
恋人への不満を本人に伝える筆者に、火星人のうんこでものぞき見るかのような表情で、「どうしたの…?」と、彼は聞いてきます。
はらわたが煮えくり返る筆者とは裏腹に、千利休のように落ち着きを払った彼から、「落ち着きな こぶ茶を淹れて あげるから」と、五七五と共にお茶でも出された日には、お茶だけに「カンパイ(完敗/乾杯)」です。
小学4年生に「どんな歌が好き?」と聞いたら「クラシック」、母に「何かあった?」と聞いたら「友人が凍死した」……。これまで予想外の返答にたまげたことは多々ありますが、不満を伝えているのに、その本人からの第一声が「どうしたの…?」というのも、なかなかのおったまげアンサー。
あなたの日頃の行為に不満が爆発し、そして自分のことを言われているのに「どうしたの…?」という発言が、筆者を更に爆発させているのだよと、新たな不満につながり、火に油を注ぐ事態になるのです。
「どうしたの…?」が思わせる態度や、発言の意図をお伝えします。
悪びれていない態度

このとき彼が聞く「どうしたの…?」は、「そんなに怒って、どうしちゃったのさ?」という意味に受け取れます。ということは、筆者が彼に対して不満に思っていることを、彼は悪いと思っていないと思えてくるのです。悪いと思っていないなら、それはそれで、なぜそう思うのか説明してくれればいいのですが、そこではなく、最初にそんなふうに受け取れる態度をとられることが問題なのです。
嫌味で反撃しているのかも

こちらが感情的になっているタイミングで、「どうしたの…?」などと口に出したところで、事態がプラスに動かないことくらいは想像できるはずです。ということは、「どうしたの…?」は、不満をぶつけられた彼なりの嫌味な反撃なのかもしれません。
当然ながら、感情的になっている筆者に対して、彼が反撃しては、事態が悪化する一方なのに…。
「思いやり」かも…

あるおしどり夫婦の旦那様が言っていました。「相手の立場になって物事を考えることが大切だ」と。
もし彼が感情的に、筆者に対する不満を伝えてきて、筆者が「どうしたの…?」と言った場面を想像します…。
あれまぁ、少しだけ、爆発した彼に何かあったのか心配する気持ちを抱きました。もしかしたら彼は、爆発した筆者に、仕事や人間関係などで何かあったのか心配してくれているのかもしれません。
しかし、このままほっこりとは終えられません。
まず、筆者の周りの環境を心配する前に、ネズミ小屋のDIYなど、自分にとって楽しいことだけやり、毎朝のエサ交換は筆者にやらせるなどの自分の日頃の行いが、いかに筆者を爆発寸前に追い込んでいるか気づいてほしいところです。

不満を聞き、それに対する自分の意見を述べて仲直りをした後、「何かあった?」と心を案じてくれたのならば、そのときは素直に「思いやり」と受け取れます。
本人を直撃。「どうしたの…?」の真意は?


ここまで、なんやかやと想像を巡らせてきましたが、なぜあのタイミングで「どうしたの…?」と言うのか、彼本人を直撃しました。
曰く、やはり予想通り、感情的に不満をぶつける筆者に対し、「ちょっと冷静になってよ。どうしたの?」という意味とのこと。
もうひとパターンあるそうです。とらえ方がすれ違っていて、身に覚えのないことで怒られ、「ちょっと待ってよ、落ち着いて話聞いてよ。どうしたの?」という、「どういうこと?」に似た意味のときもあるとのことです。
筆者が想像していた「嫌味な反撃」の意図はありませんでしたが、「思いやり」の意図もありませんでした。
「どうしたの…?」ではなく


彼の発言の真意はわかりましたが、いずれにしても、実際こうして受け手である筆者は「どうしたの…?」発言により、このような想像を巡らせ、不満を増加させたので、言わない方がいいです、「どうしたの…?」は。
「どうしたの…?」ではなく、感情的になるまでに不満をためさせたことを考えた発言を真っ先にしてくれれば、すれ違ったとらえ方だったときも、「誤解だよ」と結論から述べてくれれば、その先の展開もきっと変わるはずです。
(武井 怜)