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なんにでも宮崎駿の影をみるもんじゃない、だが『堆塵館』

これは生まれたときから浴槽の栓を友にしてきた少年と、初めて奉公に出た屋敷でなぜか「あなたの便宜のために封印」と書かれた帯紙が糊付けされたマッチ箱を渡された少女の物語だ。
小説の魔術師エドワード・ケアリー待望の第3長篇『堆塵館』(古屋美登里訳)である。
浴槽の栓? 封印されたマッチ箱?
なにそれ?
そう思った方も、ちょっとだけお付き合いいただきたい。
なんにでも宮崎駿の影をみるもんじゃない、だが『堆塵館』

アイアマンガーの中のアイアマンガー


『堆塵館』の舞台は19世紀後半のイギリスに設定されている。世界の都でもあるロンドン近郷に巨大なごみ山が築かれ、その向こう側にアイアマンガーたちの暮らす館がある。アイアマンガーはごみを我が物にすることで巨万の資産を蓄えた一族で、堆塵館と呼ばれる屋敷の中に閉じこもって暮らしている。
アイアマンガーのひとびとには奇妙な決まりがいくつもある。
アイアマンガーの男女は幼少期には別々に暮らし、あらかじめ定められた一族の者と結婚する。
アイアマンガーの男子は16歳になったらコーデュロイの半ズボンから灰のフランネルの長ズボンに穿き替えなければならない(逆に言えば、それまでは決して長ズボンを穿けない)。
アイアマンガーの子供たちがごみ山に入るときは、きちんと正装をしていく。彼らが山で見つけたものを大人たちが町で売って金に換える。いわばアイアマンガーの富の源泉だから、ごみ山に敬意を表して身なりを整えるのである。
そして最優先される決まりがこれだ。...続きを読む

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