
■flumpool/【flumpool COUNTDOWN LIVE 2015→2016「ヒツジの皮を被ったサルたちの歌合戦」Day1『未の忘年会』】ライブレポート
2015.12.30(WED)at 横浜アリーナ
(※画像12点)
バンド初の単独カウントダウンライブを開催
5月に自分たちの原点を見つめ直すようなコンセプト・ディスク『FOUR ROOMS』を発表し、8月には初の野外ライブ【flumpool 真夏の野外★LIVE 2015「FOR ROOTS」 ~オオサカ・フィールズ・フォーエバー~】を地元・大阪で開催するなど、2015年はこれまで以上に精力的にチャレンジを続けたflumpool。
その総括とも言えるのが、年末に横浜アリーナで2日間にわたって開催されたバンド初の単独カウントダウンライブ【flumpool COUNTDOWN LIVE 2015→2016「ヒツジの皮を被ったサルたちの歌合戦」】だろう。

会場が暗転し、高揚感誘うデジタルビートに引っ張られるように「星に願いを」から本編はスタート。ライトがキラキラと煌めく中、隆太が、「会いたかったぜ、横浜! 来てくれてありがとう。この日を待ってたんだ!」と宣言。続く「覚醒アイデンティティ」では荒々しい一生のギターの音色に呼応するかのように、火の玉が打ち上がった。なんともド派手で、お祭り感いっぱいの忘年会スタートではないか。
前向きでキャッチーな「Touch」では、ギターを手放した隆太がメインステージから伸びた花道を歩き、センターステージへ。両手をいっぱいに広げて少しでも観客に近づこうと手を差し伸べ、笑顔を浮かべながら<呼吸合わせよう><一つになろう>と歌いかける。そんな熱い呼びかけに応えようとオーディエンスも手を振り上げ、時には精一杯ジャンプしている姿がまぶしく見えた。

「逢いたかったぜ! 3曲聞いてもらったけど、みんなすごいね。素晴らしい! テンションが上がりすぎたから、(ここらで)ブレーキをかけました。でも、いいか。
かと思えば、一生は「こんなにかっこいい衣装、今までで初めて」と我関せずといった風情。おもむろに、「初のカウントダウンライブ、どこよりも幸せな時間にします!」と断言し、大きな拍手をもらっていた。

「ライブは俺たちだけが盛り上がってもダメ! みんな、まだまだイケるでしょ!」(隆太)の声で、キラキラした夏ソング「夏よ止めないで ~You’re Romantic~」へとGO! はじける笑顔を共有したかと思えば、内省的な歌詞やクールな打ち込み感が独特の「君のための100のもしも」や、ライブの定番でサビでは必ず合唱になるメッセージソング「Calling」など、ライブのベスト盤とも言えるバラエティ豊かなナンバーがこれでもかと続く。

実はこの日、リーダーの誠司はステージにいなかった。公演に先がけて怪我による不在が発表され、急遽、神宮司治(レミオロメン)が代役を務めることになったのだ。神宮司とは隆太と一生がTHE TURTLES JAPANでチームを組んだこともあり、メンバーも気心が知れていることから白羽の矢が立ったのだろう。
後半のMCで神宮司自らが語っていたが、「代打の話が持ち掛けられたのが12月の初め。

また、以前、「カウントダウンでは夏の野外ライブではできない、明暗や照明を駆使したライブを」と元気が言っていたように、ステージセットや映像、照明もライブを魅せる名脇役だった。横長のどでかいステージの上に贅沢に何体ものビジョンが設営され、迫力ある映像を映し出していた。

中盤、メンバー4人をモチーフにした“ヒツジの皮を被ったサル”のキャラクター=もさーるがスクリーンに映し出され、メンバー自身が吹き替えたゆる~いトークを展開。そこで、ファンからの人気曲リクエストを募り、その結果を20位からカウントダウンし、トップ10内の数曲をプレイするといった趣向だ。このライブが決まった際に話を聞いた折、「お客さんが聴きたいと言ってくれる曲を演奏することで、より深くコミュニケーションが取れるのではないかと思う」と隆太が語っていたように、メンバーがいかに密に、深く、観客と繋がろうとしているかが垣間見えるコーナーでもある。
この日は、「Present」(7位)や「ギルト」(6位)、「タイムカプセル」(4位)などをピックアップ。ウォームなミッドチューン「Present」では、生のバイオリンの音色がバンドサウンドと絡み、美しく響きあった。「ギルト」ではアコギを手にした隆太が序盤を弾き語りで歌い、一生がリードボーカルを務める「タイムカプセル」ではイントロからすでに大歓声が沸き起こった。

このコーナーのトリはもちろん1位に輝いた「流れ星」。イントロと共に無数の光の筋が会場を縦横無尽に照らし、目も眩むほど。スクリーンにはこれまでflumpoolの節目となった日本武道館やアリーナ、野外ライブの映像が次々と映し出されていき、その時間を共に過ごしてきたファンの多くは、瞳を輝かせながら、歌と演奏に耳を傾けていた。デビュー以来、流れる星のように駆け抜けてきた彼らを象徴しているようであり、“またここで会えるよ”と歌う約束の言葉は、flumpoolというバンドが持つ本質的な温かさを映し出しているようにも思えた。

「まだまだ中盤ですが、ここで重大発表です! 2016年、約3年半ぶりのアルバムリリースが決定しました」(隆太)「久しぶりだからめちゃくちゃたくさん新曲作りました」(一生)と告げると、悲鳴にも似た大きな歓声に包まれた。さらに、「ここで新曲、やってもいいですか」とサプライズの追い討ちをかけるのだから、ファンの興奮は最高潮に。
「大切な人が、明日も幸せであるようにと願い、作りました」と伝えて演奏されたのは、新曲「明日キミが泣かないように」だった。ピアノやバイオリンの音色が優しく、隆太の歌声やコーラスも柔らかく重なり合う、思いが詰まったスローナンバーは、会場に集まった一人ひとりの胸にじんわりと届いたに違いない。
温かさで包んだとかと思えば、「いい意味で裏切りたい」と作った意欲作で、映画&TVシリーズ『亜人』主題歌の「夜は眠れるかい?」のようなダークなロックチューンも披露。レザー光線が闇を切り裂き、背景に映し出される無機質な街の映像とめくるめく照明、エフェクティブなボーカルなどが渾然一体となり、重厚な世界観に引きずり込まれた。

そして、ここからがいよいよ怒涛の終盤戦だ。「行くぜ、横浜! 何があっても進み続けるぞ」(隆太)と雄たけびをあげて、疾走感溢れる「reboot ~あきらめない詩~」へ。「Hydrangea」ではメンバー全員がセンターステージに集結し、思いを込めた歌声で歌いつないだ。合間では、一生が「年末だし、治ちゃん、ハッピーなリズムちょうだい」とリクエストし、それに乗せ<もう、いくつ寝るとお正月~>と歌いだすなど、年末の年忘れらしい脱線ぶりもまた楽しい。
ファンキーでグラマラスな「イイじゃない?」で、いっせいにタオルの花が咲き誇り、永遠に胸キュンしてしまうであろうピュアなラブソング「君に届け」ではキャノン砲が打ち上げられるなど、クライマックス感はピークに。
「最高の締めくくりになりました!」の言葉とともに、本編終了を告げる「プレミアム・ガール」へ。一生がギターソロを弾く合間に、隆太がヒツジの被り物をかぶせるなど、最後まで仲間たちとの忘年会を楽しむ姿を貫いていた。そういえば、「年末のカウントダウンライブは、その年にあったいいことも、悪いことも全部そこに置いていける。悔いがあっても今更ジタバタできないからいい意味で諦めもつくし、独特の開放感があるんです。だから、お客さんたちよりむしろ僕たち自身が楽しめるライブかもしれない」と、一生がいつか話していたっけ。

この後、隆太と元気、一生の2手に分かれてアリーナ最前列の通路をゆっくりと半周してメインステージへ。その間、隆太・元気組はハンディカメラで観客を写し、一方、一生は「ひとりぼっち?」とぼやきながら、自前の携帯で動画を撮影しながら、「俺一人でごめんな」と繰り返す一生。ファンに自分でごめんなんて謝るロックバンドのギタリストなんて、この広い世界を見渡してもそうはいないのではないだろうか。そんな愛すべきキャラクターで、優れたソングライターである一生がライブの柱になる楽曲にしたいと手がけた「two of us」は、彼の念願通り、アンコールで大合唱になるような今やライブで欠くことのできない1曲へと成長した。
2曲を歌い終えた後、ようやく隆太が誠司の不在について触れた言葉が、この日の最後の挨拶となった。
「今回、リーダーが怪我をして(叩けなくなって)ライブをどうしようかって考えたし、誠司のやつめって(笑)正直思った。
温かみのあるバンドサウンドと歌声、叙情的なメロディーを彩る流れるようなバイオリンが美しいミディアムナンバー「フレイム」を最後に大合唱して、盛大かつ温もりに満ちた忘年会はおひらきとなった。

すでに速報もアップされているが、この春には約3年半ぶりとなるオリジナルフルアルバム『EGG』がリリースされ、4月からはそれを携えた全国22公演に及ぶツアーが福岡を皮切りにスタートする。アンコールの際、隆太が誠司の気持ちを代弁するかのように「誠司も今日のこの悔しさをきっとバネにして、(ツアーでは)鳥のように復活して羽ばたく」と語っていたように、大いなる挑戦と少しの苦い経験、そして、そこから得た大きな気づきと発見を音と言葉に替えて、2016年はどんな歌を届けてくれるのだろうか。今から彼らの次の一手がが楽しみでならない、そんな素晴らしい年忘れライブだった。
(取材・文/橘川有子)
≪リリース情報≫
■New Single
『夜は眠れるかい?』
2016.02.10リリース
【初回限定盤】(CD+DVD)
AZZS-41 / ¥1,700(税抜)
【通常盤】(CD)
AZCS-2060 / ¥1,200(税抜)
[収録曲]
1. 夜は眠れるかい?
映画&TVシリーズ アニメ『亜人』主題歌
2. 君が笑えば ~Just like happiness~
ブルボン アルフォートミニチョコレート「ブロンドはお好き?」篇 TVCMソング
3. MOMENT
※以下、通常盤のみ収録
4. 夜は眠れるかい?(Instrumental)
5. 君が笑えば ~Just like happiness~(Instrumental)
<DVD> ※初回限定盤のみ収録
【LIMITED TOUR 2015 R→LOOF PLAN ~大人の屋根裏計画~】スペシャルセレクションとして、「ベガ ~過去と未来の北極星~」、「この時代を生き抜くために」、「僕はここにいる」、「Because... I am」、「プレミアム・ガール」5曲をフルサイズ収録、「傘の下で君は・・・」と「MW ~Dear Mr. & Ms. ピカレスク~」をダイジェスト収録。
■New Album
『EGG』
2016.03.09リリース予定
【初回限定盤】(CD+DVD)
AZZS-42 / ¥3,800(税抜)
【通常盤】(CD)
AZCS-1051 / ¥2,800(税抜)
[収録内容]
とある始まりの情景 ~Bookstore on the hill~
夏よ止めないで ~You’re Romantic~
DILEMMA
他、全14曲収録予定
≪ライブ情報≫
【flumpool 7th tour 2016「WHAT ABOUT EGGS?」】
4月2日(土) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
4月3日(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
4月10日(日) 福島・郡山市民文化センター 大ホール
4月16日(土) 石川・本多の森ホール
4月17日(日) 新潟・新潟県民会館
4月23日(土) 広島・広島上野学園ホール
4月24日(日) 広島・広島上野学園ホール
4月29日(金・祝) 神奈川・神奈川県民ホール
4月30日(土) 神奈川・神奈川県民ホール
5月5日(木・祝) 大阪・フェスティバルホール
5月6日(金) 大阪・フェスティバルホール
5月15日(日) 静岡・静岡市民文化会館 大ホール
5月21日(土) 北海道・ニトリ文化ホール
5月28日(土) 香川・アルファあなぶきホール 大ホール
5月29日(日) 愛媛・松山市民会館 大ホール
6月5日(日) 宮城・仙台サンプラザホール
6月11日(土) 愛知・名古屋センチュリーホール
6月12日(日) 愛知・名古屋センチュリーホール
6月18日(土) 大阪・グランキューブ大阪メインホール
6月19日(日) 大阪・グランキューブ大阪メインホール
6月25日(土) 東京・東京国際フォーラム ホールA
6月26日(日) 東京・東京国際フォーラム ホールA
チケット料金:¥6,500(税込)
4歳以上 チケット必要 / 3歳以下 入場不可
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