インスタント袋麺の作り方にリテラシーがあった!?
マルちゃんでおなじみ東洋水産が、インスタント袋麺の正しい調理法が伝わっているかを心配しているらしい。
同社の人気商品「マルちゃん正麺」は、生の麺をそのまま乾燥させた特許製法がウリ。一般的な袋麺とは製法が違うため、美味しく食べるための作り方のポイントも違うのだとか。

本当の美味しさが伝わっているか心配するあまり、東洋水産では先日ついに「全国袋麺“作り方・食べ方”実態調査2016」を実施。インスタント袋麺の作り方に対する意識(リテラシー)を独自に調査したという。でも、そもそもインスタント袋麺の作り方って超シンプルで、リテラシーなんて必要ないと思うんだけど……。
ところが東洋水産にこの調査結果を見せてもらうと、意外な事実が判明。結構アバウトに調理している人が多く、しかも意外な地域差も出ていたのだ。
「計量カップを使わない」人がもっとも多い地域は?
まず、基本のゆで時間すら、きっちりとは守られていないようだ。「マルちゃん正麺」の場合、フレーバーによってゆで時間は違い、たとえば醤油味なら3分だ。しかし、「キッチンタイマーなどを使って、正確に調理時間を計る」という人は、むしろ少数派。地域別にみると、もっとも多い関東でも38.8%にとどまり、もっとも低い九州だと25.8%しかいなかった。

数値は「とても当てはまる」「当てはまる」「まあ当てはまる」と回答した人の割合(東洋水産調べ)
水量も案外適当な人が多いことがわかった。とくに沖縄では「計量カップを使って量る」と答えた人はわずか33.6%。それどころか「特に水量は量らない」と答えた人が57.6%も! 大らかで細かいことを気にしないといわれる県民性は、どうやらラーメン作りにも表れている模様。

数値は「とても当てはまる」「当てはまる」「まあ当てはまる」と回答した人の割合(東洋水産調べ)
“せっかち”な関西人が調理中についやっちゃうことって?

関西人といえばよく「せっかち」といわれるが、ラーメン作りにもそれは表れていた。関西では調理中、「麺が早くゆで上がるように、常に混ぜる」と答えた人が43.4%に上り、全国最多。おそらく「少しでも早く食べたい」という気持ちからなのだろう。

数値は「とても当てはまる」「当てはまる」「まあ当てはまる」と回答した人の割合(東洋水産調べ)
しかし残念ながら、この“ゆでながら常に混ぜる”という行為は、「マルちゃん正麺」ではやってはいけないNG行為。実は、「ゆで始めの約1分は、麺を混ぜずに放っておく」ことこそが、美味しく食べる最大のポイントなのだそうだ。
理由はやはりその製法にある。ちょっと専門的な話になるが、「マルちゃん正麺」のような生の麺をそのまま乾燥させるタイプの袋麺は、工場では「乾燥」させるだけで、一般の袋麺にある「蒸す」工程がない。家でゆでる時に初めて、麺のデンプンのアルファ化(糊化)が起こるため、その前に箸でほぐしてしまうと、麺の表面が擦れてなめらかさが失われたり、麺が切れたりしてしまうのだという。
ラーメンが有名な北海道ではスープの入れ方に傾向アリ
スープの入れ方にも地域差があった。一般的にインスタント袋麺の粉末スープの多くは、風味が飛ばないよう火を止めてから入れることになっている。ところが北海道では、「粉末スープを入れる時に火を止めずに鍋に入れる」人が62.4%もいた。

数値は「とても当てはまる」「当てはまる」「まあ当てはまる」と回答した人の割合(東洋水産調べ)
さらに液体スープも同様に、鍋に直接入れちゃう人が半数以上。「マルちゃん正麺」もそうだが、液体スープの多くは、鍋ではなく丼にスープを入れる手順になっている。しかし北海道では、液体スープも火を止めずに鍋に入れる人が56.8%もいたのだ。

数値は「とても当てはまる」「当てはまる」「まあ当てはまる」と回答した人の割合(東洋水産調べ)
ちなみに北海道では、盛り付け時に「丼などに移さず、袋麺を調理した鍋を使ってそのまま食べる」というツワモノも15.2%もいて、全国平均9.6%を大きく上回る結果に。寒い土地ゆえ、「なるべく熱いままラーメンを食べたい」という思いが強いのかも。

数値は「とても当てはまる」と回答した人の割合(東洋水産調べ)
本当に美味しいインスタント袋麺作りに挑戦!
インスタント袋麺にリテラシーなんてないと思っていたが、調査結果をみると、たしかに作り方のバラツキが大きく、メーカーが不安に思う気持ちもわかった。私自身も結構適当だったと反省しきり。そこであらためて東洋水産が推奨する「おいしい作り方」の動画をみながら、本当に美味しいラーメン作りに挑戦してみた。
フレーバーは醤油味、具はチャーシュー、ホウレンソウ、煮玉子、長ネギを用意した。

ちなみに前述の調査によれば、インスタント袋麺に入れる具の人気トップ3は、もやし・キャベツ・長ネギ。地域別では、関東では煮玉子・チャーシュー・ホウレンソウ、東北では豚肉・玉ネギ・ウインナー、北海道ではメンマの人気が高かった。
計量カップでお湯をきっちり500ml量り、泡が立つまで沸騰させる。(※水で量る場合は沸騰するまでの蒸発分を考慮した分量を足す)

沸騰したら中火にして、スマホのタイマーをセットし、いざゆでスタート。最初の1分間はひたすら待つ。しかし、いつものクセでうっかりほぐしそうになるからアブナイ。1分が過ぎたら1回だけひっくり返して少しほぐし、後はさわらずに時間までゆでる。

液体スープはあらかじめ丼に入れておき、ゆで上がったら、まずはゆで汁だけを丼へ移し、液体スープを溶く。

次に麺を移し、スープと麺が絡むように軽くなじませる。

好みの具を盛り付ければ完成!

早速食べてみると、おお! 麺の食感が明らかにいつもと違う。いつもはあくまで「とても美味しいインスタント袋麺」という印象だったが、これはもはやほぼ生麺!! もちもち感が強めで、舌触りもなめらか。いわれなければインスタント袋麺とは気づかないかも……。中太麺に鶏ガラ醤油味のスープがよくなじみ、しみじみ美味しい。

作り方を忠実に守ると、確実に美味しさがワンランクアップする。これまでなんとなく適当に作っていた人も、ぜひ一度正しい作り方で、開発者が意図した本当の美味しさを味わってみては?
(古屋江美子)
【東洋水産】