NICO “アレンジ”力の高さを見せつけた3度目の武道館ライブ/レポート・セトリ
撮影/上飯坂一

■NICO Touches the Walls/【NICO Touches the Walls LIVE SPECIAL 2016“渦と渦 ~東の渦~”】ライブレポート
2016.01.08(FRI)at 日本武道館
(※画像7点)

NICO流“アレンジ”力の高さを見せつけた3度目の武道館ライブ

最初の日本武道館は“チャレンジ”、2度目は“リベンジ”、そして今回の3度目は“アレンジ”と位置付けたNICO Touches the Walls。自分たちの力不足を感じた1度目、その反省からリベンジを果たした2度目を経て、3度目の正直と言える今回の武道館は、彼らがこれまでに培ってきたアレンジ能力の高さと演奏技術を凝縮し、ライブバンドとしての実力を余すところなく発揮したライブとなった。


NICO “アレンジ”力の高さを見せつけた3度目の武道館ライブ/レポート・セトリ
撮影/上飯坂一

アニメーションを映し出した白い円筒型のスクリーンがゆっくり上昇すると、そこにステージが現れる。4人が演奏する短いインストに続き、1曲目の「天地ガエシ」が始まった。曲中にもテンポが変化し、自由にスピード感を変えながら曲に多彩な表情を与えていく。その勢いのままアッパーな「まっすぐなうた」、マイナーのメロディが突き刺さる「ランナー」、光村龍哉の熱唱がはじける「ローハイド」と、冒頭から熱気あふれるナンバーで盛り上げていく。

「新年あけましてしておめでとうございます。4人のNICO Touches the Wallsが戻ってまいりました。バカ野郎が11月の頭にギタリストの命ともいえる右手を骨折しやがりまして(笑)。何とか復活を果たして、今日4人でステージに立つことができています。今日はこの武道館のために、僕らのやりたい曲をノンストップメガミックス武道館仕様にして、作ってまいりました。新年会だから、みんながバカ騒ぎできるミックスになっています。踊れる準備はできてますか?ぶっちゃけ長いぞ、覚悟はいいか!」(光村)

NICO “アレンジ”力の高さを見せつけた3度目の武道館ライブ/レポート・セトリ
撮影/上飯坂一

ギターの古村大介の骨折というアクシデントを乗り越えて迎えた武道館には、MCどおりノンストップのスペシャルな曲順が用意されていた。「バニーガールとダニーボーイ」「泥んこドビー」「N極とN極」「Broken Youth」と、バンドのスピード感を上げていく曲が続く。
その“繋ぎ目”こそが彼らのアレンジ能力の高さを物語る。

際立っていたのは、ファンクビートに光村の色気のあるボーカルが映える「ストロベリーガール」の後半からテンポアップし、緊張感あふれる「THE BUNGY」のイントロに繋いでいく流れ。この切り替わりは鳥肌が立つほどの衝撃を与えてくれた。短いソロの応酬のあと、コール&レスポンスを繰り返し、観客もジャンプし続ける。

さらに、夜の闇に声をぶつける「夜の果て」、深遠な歌詞とサウンドの「行方」と、陰影を感じさせる落ち着いた曲を並べる。ライブの代表曲を出し惜しみすることなく立て続けに演奏していくことで、改めて様々な面を持った彼らの魅力が浮かび上がってきた。

NICO “アレンジ”力の高さを見せつけた3度目の武道館ライブ/レポート・セトリ
撮影/上飯坂一

「今日1月8日は、10年前の初ワンマンライブの日でした。その時のライブは、264人だった気がします。それが10年後に武道館で8000人ですよ。続けて良かった!」(光村)

ここで、3年ぶりとなるニュー・アルバムのリリース、アルバムタイトル、リリース日が告知され、ジャケットもスクリーンに登場。意表をつく鶏のビジュアルに会場がどよめく。さらに、そのアルバム収録の新曲を一足先に披露。
もちろん、本邦初公開だ。コーラスから始まる明るいナンバー、切なくしっとりしたナンバーと、個性の違う2曲を届けてくれた。

NICO “アレンジ”力の高さを見せつけた3度目の武道館ライブ/レポート・セトリ
撮影/上飯坂一

冒頭のアニメーションの続きが映し出される「TOKYO Dreamer」から、後半に向けて再び加速していく。「ニワカ雨ニモ負ケズ」では光村が長いフェイク・ボーカルでエモーショナルな起伏をつけ、ここでもメロディを“アレンジ”。爽やかな汗を感じさせる「バイシクル」、明るく突き抜ける「ホログラム」と、無尽蔵のエネルギッシュなステージを展開。

そして「渦と渦」では、光村が「ここにいる一人一人の力を合わせて、俺たちと一緒にデカい渦を作りませんか?」と呼びかけ、歌詞そのままに極彩色に変わるアニメーションと共にクライマックスに突入。対馬祥太郎のドラムと坂倉心悟のベースが最強のコビネーションを聴かせ、歌もサウンドもひたすらスケールアップし、ピークを極めて本編は終了した。

NICO “アレンジ”力の高さを見せつけた3度目の武道館ライブ/レポート・セトリ
撮影/上飯坂一

アンコールは光村がアコギを奏でながら歌い始めた「僕は30になるけれど」。ゆったりしたリズムと滑らかな古村のスライドギターが会場の空気を和ませる。3月のツアー告知を挟み、「手をたたけ」では手拍子と大合唱が沸き起こり、再び会場が大きな一体感に包まれる。

そして、意外だったのは、アンコールラストにアルバムに収録される新曲をもう1曲披露したこと。なんと、レコーディング前でアレンジが決定していないため、光村が弾き語りで歌い、他の3人はその場に座ったまま耳を傾けるという、めったにない光景が見られた。
その曲は「今までにないストレートな歌、ピュアなラブソング」と光村が語ったナンバーで、ニュー・アルバムのテーマを示唆するような、強さと優しさが詰まった内容。今から仕上がりが楽しみだ。

NICO “アレンジ”力の高さを見せつけた3度目の武道館ライブ/レポート・セトリ
撮影/上飯坂一

今後は、3月16日にニュー・アルバム『勇気も愛もないなんて』をリリース。それに先立ち、3月4日を皮切りにライブハウスツアーがスタート。5月6日には延期に伴う振り替え公演となる大阪城ホールライブ“渦と渦~西の渦~”も開催される。2016年もNICOにとって多忙な年になりそうだ。
(取材・文/岡本明)

≪セットリスト≫
1. 天地ガエシ
2. まっすぐなうた
3. ランナー
4. ローハイド
5. バニーガールとダニーボーイ
6. 泥んこドビー
7. N極とN極
8. Broken Youth
9. ストロベリーガール
10. THE BUNGY
11. 夜の果て
12. 行方
13. 新曲
14. 新曲
15. TOKYO Dreamer
16. ニワカ雨ニモ負ケズ
17. バイシクル
18. ホログラム
19. 渦と渦
<アンコール>
1. 僕は30になるけれど
2. 手をたたけ
3. 新曲

≪リリース情報≫
New Album
『勇気も愛もないなんて』
2016.03.16リリース

【初回生産限定盤】(CD+DVD)
KSCL2710~11 / ¥3,935(税抜)

【通常盤】(CD)
KSCL2712 / ¥2.963(税抜)

≪ライブ情報≫
【NICO Touches the Walls TOUR 2016“勇気も愛もないなんて”】
3月4日(金)東京:EX THEATER六本木
3月8日(火)群馬:高崎club FLEEZ
3月12日(土)神奈川:CLUB CITTA'川崎
3月19日(土)愛知:Zepp名古屋
3月21日(月祝)福井:福井CHOP
3月24日(木)大阪:なんばHatch
3月26日(土)徳島:徳島club GRINDHOUSE
4月2日(土) 福岡:Zepp福岡
4月3日(日)広島:BLUE LIVE広島
4月7日(木)新潟:新潟LOTS
4月8日(金)宮城:仙台Rensa
4月16日(土)北海道:Zepp札幌
4月20日(水)山梨:甲府CONVICTION
4月23日(土)東京:Zepp DiverCity東京

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