
■イ・ホンギ(from FTISLAND)/【LEE HONG GI 1st Solo Concert「Merry 302 MHz」】ライブレポート
2015.12.17(THU) at 神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール
(※画像6点)
一つのジャンルに留まらない幅広い音楽性と遊び心に富んだ演出&表現を見せた、初のソロコンサート
FTISLANDのボーカリスト、イ・ホンギが初のソロコンサート『LEE HONG GI 1st Solo Concert「Merry 302 MHz」』を開催した。関東ではパシフィコ横浜にて12月16日(水)・17日(木)、関西ではグランキューブ大阪にて12月24日(木)・25日(金)の全4公演を実施。
イ・ホンギというラジオ局から様々な音楽を発信する、という1stソロアルバム『AM302』のコンセプトに基づいて、ステージ向かって左手にもラジオブースを設置。ホンギはDJとして随時そのブースに入り、ファンからの悩み相談のお便りに答えては、曲をオンエアする代わりにステージで生演奏、という演出でコンサートは展開した。冒頭の「LOL(loudness of love)」と「Be Your Doll」は、アルバムを共に制作した友人DJ Archとともに披露、FTISLANDでの活動とはまた違った、新たな顔を見せつけた。
続けて、本国韓国で2014年に放送されたホンギの主演ドラマ『百年の花嫁』のOSTから「まだ言えない言葉」も聴かせ、ファンを喜ばせる。アルバム曲の「雨が降ります」も含め、しっとりと聴かせるシークエンスを終えると、DJブースでは等身大の、飾らないホンギのトークを繰り広げた。

ステージに戻ると椅子に腰掛け、「久しぶりに、カッコつけて」と、指を鳴らしてリズムを取りながら歌い始めたのは「マリヤ」。ボサノヴァ調の軽やかなアレンジが実に心地よい。「次も(みんなが)知ってる曲ね。ちょっと行ってみよう!」とニヤリとすると、ドラマ『美男ですね』の劇中歌として知られる「相変わらず」をアコースティックアレンジで披露。「覚えてるか分からないけど、一緒にワンちゃん(ホンギが扮したジェルミの飼い犬・ジョリー)呼んでみようか?」とファンに語り掛けるものの、すぐには思い出せず声が揃わないだろう、と瞬時に判断したのか(※ドラマが放送されたのは2009年のこと)、「ダメだ、あとにしよう(笑)」と機転を効かせる一幕も。大サビの前で無事に「ジョリー!」という掛け声を会場から引き出すと、歌い終わって「久々にジョリーを呼んでみたな」と懐かしんだ。
ジャジーなアレンジで楽しげな雰囲気で聴かせた「一つの言葉」は、途中、「もうちょっと悲しい感じで行けますかね?」とキーボーディストに変調をリクエストし、泣きの演技を交えながら情感たっぷりに歌唱。バンドメンバーらと対話を楽しみ、音のやり取りをするホンギの姿は活き活きとしていた。
中盤を迎えると、スクリーンにはアルバム制作を追ったドキュメンタリーVTRが上映され、観客は、レコーディング風景やジャケット写真、ミュージックビデオ収録等の様子を追った映像に見入った。アルバムについてのインタビュー取材でも語っていたように、このソロ活動の趣旨はあくまでFTISLANDのためであり、「FTISLANDの一部になればいい」というホンギの言葉がVTRでも繰り返されていた。韓国で歌番組に単独出演するホンギを激励するため、FTISLANDのメンバー、イ・ジェジン(Ba)が楽屋を訪れた貴重な映像も。ジェジンがユーモラスな動きをして場を和ませようとしている映像からは、メンバー愛が伝わってきて微笑ましかった。

再びステージに登場したホンギは、セーターに眼鏡のカジュアルスタイルに衣裳チェンジ。アルバム制作にも参加した友人のジャミールをゲストに迎え、ファンのお便りに2人で答えていく。「歌手を目指しているけれど音痴な友だちがいて、真実を告げるかどうか悩んでいる」という相談に対し、「『オレンジ色の空』を歌って録音したものを1年後にビフォーアフターで聴き比べ、直らなかったら諦める、と期限を区切るのはどうか?」と、ホンギは具体的なアドバイスを送った。
1日、自分が王様だと思ったら」と、助言から「Kings For A Day」へと話をなだらかに繋げ、眼鏡をサングラスに掛け替えたホンギは、ブースを出てジャミールと共に英語で、ヒップホップスタイルでパフォーマンス。2人は肩を組みジャンプしながら陽気なテンションで歌い踊った。
続く「Do or Die」では再びホンギ一人でのパフォーマンスに戻り、マイクスタンド遣いも鮮やかなロックシンガーに早変わり。
FTISLANDの「FREEDOM」では、「俺もこの曲初めて歌うから、もうちょっとノッてくれたらうれしいです」と告げて歌い始めたのは、アルバム収録曲「Anywhere」。サウンドはEDMだが、ズンズンと低くうねるビートに乗せてジャンプし、髪を振り乱すホンギの歌声はひたすら熱く、ロック魂に溢れていた。

ブースに再び入ったホンギは、EDMコーナーを振り返ると、「ノリ方がうまくなってきて驚いた。(FTISLANDのファンとして)バンドサウンドに慣れてる人たちだから、“EDM大丈夫かな?”って心配してたけど、大丈夫だった」とファンを讃えつつ、Archを改めて紹介し、「今回、アルバムを一緒につくってくれて、ありがとうございます」と感謝を述べた。
次に読み上げたファンからのお便りは、「気になっている人が、自分の友だちを紹介してほしい、と言ってきて……」という恋愛相談で、ホンギは女性の声色を真似て相談者になりきり、カードを読み上げた。そのシチュエーションの男性側の立場を経験したことがあるらしく、自分への好意をずっと隠していた女友達に対し「こわっ!」と思ったと明かすと、ファンからはブーイングが。
また、「もし逆の立場だったら自分は紹介する」と、フェアなスタンスを表明。「自分も勇気がないから言ってないってことだし。俺も言えないんですよ。
そして、「勇気を込めて歌うべきなんだけど、2人が上手くいくと思えないので(笑)、ちょっと残念な気持ちを込めて歌ってみようかな、と」「この人のつらさ、悲しさを込めて歌いたいと思っています。今日はここまで来てくれてありがとうございます」と、「人の気も知らず」を迫真の歌声で熱唱。切なく美しいメロディーを、エモーショナルに歌い上げた。

「この曲が分かったら一緒に歌ってほしいです。分かる?」と尋ね、ピアノの伴奏に合わせて歌い始めたのは「オレンジ色の空」。自身が主演した映画『フェニックス~約束の歌~』の日本版エンディングソングで、情感のこもった歌声を存分に堪能することができるホンギ作詞作曲の名バラードだ。
本編最後は、「たくさん皆さんが愛してくれた曲」との紹介から、アルバムのリード曲「モノローグ」。レコーディング風景を追ったVTRでは高音に苦戦する場面が映し出されていたが、このステージではもちろん、しっかりとクリア。スクリーンに大写しになった首筋には血管が浮き上がっていて、その歌声がホンギの全身全霊であることがまざまざと感じられた。
ほどなくして、ジーンズとツアーTシャツに着替えたホンギが再登場。バンドのアンサンブルを味わいながら、指揮するようなアクションを交えつつ、「Just Please」を披露した。ラジオブースへ入ると、「今やった曲、覚えてます? 初めてのFNC KINGDOMで、皆さんに無料でプレゼントした曲なんですよ」とホンギ。どこかで披露したい、と以前から思っていたそうだが、FTISLANDではなかなか実現する機会がなく、「自分でつくって、一回も(生で)歌ったことのない曲だったんですよ」と、今回歌えたことを喜ばしく思っている様子だった。
一人一芸を盛り込んだバンドメンバー紹介を行いながら、ホンギは、「僕がいない間に編曲とか、してくれて……こんな素敵なステージをつくってくれたの。素晴らしいね」と感謝を述べた。FTISLANDと比較し、「どっちもバンドだけど、全然違う。こっちは完璧すぎて、僕がちゃんとやらなきゃいけない(笑)。

クリスマスシーズン中のライブツアー開催ということもあり、「クリスマスの曲、つくったんですよ。歌ってみるかな?」とホンギ。「こういうテーマで、もしまた“ホンギのラジオ”があったら、来てください。最後に皆さんに、メリークリスマス!」と挨拶し、アルバムを締め括った楽曲「Miss X-Mas」を放った。間奏で何度も「ありがとうございます!」と繰り返し、「“一人でこんなライブやっていいのかな?”と思っていて……でも、これも絶対FTの一部になると思うので、頑張ってみているので、もうちょっと皆さんと楽しめるやり方とか、今回だけじゃなく探そうかな、と思います」と今後の活動への意欲も覗かせた。
曲が終わり、ステージを去るかと思いきや、ホンギは「もともとは帰るはずなの。でも、もうちょっと挨拶したいな、と思って残ったの」と、進行上の予定に逆らい、ステージの両端へと歩いて行く。隅々の観客へ感謝を届けようとする律儀な一面を見せ、「2日間ありがとうございました!」と叫んでステージを去った。
シンセポップに挑戦したソロアルバムだったが、ライブではFTISLANDの楽曲の別アレンジも聞かせ、一つのジャンルに留まらない幅広い音楽性と遊び心に富んだ演出、表現を見せてくれたホンギ。これまで出演してきた映画やドラマの関連曲も盛り込んで、イ・ホンギというアーティストの活動を一望する、という意味でも、感慨深い公演内容だった。FTISLANDという“ホーム”に、この経験はどんなフィードバックをもたらすのか? ソロ活動とバンドとの好循環が生まれるであろうことは、想像に難くない。
(取材・文/大前多恵)
≪セットリスト≫
1. LOL(loudness of love)
2. Be Your Doll
3. まだ言えない言葉
4. 雨が降ります
5. Addicted to Love
6. マリヤ
7. 相変わらず
8. 一つの言葉
9. Kings For A Day
10. Do or Die
11. Let’s Seize The Day
12. FREEDOM
13. Siren
14. Anywhere
15. 人の気も知らずに
16. オレンジ色の空
17. モノローグ
<アンコール>
1. Just Please
2. Miss X-Mas
≪リリース情報≫
1st Solo Album
『AM302』
2015.12.09リリース
【初回限定盤】CD+DVD
WPZL-31135~36 / ¥4,000(税抜)
※豪華フォトブックレット44p / 歌詞カード16p / 三方背 / デジパック仕様
※特典応募用シリアルコード(1)封入
【通常盤】CD
WPCL-12288 / ¥2,500(税抜)
※初回プレス分のみ:特典応募用シリアルコード(2)封入
【Primadonna盤】CD+グッズ
WPCL-12290 / ¥5,000(税抜)
※FNC JAPAN ONLINE STORE限定発売
※ホンギデザインオリジナルCAP付き
※特典応募用シリアルコード(3)封入
[収録曲]
1. モノローグ
2. Anywhere
3. Let's Seize The Day
4. Kings For A Day
5. Be Your Doll
6. LOL(loudness of love)
7.雨が降ります
8. Miss X-Mas
<DVD> ※初回限定盤のみ収録
1. モノローグ〈Music Video〉
2. モノローグ〈Studio Session〉
3. モノローグ〈The Making Of -モノローグ-〉
≪イベント情報≫
【FTISLAND オフィシャルファンミーティング 2016 -G5-】
2016年2月1日(月)大阪・オリックス劇場(18:00 OPEN / 19:00 START)
2016年2月2日(火)大阪・オリックス劇場(13:30 OPEN / 14:30 START)
2016年2月2日(火)大阪・オリックス劇場(18:00 OPEN / 19:00 START)
2016年2月4日(木)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール(18:00 OPEN / 19:00 START)
2016年2月5日(金)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール(13:30 OPEN / 14:30 START)
2016年2月5日(金)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール(18:00 OPEN / 19:00 START)
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