連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第17週「運命のひと」第99回 7月26日(水)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:黒崎 博
「ひよっこ」99話。和久井映見の輝き力は、本当に凄い
イラスト/小西りえこ

連続朝ドラレビュー 「ひよっこ」99話はこんな話


1967年、春、愛子が、あかね荘に入居した!

いろいろな変化をメモしておきます


年が変わって、いろいろなことがちょっとずつ、動いている。
三男(泉澤祐希)には、さおり(伊藤沙莉)との結婚のプレッシャーがのしかかりながら、必死で抵抗を試みている様子。
高子(佐藤仁美)みたいに、思い切ることはなかなかできないようだ。そりゃそーだ。時子(佐久間由衣)への想いが解決していないのだから。

みね子は、高子みたいになってきた。月給も1万円から、11200円にアップして、元気に頑張っている。
現実的に考えると、高子がいなくなった分が還元されたのだろう。
ちなみに、現実世界では、最低賃金が、全国平均で25円アップしたというニュースが、この日(26日)、報道された。

ヒデ(磯村勇斗)は「みね子」と呼び捨てになった。「対等な仲間でしょ」と理由付けしていたが、ヒデのやる気が感じられるのは気のせいか。こちらは少々進展の兆し?

でも気になるのは、ふたりとも、おしゃべり中は、じゃがいもの皮むきの作業の手が止まっちゃっていることだ。これに関しては、いっこうに改善が見られないぞ。

増田明美いわく「永井愛子アワー」


内巻きボブ、カチューシャは、1ドラマにひとりでいいとばかりに、高子が退場すると、愛子(和久井映見)が、入場してきた。
彼女があかね荘に入居したことで、がぜん、場が華やぐ。
和久井映見の輝き力は、本当に凄い。

富さん(白石加代子)とも早苗(シシド・カフカ)とも仲良くなり、漫画家ふたり(岡山天音、浅香航大)ともうまくいっている。
憧れの省吾(佐々木蔵之介)が腕を振り上げたところで、愛子がストップをかけた、そのポーズは、愛子の部屋に貼られたプロレスのポスターのポーズみたいだった。

ところで。
改めて、画面に、「永井愛子」とテロップが出て、あれ、この名前どこかで・・・と思ったら、劇作家であり演出家でもある永井愛の「子」抜きだった。
永井愛といえば、朝ドラの「オードリー」(00)や「ふたりっこ」(96)を書いた大石静(10月から、倉本聰の後を受けて、昼ドラで「トットちゃん!」を書く)とふたりで、劇団・二兎社を立ち上げた人物だ。大石の退団後、二兎社は、永井愛が主宰し、プロデュース公演を行っている。そして、そこに、佐々木蔵之介が「新・明暗」(02)と「こんばんは、父さん」(12)に出演しているのだった。演劇好きなら、ちょっと気になるささやかなリンク。
愛子と省吾の今後の進展が気になる。

運命のひと 登場


すずふり亭に、女優・川本世津子(菅野美穂)が再び訪れ、今度は、食事を堪能した。
美味しい、美味しいと、食事を楽しむ川本世津子は、売れっ子女優にしては、ずいぶんと庶民的な印象だ。

あとで、仕事のときの食事は、鎧を着ていると、告白。ここでは、鎧を脱いで、素の彼女でいたようだ。
食うためだけに女優の仕事をやってきた、本当は、白いご飯と漬物さえあればいいという世津子は、元々は庶民の出なのだろう。
すずふり亭のように、気取ってなくて味は一流の女優になりたい、という世津子。その願いのとおり、気取ってなくて、好感度が高い。省吾たちに、親指を立てたグーのポーズをするところなど、気取らない表現ということか。

と、ここで、印象的なのは、すずふり亭は、洋食屋ではあるが、ご飯にも合うように作っているという鈴子(宮本信子)の台詞。朝ドラ「ごちそうさん」(13)のめ以子(杏)の父(原田泰造)の店は、ご飯も箸も置かなかったため、叩かれたことを思い出す。

さて。みね子が、突如、CMの代役を頼まれたりして、状況に変化が? 
和久井映見、菅野美穂と、強力な布陣で、「ひよっこ」67年編の展開が楽しみだ。
(木俣冬)
編集部おすすめ