
■LEGO BIG MORL/Album『Mother ship』インタビュー
「自信を持って聴いてもらえるアルバムです」
デビュー以来、圧巻の演奏力でギターバンドの新しい形を提示してきたlego big morlが、約1年半ぶりとなる2ndアルバム『Mother ship』を完成させた。小林武史プロデュースによる本作は、彼等のメロディメイカーとしての資質が見事に開花した一枚と言える。
(取材・文/神谷弘一[blueprint]、構成/橋川良寛[blueprint])
――待望の2ndフルアルバム『Mother ship』が届きました。どの曲も完成度が高くて練りに練って作った印象ですが、手応えはどうですか?
ヒロキ:僕等としては「これで良いんだ!」というところまで追求出来たし、自信を持って聴いてもらえるアルバムです。前作『Quartette Parade』から大きく変わったのは、僕等以外の音が加わっていること。ライヴとは別モノと考えて、とにかく音源を充実させたかったと言うか。
ヤマモト:今までとは違って、一曲一曲に時間をかけて、色んなアプローチをしましたね。歌い回し一つにしても、楽器の節々にしても、細かいニューアンスにまでこだわったので、一曲のクオリティが高く仕上がっていると思います。
カナタ:ようやく自分達のサウンドに出会えたんじゃないかな、と。“オリジナリティ”は前のアルバムの時にも掲げていた目標だったんですけど、今回のアルバムではlego big morlのサウンドとして、周りに無い突出した部分が組み上げられたと思います。ちゃんと心に残る曲が出来たんじゃないかなって。
アサカワ:全曲通してまとまっていて、どの曲もリスナーの心に寄り添うものになっています。昔の歌詞と比べたら歩み寄りやすい感じになっていますね。
――今作のプロデューサーは小林武史さん。制作はどんなふうに進みましたか?
ヒロキ:明確な制作期間は無かったんですが、昨年の7月に2ndシングル『溢れる』を出してからは、ライヴをやりながらもスタジオに入って、アルバムには向かっていて。そんな中で、「この曲はこういうのです」という形になったものを小林さんに投げるんです。そこで新しいヒントや意見をもらって、制作を進めていきました。
――今回の歌詞はlego big morlらしい哲学的な部分もありながらも、よりダイレクトに伝わってくる感覚がありました。
ヒロキ:曲も歌詞も、今回は4人の中でが明確に出来あがってから書くことが多かったので、それが上手くいったんだと思います。4人で話し合っていく中で、やっぱり分かりやすいキーワードやフレーズが出てきますからね。
――アルバムタイトルの『Mother ship』は、宇宙船の空母のようながあるんだけど、みんなの中ではどんなですか?
ヒロキ:そのまま“母船”ですね。そこからたくさんの船が海に漕ぎ出して、また帰ってくることが出来る中心的な場所というか。
ヤマモト:そうそう。結構色んなパターンをやってみたのに、やっぱり当初のにはならなかったんです。
カナタ:今の形になったのは最近です。
――なるほど。lego big morlには色んな曲があるから、“母船から色んな場所に向かっている曲達”というも浮かびますね。その中でも、「こんな曲が作りたい」という共通のコンセプトはあった?
カナタ:リアルさは追求しましたね。特に「東京リュックサック」には、僕等が東京に出てくるまでの過程で感じたことが、強く反映されています。僕らが求める“バンドらしい生き方”が集約されていて、ワンボックスで旅している感覚。僕等はバンドだからワンボックスですけど、ジープでも、クラウンでも何でも良いと思います。窓を全開にして、片手運転な雰囲気で聴いていただけたら良いですね(笑)。
――「space dive」は、独特の浮遊感がある曲です。叙情的なところもあるし、このアルバムのサウンドを象徴しているような感じもして。
カナタ:そうですね。この曲は“ザ・シンプル”なんですよ。
ヤマモト:そうそう。結構色んなパターンをやってみたのに、やっぱり当初のにはならなかったんです。
カナタ:今の形になったのは最近です。小林さんに味付けしてもらったら、宇宙と交信しているみたいな感じになりましたね。
アサカワ:ドラムは流れるようなノリを出すのが重要だったんですが、そこがすごく難しかったです。結果としては、サビのキメの“ダダトダダ”も気に入っていますし、ちゃんとまとまって良かったなと。
――その他、アルバムの音作りで苦労したところはありますか?
ヤマモト:僕等は「ドリルドリル」からシンセを入れる試みを始めたんです。最初も言いましたが、これまでは4人で音を作っていたので、他の音が入ってくることで、自分達の演奏がどうあるべきか、考える場面が多かったですね。例えば「バランス」では、途中でピアノを入れる案が出てきて、その時点でキンタ(カナタ)が弾いていたバッキングのギターを抜いてみたりして。
――「バランス」は歌詞の面でも、みんなの言いたいことが一番詰まっている曲なんじゃないかと思いました。
ヒロキ:この一行は、本当に自分の中での“ど真ん中”を書いたというか。「聴く人それぞれに答えがある」と言ってしまえばそれまでですけど、明確な答えを出すのが難しくて、それでも大事なテーマだと思うんです。
――lego big morlには“音の塊でかっこいい”みたいなを持っていたんですけど、今作はアルバム一枚を通してストーリーがありますね。
カナタ:そうですね。例えば、「バランス」みたいなシングル曲は、前半に置くことが多いと思いますが、僕等はそれを完全に無視して、前半は「シェイカー」、『溢れる』、「ドリルドリル」、「space dive」とイケイケの曲を揃えているんです。最後まで聴いてもらった上でのアルバムなので、ライヴを意識した曲順にするのが正しいんじゃないかなって。ミディアムバラードの「カーラ」を1曲目にしたのは良い裏切りになっているし、「アルバムに自信があるんだな」と受け取って貰えるかもしれないですね。
ヒロキ:1曲目を聴いた時点で、僕等が変わったことが分かる。アルバムの始まりが「カーラ」で良かったなと思います。
――今回のアルバムは、聴くごとに味が出てくる作品だと思います。アルバム曲をお客さんの前で演奏する機会もあると思いますが、感触はどうですか?
ヒロキ:「space dive」などの分かりやすい曲はお客さんの反応も良くて、僕等的にも分かりやすいですね。
ヤマモト:7月1日の(渋谷 CLUB)QUATTROのライヴからアルバムの曲をやり始めて、その曲がライヴでどうあるべきか、どう自分達が演奏すれば良いかということが、徐々に分かってきました。僕等の演奏もどんどん良くなりそうな感じがします。
アサカワ:今までとは違うお客さんのノリが見れて良かったですね。ただ盛り上がるだけじゃなくて、曲によって聴いている表情も違うし、思い思いにノッてくれていて。これまでとは違うライヴが出来そうです。
カナタ:正直言って、僕自身はまだまだですね(笑)。QUATTROに関しては「全然伝えきれなかった。まだまだ行けたのに!」という想いがいっぱいで。だから、絶対にツアーに来て欲しいと思います。9月からのツアーが始まる頃には、しっかり出来あがっていますから、楽しみにしていて下さい。
≪マイ旬≫
LEGO BIG MORLが最近一番気になっていることや、ハマっていることをご紹介!
カナタタケヒロ(Vo.&G.) 物件探し
帰りたくなる家に住みたくて、都心近くで色んな物件を見ています。
タナカヒロキ(G.) バイク
最近、バイクを買ったんです。大学の時も同じようなバイクに乗っていて、通学に使っていたのですが、東京に来て交通手段が欲しかったので、もう一回買っちゃいました。バイクを買いに行く時も引き取りに行く時も、バイクの師匠であるヤマモトさんに後ろに乗せてもらって、帰りは先導して貰いました(笑)。選んだ基準は燃費の良さですね。昔は黄色に乗っていたけれど、今は黄緑色。少し派手になりました(笑)。
ヤマモトシンタロウ(Ba.) ラーメン二郎
何年か前に新宿歌舞伎町のラーメン二郎は行ったことあったんです。キンタ(カナタ)は絶賛していたけど、僕はあんなパンチのあるラーメン食べたこと無かったので、身体に合わないなと思って(笑)。でも、東京に引っ越してきてから、山手通りの二郎の前を通った時に、ものすごい行列が出来ていたんで入ってみたら、めっちゃおいしかったんです。今まではわざわざ並んで食べに行く食べ物は無かったんですけど、今では一人でも行くようになってしまって、5月は7回も行きました(笑)。いつかは三田本店にもチャレンジしたいですね。
アサカワヒロ(Dr.) スカイダイビング
僕はジェットコースターとか絶叫系の乗り物が嫌いなんです。高いところが苦手というわけでは無いんですけど、乗っていてフワってなるあの瞬間がダメで。メンバーで富士急ハイランドに行った時も、テンションがガタ落ちして、誰とも話さなくなりました(笑)。それをどうにか克服したいので、いっそスカイダイビングをやりたいと思っています。やるとしたら海外かなと。ラグビーも観たいし、オーストラリアが良いかなぁって思っています。
≪リリース情報≫
Album
『Mother ship』
2010.09.01リリース
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