
「♪デンデンデンデデンデデンデンデ」と始まり「ペケポン!」までの武勇伝を1ターンこなした後、そのままに姿勢で固まるオリエンタルラジオ。
なにがなにやらだ!
バックダンサーには中田の弟が
『ENGEIグランドスラム』で披露された「PERFECT HUMAN」は、既に2015年12月23日にiTunes Musicで配信済み。『ENGEI〜』放送後からダウンロード数が伸び続け、記事執筆時点ではJ-POPランキングで2位になっている。
アーティスト名は「RADIO FISH」。オリエンタルラジオ2人とダンサーの4人からなるユニットであり、ダンサーには中田の実弟であるFISHBOYも名を連ねる。FISHBOYはダンスの世界大会で優勝した経歴を持ち、過去には兄にお笑いの世界に誘われて断ったことがある。
YouTubeのオリエンタルラジオ公式チャンネルでは、「PERFECT HUMAN」の歌詞入りフルMVが公開されているので、見逃した人はぜひご確認を。
「武勇伝がだんだん邪魔に……」
実はオリラジがテレビで「PERFECT HUMAN」を歌うのは『ENGEIグランドスラム』が最初ではない。
昨年末、2015年12月25日放送の『爆笑問題の検索ちゃん 芸人ちゃんネタ祭り 実力派芸人大集合SP』(テレビ朝日系)で一度披露しているのだ。この時も武勇伝から始まり、途中で「PERFECT HUMAN」に入る構成だった。さらに遡ると、この「武勇伝から急に歌へ」という構成を初めてテレビでやったのは2014年の『芸人ちゃんネタ祭り』だった(このとき歌ったのは「STAR」)
『ENGEIグランドスラム』ではネタ終わりの芸人とMCの絡みが無いので、オリラジは「やり逃げ」状態になっていた。MCのナイナイが「何してくれとんねん!」とつっこむことで、「ENGEIグランドスラムというネタをちゃんとやる番組で何しとんねん」という、一段メタな視点からのボケとして成立していた。
対して、『芸人ちゃんネタ祭り』では、ネタが終わった芸人はMC陣(爆笑問題&小池栄子)らが集まるひな壇に戻ってくる。2014年にオリラジが初めて歌と踊りをやりきった時はスタジオが騒然とし、ひな壇から飛んだ第一声は小池栄子の「どうやって迎え入れたらいいの!?」だった。ひな壇のトークでは、中田がネタおろしの不安を口にする場面がある。
田中裕二「これ今日、初?」
中田「そうですね、テレビでは完全初です。だからマジで青ざめてました。何が起こるのか全然わからない…!」
太田光「そりゃこっちのセリフだわ!なんでさ、お前らそんな毎年変化してるの?」
中田「そのー、今まさに芸風を探してるんですね」
太田「(芸歴)10年目で!?」
2015年の『芸人ちゃんネタ祭り』で「PERFECT HUMAN」を披露したあとのトークでも、模索している様子を感じるコメントがある。
小池栄子「また来年どんなの見せてくれるか楽しみですね」
中田「もう何も考えずに、ただやりたい事をやりに……その、序盤の武勇伝がだんだん邪魔に感じ始めて……」
藤森「それダメだろ!」
この中田発言が実行に移されたのか、『芸人ちゃん』では1コーラスだった「PERFECT HUMAN」は、『ENGEIグランドスラム』では2コーラスまで伸びていた。

イラスト/小西りえこ
破壊と構築
2005年にデビューし、今年11年目に入るオリエンタルラジオ。振り返れば、当時リズムネタとして斬新だった「武勇伝」を生み出し、ブレイク時は10本あったレギュラーが全て無くなるどん底を経験し、藤森の「チャラ男」をきっかけにもう一度浮上するという、「破壊と構築」を繰り返してきた。
「PERFECT HUMAN」もまた、これまでのオリラジのイメージの破壊と構築だ。RADIO FISHの公式サイトでは、中田敦彦のプロフィールにこう書いてある。
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オリエンタルラジオの「実力 ・頭脳・好感度」担当。
吉本興業史上最速出世の立役者にして武勇伝の開発者。
RADIOFISHプロジェクトで第4のブレイクを狙う。
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まだまだ貪欲にブレイクを狙うオリエンタルラジオ。芸風を探しているのは本当かもしれない。武勇伝パートも無くなってしまうと、もう次はミュージックステーションだろうか。
ちなみに武勇伝、チャラ男に続く第3のブレイクは「2015年ラッスンゴレライのスーパーコピー」だそうです。
(井上マサキ イラスト/小西りえこ)