でんぱ組.inc 相沢梨紗ソロインタビュー 5年の節目にベストをリリース /インタビュー1

■でんぱ組.inc/Best Album『WWDBEST ~電波良好!~』インタビュー(1/2)

「どんなに悩んだり嫌なことがあったりしても、でんぱ組.incになる前の自分には戻りたくない」

相沢梨紗ことりさちーはライブになると人が変わる。例えば、6人揃ってのインタビューでは、他のメンバーが思いの丈を話した後、グループとして足りない部分を補いながら、自分の意見を入れ込む冷静で聡明で静かな印象を受ける。
しかし、これがライブとなると一転、時には「かかってこいや!」という、りさちーの絶叫にも似た煽りからスタートすることが多い。普段はイメージカラー通りの白だが、ライブの彼女は赤から黄色を経た、温度の高い真っ白な炎のように見える。声優、アニソンシンガーに憧れていた彼女が、秋葉原ディアステージに入店し、でんぱ組の立ち上げに参加したのが2009年6月。11年7月にリリースされたシングル『ピコッピクッピカッて恋してよ』でリーダーに就任し、同年11月にシングル『Future Diver』をMEME TOKYO/TOY’S FACTORYからリリース。初ワンマンライブから丸5年という節目でリリースされるキャリア初のベストをリリースする彼女に、これまでの道のりを振り返ってもらった。
(取材・文/永堀アツオ)

「ウチら今日発売日なのに違う仕事してて大丈夫ですか?」

――今年のクリスマスで現在の6人体制になってから丸5周年を迎えます。

相沢梨紗(以下、相沢):なんかあっという間のような、5年って意外と短いなっていう印象が強くて。アルバムが出るたびに……本当に最初のアルバムは売れなかったんですね(笑)。平日に握手会をやるとあまりお客様がいらっしゃらなくて。ファンの方がループして、仲間のファンの方が仕事が終わって駆けつけるのを待ってくれるみたいな。一人5分ずつ話すのをグルグルやって、つないだりしてたのを昨日のことのように思い出しちゃうので、変わってないなっていう。

――ファンの数やライブ会場の規模がどんどん広がっていっても、気持ちはそんなに変わらないですか?

相沢:最近、『最■最好調!』(■はギリシャ文字の「プサイ」)っていうシングルが出たんですけど、リリース日は、次の曲「WWDBEST」のミュージック・ビデオ撮影をしてて、インストアイベントをやってなかったんですよ。
ある時から発売日にインストアイベントをしなくなる時期がきたんですけど、それがすごく不安で。いまだにちょっとざわざわしちゃうんですよ。「ウチら今日発売日なのに違う仕事してて大丈夫ですか?」みたいな。

――あはははは。不安の方が大きいんですか?

相沢:もちろん、やっぱり直接会えなくても支えてくれるって愛情がないとできないことなので、その愛情が深くて、応援してくれてる人がたくさんいるっていうのはもちろん肌で感じられるんですけど、それとは別に申し訳ないというか。自分たちが直接動けないことにちょっとした申し訳なさを感じるのは、アキバならではというか(笑)。お店発だからっていうところは自分でもあるのかなって思って。でもそれはなくさないで今後も行けたらいいなって実感しているので、CD出すたびに思いますね。

でんぱ組.inc 相沢梨紗ソロインタビュー 5年の節目にベストをリリース /インタビュー1

あの曲を一番地に足つけてできたワンマンライブはアストロだと思います

――ここから5年前を振り返っていただきたいんですが、2011年12月25日に開催された初ワンマンは覚えてますか? このライブを持って、もが(最上もが)とピンキー(藤咲彩音)が加入して。

相沢:アストロ(原宿Astro Hall)ですよね。覚えてます。それこそ7人でリハをしたりして。
誰かが卒業しちゃうライブをしたことがあまりなかったんですね。今までの自分の人生を振り返ってみても、中途半端にいろんなことを投げ出しちゃうタイプだったので、自分たちでちゃんと最終回を作る作業って初めてだったんです。だから、嬉しかったり悲しかったり、不安だったり。二人のこともまだ全然わからなかったし。そういう複雑な感じでやってた覚えがあります。ただ、「Future Diver」がすごい楽しかったことも覚えていて。あの曲を一番地に足つけてできたワンマンライブはアストロだと思います。それ以降は緊張しちゃったり、いろんなまた別の感情があったので、その時のライブはすごく覚えてますね。

――その半年前にリーダーになってますよね。

相沢:そう。私はでんぱ組にリーダーはいらないと思ってたので、その時は「リーダー作るんだ。アイドルっぽいな」って思いました(笑)。
みんながそれぞれ自立したグループで、意志もしっかり持ってるし、やりたいことがあるし……やりたいことがありすぎて、はじめはでんぱ組.incに身が入らなかったりみたいなこともあったグループだったので(笑)。私は勝手になんとなくみりんちゃん(古川未鈴)がリーダーだと思ってて。私はどちらかというと、連絡したり、物販を作ったりする副班長だと思ってたんですよ。だから、「私なんだー」ってなりましたけど、今もリーダーらしいことは特に何もしてなくて。5つの意見を見て、今、一番いい方法はこれだねって言う役みたいな感じですね。

――ライブは相沢さんの煽りからスタートしていきますよね。あれはリーダーっぽいなと思う。

相沢:つい煽っちゃうんです(笑)。私、ライブってすごく緊張しちゃうんです。でも煽ると緊張がほぐれるので、自分なりの緊張のほぐし方みたいなところもあって。煽った時にファンの人たちが呼応してくれた瞬間にやっと緊張がほぐれるんです。たぶん自分なりの緊張のほぐし方が板に付いちゃったみたいなところもあるのかもしれないですね。


でんぱ組.inc 相沢梨紗ソロインタビュー 5年の節目にベストをリリース /インタビュー1

でんぱ組.inc 相沢梨紗ソロインタビュー 5年の節目にベストをリリース /インタビュー1

自分たちの力だけじゃ武道館に立つパワーがなかった

――この5年間の中で特に記憶に残ってる印象的な出来事をあげるとすると何ですか? いろんなことがあったと思いますが。

相沢:やっぱり(日本)武道館は欠かせないですね。あの日もめちゃめちゃ緊張していたけど、ちょっと特殊だったなっていうのがあって。私の考えてた武道館ってもっと広かったんですよ。でも、わりと近かったです、みんなが。

――ディアステージを武道館に持っていく、ようこそディアステージへと言うテーマでした。

相沢:まさにそのまんまだったから、ディアステきたなっていうのがありつつ、異常に緊張するディアステだな、みたいな(笑)。あとで映像を見返して見たら、はじめの2、3曲は真顔で(笑)。ちゃんと笑え!って思いました。でも、あの時でんぱ組.incは武道館ギリギリだったんです。たぶん自分たちの力だけじゃ武道館に立つパワーがなかったというか、資格がなかったというか、ちょっと足りてなくて。その足りない部分をファンの人が補強してくれたというか。
みんなが押し上げてくれた感じがしてましたね。

――一つの大きな夢が叶ったと言う達成感みたいなものはなかったですか?

相沢:最後の「サクラあっぱれーしょん」で終わって、ずっとまわってる間にステージが降りてって、お客さんに見えなくなった瞬間に、みんなで終わった~って座り込んだんですよ、ぺたんって。「終わっちゃったね~」って言ったら「え、今までライブやってたっけ?」みたいになっちゃって。「あ、終わっちゃったんだ……」って、ちょっと夢から覚めたみたいな感じになって。終わったあとすぐは満足っていうよりは、次はもっとこういうふうにしなきゃいけないね、みたいな感じのモチベーションだったんです、全員が。やる前から「ここをゴールにしないようにしないとウチらはヤバイね。ここをゴールにしたら本当に終わっちゃう」って話してたので。でも、あそこで終わっちゃってもいいくらい、いいライブだったと思うんです。でも終わらないために、自分たちが終わらないようにしようっていう目標は決めてやってたので、ゴールって感じはしなかったです。

――その次の目標って何でしたか?

相沢:その後は明確なものはあんまりなかったんです。武道館ってやっぱりわかりやすい目標だったんで、お客さんにスッと言える目標というものがなくなってしまって。ウチらはつねにいいライブをしようっていうのを目標にしたんですけど、たぶん本心は、武道館よりもいいライブをしなきゃいけないっていうのがあった。
だけど、まだそう言える自信がなくて。あのライブよりもお客さんと一体になれるライブがいつかできるかな?っていうことが、私の中では大きな課題になりましたね。

――インタビュー2へ

≪リリース情報≫
Best Album
『WWDBEST ~電波良好!~』
2016.12.21リリース

【初回限定盤】(3CD+DVD+64P 歌詞ブックレット)
TFCC-86579 / ¥4,000 (税抜)
WWDBEST ~電波良好!~【初回限定盤】(3CD DVD 64P 歌詞ブックレット)
WWDBEST ~電波良好!~【初回限定盤】(3CD DVD 64P 歌詞ブックレット)
おすすめ度5つ星のうち 5
¥3510
CDジャケットヴィジュアルは、「Future Diver」「でんぱれーどJAPAN」など初期のでんぱ組作品を手がけてきたクリエイター、ファンタジスタ歌磨呂が担当。 CDは3枚組、全42曲収録で「 Future Diver」「でんでんぱっしょん」「ちゅるりちゅるりら」「おつかれサマー!」などのシングル代表曲をはじめ、LIVEでの人気楽曲や、LIVEでは披露されていたものの未発表音源であった「君も絶対に降参しないで進まなくちゃ!」も、今回のために再アレンジレコーディング。 そして、このアルバムに初収録される新曲「WWDBEST」は、いままで、でんぱ組.incの音楽を作り上げてきた11人の豪華作家陣による共作楽曲。作詞は、前山田健一、畑 亜貴、meg rock、かせきさいだぁ、只野菜摘、NOBEの6名が手がけ、作曲は玉屋2060%、浅野尚志、釣 俊輔、Tom-H@ck、小池雅也といった、とんでもないクリエイターの組み合わせによる、でんぱ組.incだからこそ引合せ、実現できた実験的な楽曲となっている。 初回限定盤付属のDVDには「でんぱれーどJAPAN」から最新楽曲「WWDBEST」までのMusic Videoを余す事なく全てコンプリート。「WWDBEST」のメイキング映像も収録される。
商品をチェックする!

【通常盤】(3CD+64P 歌詞ブックレット)
TFCC-86580 / ¥3,000(税抜)

[収録曲]
●Disc1
1. 電波良好!
2. Future Diver (6人 ver.)
3. でんぱれーど JAPAN
4. キラキラチューン
5. W.W.D
6. 冬へと走りだすお!
7. 強い気持ち・強い愛
8. Sabotage
9. でんでんぱっしょん
10. ノットボッチ...夏
11. ORANGE RIUM
12. 君も絶対に降参しないで進まなくちゃ!
13. くちづけキホボンヌ (6人 ver.)
14. W.W.D■(■はローマ数字の「2」)
●Disc2
1. Dear■(■は「星マーク」)Stageへようこそ■(■は「ハートマーク」)
2. なんてったってシャングリラ
3. VANDALISM
4. イツカ、ハルカカナタ
5. ナゾカラ
6. ファンシーほっぺ■(■は「ハートマーク」)ウ・フ・フ
7. ちゅるりちゅるりら
8. まもなく、でんぱ組.incが離陸致します■(■は「ハートマーク」)
9. 檸檬色
10. ムなさわぎのヒみつ?!
11. イロドリセカイ
12. でんぱーりーナイト
13. バリ3共和国
14. サクラあっぱれーしょん
●Disc3
1. FD2 ~レゾンデートル大冒険~
2. NEO JAPONISM
3. ダンス ダンス ダンス
4. ブランニューワールド
5. おつかれサマー!
6. アキハバライフ■(■は「音符マーク」)
7. 破 ! to the Future
8. ファンファーレは僕らのために
9. STAR■(■は「星マーク」)ットしちゃうぜ春だしね
10. ユメ射す明日へ
11. ■(■はギリシャ文字の「プサイ」)です I LIKE YOU
12. 最■(■はギリシャ文字の「プサイ」)最好調!
13. あした地球がこなごなになっても
14. WWDBEST
<DVD> ※初回限定盤のみ収録
ミュージック・ビデオ集 ※副音声コメンタリー付き
1. でんぱれーど JAPAN
2. 強い気持ち ・ 強い愛
3. キラキラチューン
4. W.W.D 5. 冬へと走りだすお!
6. でんでんぱっしょん
7. ノットボッチ...夏
8. W.W.D■(■はローマ数字の「2」)
9. サクラあっぱれーしょん
10. ファンシーほっぺ■(■は「ハートマーク」)ウ・フ・フ
11. ちゅるりちゅるりら
12. 檸檬色
13. でんぱーりーナイト
14. バリ3共和国
15. Phantom of the truth
16. 超絶ウルトラ■(■は「星マーク」)Happy Days
17. ギダギダ da ズバズバ da!!
18. おつかれサマー!
19. ムなさわぎのヒみつ ?!
20. あした地球がこなごなになっても
21. アキハバライフ■(■は「音符マーク」)
22. STAR■(■は「星マーク」)ットしちゃうぜ春だしね~ファンファーレは僕らのために
23. 最■(■はギリシャ文字の「プサイ」)最好調!
24. WWDBEST
25. WWDBEST メイキング映像

≪ツアー情報≫
【でんぱ組.inc 幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi完備!】
2017年
1月6日・8日・9日 @幕張イベントホール
1月14日・15日 @神戸ワールド記念ホール
1月20日 @日本武道館

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