからも、ちゃんと理由を聞けていなかった。
あなたが桜庭潤子さんだから。あなたがあなただから。僕はどうしてもあなたから目が離せないのです。
あなたといるとほっとするのに、なぜか胸が痛くて苦しくて。それなのにあなたと離れると余計に胸が痛くなる。
あなたと出会うまでどうやって生きてきたんだろうって自分でも思うくらいに
あなたがいないともう僕はダメで、いつからあなたのことが好きなのか自分でもわからない。でも、きっと出会ったときからあなたが好きだ。
あなたがあなただから、あなたに出会ってしまったから。
……あなたを愛してます。泣かせてごめんなさい。
言葉が止まらない高嶺。
でも真剣な表情で優しい声、このセリフに違和感がない俳優は限られるだろう。やっぱり“山Pは人類のキセキ”だ。
「許さないよ。許さない、だから一生かけて謝って」
上目づかいの潤子、ため口が愛らしい。高嶺が片膝をついて指輪を差し出す。
「潤子さん結婚してください。私の妻になってください。私と一生過ごして下さい。あなたを幸せにします」
「いいですよ、結婚して差し上げます。あなたの妻になって差し上げます」
やっと、やっと念願のキス!しかもたくさん。潤子を抱き上げて自然に笑い合う二人。これまでキスの寸止めが続いたけれど、過激なラブシーンがないからこそ映える。
アーサー先生と百絵先生、渋谷王子とまさこ、寧々と由希も?無事カップルになり、天音も寺に溶け込んで見事なハッピーエンド。ベタかもしれないけど、これぞ月9という王道のエンディングが清々しい。
(柚月裕実)