
■【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO】ライブレポート
2016.08.13(SAT)at 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
(※画像8点)
(C)RISING SUN ROCK FESTIVAL
――1日目より
2日目も文句なしの快晴。朝から昼にかけてはゆっくりと過ごし、この日のライブは大黒摩季からスタート。


一旦テントに戻って仲間と炭火でジンギスカンを楽しみつつ、SUN STAGEの東京スカパラダイスオーケストラを聴く。

次は今年の“目玉”とも言える地元の名士、松山千春の登場である。「俺、フォーク・シンガーだべや。それがロック・フェスに出ていいのか?」と北海道弁で語りかけ笑いを誘った彼は、「夢の旅人」を皮切りに、「長い夜」「季節の中で」「大空と大地の中で」「大いなる愛よ夢よ」と、道産子ならずとも知っているヒット曲の数々を朗々と歌いあげ、私の周りで見ていた若い来場者たちは「千春、ヤバいな!」「マジでいいよね?」と興奮しながら楽しんでいた。本人のうれしそうな表情と、曲が終わる度に深々とおじぎをする姿も印象的だった。昨年の安全地帯のときも思ったが、こういう“ベテラン枠”しかも道産子アーティストが世代を越えて盛り上がるのは嬉しい。

続くは特別企画『宴会部長 増子直純の~よりぬきROOTS66 in EZO~』。“66”というのは、ローリング・ストーンズもカバーしたかの有名なアメリカの国道66号線の歌のことかと思いきや、66年生まれのミュージシャンの集まり、という意味だそうで、おなじみ怒髪天の増子直純をはじめ、大槻ケンヂ、田島貴男、スガ シカオ、伊藤ふみお、中川敬、トータス松本、八熊慎一、渡辺美里、斉藤和義……その豪華すぎる顔ぶれに、おぉ、66年生まれって人材の宝庫だったんだ!と感慨を新たにする。とりわけ感激したのは、この企画のためだけに出て来た渡辺美里(単独出演熱望!)で、持ち歌の「My Revolution」を歌った時には「おおっ!!」という大きな歓声があがった。

出演者のルーツ、というのがコンセプトだけに演奏されるのはすべて時代を象徴した名曲。「TRAIN-TRAIN」「ヤングマン」「北酒場」「勝手にしやがれ」といった曲が続くと、いろんなテントから歌声が聞こえてきて場内も軒並みカラオケ状態である。

深夜帯に入って登場したゲスの極み乙女。はショパンの「幻想即興曲」を絡めながら、独自の空間を創出。「私以外私じゃないの」や「ロマンスがありあまる」といったおなじみの曲に加えて「アソビ」などの新曲も披露した。プログレッシブなバンド・アンサンブルと川谷絵音のゆるふわボーカルのコントラストが絶妙。柔らかなようでいて硬く、難解なようであってとびきりポップ。いいバンドだなあと改めて感じた。

そして次はいよいよ大トリのBRAHMAN。北海道にちなんでか、アイヌ語の歌詞を持つ「Kamuy-pirma」や、HEATWAVEの山口洋とソウルフラワーユニオンの中川敬を呼んで共に歌った「満月の夕」などをまじえながら、“煽る”よりも“聴かせる”ライブを展開。
じんわりと光を放つ朝日を見ながら、駆け抜けるように生きて去った吉村秀樹のことを思った。人は去り、思い出だけが積み重なっていくが、どんなことがあっても夜は明けるものだな……と、少しだけ感傷的な気分になった。盛り上がって大騒ぎして迎える朝もいいが、こんな朝もいい。
(取材・文/美馬亜貴子)
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