撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
■VAMPS主宰【HALLOWEEN PARTY 2016】ライブレポート
2016.10.30(SUN) at 幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
(※画像38点)
VAMPS主宰の『HALLOWEEN PARTY 2016』が神戸2DAYS、幕張3DAYSにわたり開催され、10月30日(日)、幕張メッセにて最終日を迎えた。10回目を迎えたこのイベント、幕開けの影アナウンスを今年はHYDE自身が務め、「皆さん元気に死んでますか? もう家には帰れなくなりますよ?」と脅かしハロウィン気分を盛り上げると、落雷のような轟音が会場に響き渡る。
一番手のアクトはBREAKERZ……のはずが、流れ始めたのは前日に出演したRADIO FISHの「PERFECT HUMAN」。AKIHIDE(Gt)、SHINPEI(Gt)が“W藤森”に扮し、サングラスにオールバックで凛々しくダンスしている御神体ことナカタはなんと、DAIGOだった。爆笑が起きる中、「SAY、神!」と連呼、HYDEを称える替え歌を熱唱。2番ではHYDEのお面を付けて一層盛り上げ、担ぎ上げられてフィニッシュ。そのまま「BAMBINO~バンビーノ~」へと雪崩れ込み、赤いドレスの女性ダンサーを交えて熱くパフォーマンスした。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
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「リハーサルも、曲を合わせるよりダンスしてました(笑)」とRADIO FISH仮装秘話を明かすDAIGO。「Thank youでーす!」(AKIHIDE)、「電話番号教えて~!」(SHINPEI)とすっかり“チャラ男”になり切って挨拶する2人。「PERFECT HUMANって誰かな?と考えたらこの方しかいないんですよね」(DAIGO)とHYDEを再び称えた。
勢いよく煽って観客をノせた「Everlasting Luv」に続き、「ドMの曲です!」と紹介した「REAL LOVE」では妖しいSMワールドを展開。AKIHIDEを鎖で引き寄せキスをしたDAIGOの様子は、つい5分前の彼とは別人のよう。最後の「SUMMER PARTY」ではランウェイを歩いてアリーナ中央へ移動、AKIHIDEとSHINPEIの肩にDAIGOが腕を回す。最後は「HALLOWEEN PARTY、最高~うぃっしゅ!」で明るく締め括り、トップバッターにふさわしい起爆力のあるステージを終えた。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
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転換を待つ間も退屈させないのがこのイベントの魅力の一つで、お馴染みやまだひさしのMCによる「HALLOWEEN COLLECTION」が間髪入れず始まった。エントリーした仮装写真を事前にVAMPSメンバーが直々に審査し、選抜された観客がファッションショーさながらにランウェイを練り歩く。スペシャルゲストとして、HALLOWEEN JUNKEY ORCHESTRAから刀剣乱舞の鳴狐に扮した分島花音、エナメルコートの美しいバイキンマン姿のShinya(DIR EN GREY)、棺を引きずった“勇者ヨシヒコ”仮装の柩(ナイトメア)が登場。観客も出演者も本気で仮装を楽しんでいることが伝わってくる一幕だった。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
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続くアクトは、本イベント初出演となる和楽器バンド。お経のような声が聞こえ始めると、デジタル・ビートにギター、ベース、ドラムの洋楽器、和太鼓や琴、笙、尺八、三味線などのまさに和楽器が混ざり合い、和洋折衷のミクスチャー・ロックが鳴り響き始める。詩吟の歌唱法を思わせる気迫に満ちたジャパニーズ・ゴス・ヴォーカルを聞かせる鈴華ゆう子(Vo)は顔の右半分が血みどろの花魁姿。「和と洋を融合していて、普段から派手なんですが、和ホラーで固めてきました」と仮装コンセプトを説明した。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
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三味線のリフから始まり、尺八ソロもユニークな「千本桜」など、どの楽曲も個性的でドラマティック。怒涛のドラム和太鼓バトルでは、貞子に扮した和太鼓・黒流が声出しを観客に求め、「ダメ! ノろうよ? 今晩テレビから出るからね?」と貞子仮装を活かした脅し文句で笑いを誘うなど、キャラクターもユニーク。アクロバティックなプレイスタイルや音の迫力と共に、強烈なインパクトを残した。三本締めのリズムを取り入れた「起死回生」まで全6曲、華のあるパフォーマンスで圧倒した。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
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続けて、本イベント出場権を獲得するためのSHOWROOM企画「THE ROAD TO HALLOWEEN PARTY 2016」で1位となった2人組、Booing!!!がセンターステージに登場。ピカチュウをイメージした黄色のミニドレスで「世界でたった一人の君に」など3曲を披露した後、メインステージの幕が上がると、ももいろクローバーZが出番を迎えた。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
『ドラえもん』を仮装テーマに、佐々木彩夏がのび太、有安杏果がしずかちゃん、玉井詩織がジャイアン、高城れにがスネ夫、最後に百田夏菜子がドラえもんの着ぐるみ姿で登場。「氣志團万博でHYDEさんから『(HALLOWEEN PARTYの仮装では)セクシーを用意しろ』って言われたのに…」(のび太/佐々木)未だ準備できていない、と焦る寸劇に始まり、パンク調のアッパーな「BIONIC CHERRY」、バレエとロボットダンスが融合したような群舞で魅せた「サラバ、愛しき悲しみたちよ」など、歌って踊って、彼女たちらしい渾身のパフォーマンスを繰り広げた。
「スターダストセレナーデ」ではフロアに降り、かぼちゃのバッグから取り出したお菓子を観客に手渡しながら練り歩く。大写しになった観客は誰しも笑顔だった。最後は「ザ・ゴールデン・ヒストリー」で観客と呼吸を揃えてジャンプ。天真爛漫のステージで会場を明るくした。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
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SPECIAL PERFORMERとして、SPECIAL ACT STAGEにはAKi(シドの明希のソロプロジェクト)が登場し、前日の鬼の仮装とは一変、金の刺繍を施した黒いジャケット&ハットで二枚目な姿を見せた。情緒的で色気のあるメロディーを激しいデジタル・ロックに乗せた「ジウ」、ベーシストとして天性の華を感じさせるベースソロが印象的な「FAIRY DUST」。始動以降、ヴォーカリストとしても大きな進化を遂げているのがステージを観るたびハッキリと感じられ、この日も、短い時間ながら持ち味を凝縮したパフォーマンスを展開。「11月から単独ツアーやります。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
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満を持して始まったのは、VAMPSのステージ。パイプオルガンの重厚な音色が鳴り響き、フロアの後方から白い馬車型のフロートに乗ってメンバーが姿を現していく。ジャック・オー・ランタンに扮したARIMATSU、ブギーマン・JIN、博士を背負ったフランケン姿のJu-ken、狼男K.A.Z(後のMCでHYDEが『HALLOWEEN PARTY』に出て来るモンスターだと解説)と順にランウェイを辿ってメインステージへ到着。
「HALLOWEEN PARTY -HALLOWEEN DOLLS Ver.-」が始まると、棺がメインステージに、そしてセンターには、ドラキュラキングに扮するHYDEの“歌う生首”が乗ったカートが出現、少女がそれを押してランウェイを巡る不思議な光景に目が釘付け。衝撃を受けている傍らで、さりげなくパートチェンジも行われていて、K.A.Zがおもちゃのピアノのような音色で「ねこふんじゃった」のフレーズを盛り込んでプレイするレアな姿も。
やがてカートは棺まで到達、生首が入れられると、会場が興奮でざわつく中、ドラムカウントから「KYUKETSU -SATSUGAI VAMPS Ver.-」へ。棺が開いてHYDEが姿を現し、赤い目、白く長い爪、赤を刺し色として鮮烈にリニューアルされたキングの正装姿の全貌を初めて露わにした。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
K.A.ZのギターもJu-kenのベースも重く歪んで心地よく響き、HYDEは曲のラストで棺から出て来て、大きく腕を広げると何かに噛み付くように顔を歪ませた。すると、ファイアボールが噴出し、「DEVIL SIDE」がスタート。ランウェイを闊歩しながらHYDEは歌い、カメラを舐め上げるようなアクションには歓声が沸く。
続けて、のたうち回り追いかけて来る大勢のゾンビから逃げ回りながら歌ったのは最新シングル曲「INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White」。「Lucy in the Sky with Diamonds」では飛行船と一体化した自転車に跨り、手を伸ばして追って来るゾンビを尻目に舞い上がった。上がったり下がったり、サイケデリックな曲の浮遊感そのままに漂い、リズムもテンポも歌い方も声色も目まぐるしく変えながら、極彩色の幻想世界を表現していた。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
「THE JOLLY ROGER」はロング・アレンジを施したイントロに乗せ、K.A.ZもHYDEもフロア後方のサブステージへと移動してパフォーマンスを繰り広げた。やがてK.A.Zはフロートに乗って、HYDEは再び自転車に乗って上空へと浮かび上がって、いずれもセンターへ。思いも寄らないダイナミックな移動場面の連続に心が躍った。
そして、「ALSの難病の友だちが来てくれてて、(昨年に続き)今年もやるよ、アイス・バケツ・チャレンジ。ぶっかけるよ?」と帽子を脱いでバケツの氷水を頭からかぶるHYDE。凛々しい眼差しでブルブルッと頭を振って水を払い、「あ~冷たい」と短く一言。一瞬の出来事だったが、こうした巨大イベントでトライして病気への認知を広めたいというHYDEの真剣な想いが伝わって来た。
最後は、「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」を放ち会場を沸き立たせると、HYDEはゾンビに捕まり棺へ再び押し込まれ、手足をバタバタさせてあがきながらメインステージへと運ばれて行き、終演。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
ここまでですでに充足感のあるイベントだったのだが、20:22、大きな“事件”が発生。HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA前のアナウンスに続いて聞こえて来たのは、ピアノの調べ。なんとX JAPANのYOSHIKIが奏でるピアノを伴奏に、HYDEが「Say Anything」(X JAPAN)を歌い始めたのだ。この2週間前に同じ会場で開催された『VISUAL JAPAN SUMMIT』(以下VJS)で実現した奇跡の共演が再び叶った形である。
情感たっぷりに、ところどころ泣き叫ぶようにエモーショナルに歌い終えたHYDEは、「よくこういう時は、僕のイベントでは偽物が出てきますけど、本物です(笑)、YOSHIKIさんです!」と紹介し、ハグ。ランウェイを2人で歩き回りながら、YOSHIKIは「今日、僕はデヴィッド・ボウイの(『アラジン・セイン』の)メイクを」とコンセプトを明かし、「HYDEは特殊メイク?」と問い掛け、「……本来の姿です(笑)」(HYDE)といったやり取りも。
『VJS』への出演が決まった際にHALLOWEEN PARTYに出演することをYOSHKIが快諾し、今回の共演が実現したことを明かしたHYDE。「今朝LAから着きまして、夢の中にいるみたいです」とYOSHKIが語ると、「いつでも席空けておくんで」とHYDEはラブコールを送った。
『VJS』では「もう1曲あったじゃないですか? お願いしてもいいですか? 僕のファンの前で」(HYDE)とリクエストすると、「あの時のHYDEの声があまりにも素晴らしくて」とYOSHIKIは回顧。「この曲大好きです。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
いよいよ最後、HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAが勢揃いすると、前日に続きテルミンでHYDEが再現した曲を当てるクイズコーナーがスタート。「X」の熱唱が罰ゲームの一つとして用意されていたが、「今日はYOSHIKIさんが会場にいらっしゃるので、心を込めて歌ってください!」とMCのやまだひさしが念を押す。「PPAP」をテルミンで再現できていない、と咎められたHYDEは罰ゲームを受けることとなり、ランウェイで「X」を歌っていると、ギターを弾きながらダッシュしてきたYOSHIKI。振り返って気付きギョッとした様子を見せたが、マイクをYOSHIKIに向け「X!」シャウトを求めた。
なんと、その流れでYOSHIKIはゲームに参加することになり、Shinya、淳士(SIAM SHADE、BULL ZEICHEN 88)という3人で解答者として早押しに挑戦。HYDEによるテルミン演奏が始まる前にボタンを押してしまうなど、YOSHIKIは思わぬ言動で会場の笑いを誘った。
「DEPARTURES」(globe)をShinyaが正答しドラマー対決を制すると、“箱の中身は何だろな?”なる罰ゲームをYOSHIKIが受けることとなり、「YOSHIKIさんを一人にするわけにいかないから」とHYDEと2人で箱に手を突っ込む(正解はダンシング・フラワーで、HYDEが解答)……という他では決して見られない展開に。この贅沢な時間は、YOSHIKIとHYDEの固い握手で幕を閉じた。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
最後は、出演者一人ひとりをHYDEとDAIGOで丁寧に紹介。YUKI(Gt / Rayflower, DUSTAR-3)は「自分の演奏でYOSHIKIさんが歌ってくれるとは思ってませんでした!」、淳士は「まさかYOSHIKIさんの後ろでドラムが叩けるなんて……高1でYOSHIKIさんを見てツーバスにしたんです」とロック・キッズに戻ったかのようなコメントでこの日の奇跡を感慨深げに振り返っていた。
MUCC逹瑯は顔を真っ黒に塗って“ジバニャン”仮装時の鼻を使いまわしたという自称・黒猫大佐仮装だったが、HYDEに「アザラシかと思った」と評されると「アザラシです」と即答、笑いを誘うと、「出演者もお客さんもこんなに楽しみにしてるイベント、ないですよ」とコメント。HYDEが「今日で最終日だから寂しいね」と言えば、DAIGOは「このステージを降りた瞬間に“ハロパ・ロス”になります」と返答。来年へのカウントダウンが365から始まる、とこのイベントへの愛を語った。
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
最後は「HALLOWEEN PARTY」を全員で歌い、銀吹雪が舞い散る中メインステージを離れ、ランウェイを歩き、続いてフロアに降りてお菓子を投げ入れて観客との交流を図った。「また来年会おうぜ!」とHYDEは挨拶、ステージから去る最後の最後まで何度も笑顔で手を振っていた。
「また来年会えることを楽しみにしている、あっはっは!」(HYDE)という影アナウンスで4時間30分に及ぶイベントは終了。本格的な仮装、夢の共演、想像を上回る奇跡の場面……10回目を迎えた国内最大級のハロウィンイベントは、まだまだ進化し続けている。
(取材・文/大前多恵)
撮影/今元秀明、緒車寿一、田中和子
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