
「育児休業」といえば妻というイメージがあるが、近年、育児休業を取得する夫も増えている。厚生労働省の「平成27年度雇用均等基本調査」によれば、男性の育児休業取得率は2.65%になり、平成24年度の1.89%から順調にアップしている。
まだまだ少ないとはいえ、確実に増えつつある夫の育児休業。一方で、妻からすればちょっと迷惑な場合もあるようだ。
夫の育休に対する妻たちからの声
ネット上では、夫の育休に対して、妻からは当然「育児を手伝ってくれて助かる」「夫に育児を任せて外出できる」「ママとパパ両方が家にいるので子供にいい影響がある」などの喜びの声が上がっている。しかし、次のようなマイナスの声も見逃せない。
「いざ取得したら、毎日ジム通い」「何もしないで家にいる」などの大きな子どもが増えただけという声や、「うんちのときのおむつ替えは絶対にやらない」など、育児はするものの、中途半端にやられると逆に迷惑になるという声もあった。
下手に育児休業を数日取るよりも、毎日定時に帰ってきてもらったほうがよっぽど楽、という声すら挙がっている。
夫の育休におけるメリット・デメリット
どうやら夫の育休は、フタを開けてみると、単純に両手を挙げて喜べるものではないようだ。育児情報誌miku編集長で、子育てアドバイザーの高祖常子さんに、ネット上の声についてコメントをもらった。
「育児休業は『休暇』ではなく、育児・家事、ママのサポートのための時間。産後すぐの取得の場合は、ママと育児を一緒にスタートできるというのが最大の利点です。もちろん、ママのほうが赤ちゃんのお世話が上手だと思いますが、パパも経験することが大切です。抱っこやおむつ替えなどは、何度もやることで、だんだん上手になっていきます。あとはママの精神的なケアを意識することが、夫婦にとって大きなメリットになります。
『頑張って数日の育休を取るよりも、定時に帰ってきて欲しい』というのは、確かにたくさんのママたちの声として聞きます。
夫の育休はどうすればうまくいく?

夫の育休は、妻にとってマイナスになることもある。では、どのようにするとうまくいくのか。
●育児に関わろうとする気持ちを持つ
「育児休業を取る・取らない以前に、大切なのはパパの気持ち。もちろん乳児期は赤ちゃんのお世話の手が複数あるほうが助かります。育休を取れなくても、なるべく早く帰ろうとしたり、帰宅後にママの話を聞いたり、ねぎらったり、困ったことの解決案を考えたりするだけでも、ママとパパが一緒に子育てしている気持ちをお互いに感じられるはずです」
●ママからパパに指示する
「育児・家事の経験値が少ないパパは、ママから具体的にやって欲しいことを指示してもらうのがいいですね。家事をパパに託すと『思い通りにやってくれない』とママがイライラする原因になることもあります。パパは、何でもやろうとせず、ママが手放せる家事だけを引き受けましょう。その際、任せられた仕事の細かいことには、多少目をつぶってもらうこと。お互いに感謝の気持ちを忘れないことも大切です」
●育休取得のタイミングを合わせる
「育休取得のタイミングは、出産直後とママの仕事復帰に合わせるのがおすすめです。育休は通常1回の取得のみですが、産後8週までにパパが育休取得すると、1歳2カ月までの間に再度の取得が可能です。
出産直後はもちろん、ママの仕事復帰時に育休を取るといいのは、保育園入所が一緒にスタートする時期だからです。子どもは保育園に慣れるまでグズグズしますし、ママもブランクがあることで新たな仕事に慣れるのが大変。
育休は、取る前に過ごし方や取るタイミングのことも考える必要があるようだ。
(石原亜香利)
取材協力
高祖 常子さん
育児情報誌miku編集長、子育てアドバイザー
子育て支援を中心に編集・執筆・講演を続けながら、子ども虐待防止と、笑っているパパを増やすべくNPO活動も行う。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、NPO法人タイガーマスク基金理事、NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事ほか。3児の母。
http://www.kosodate.co.jp/miku/