■9月2日(土) DAY1
昨年に続いて2回目となる『秋田 CARAVAN MUSIC FES 2017』が開催された。主催はもちろん、秋田が生んだシンガーソングライター高橋優。ステージは「白神STAGE」と「鳥海STAGE」の2ステージ制で、それぞれ秋田県の北と南にまたがる山の名前から取られている。また、フードエリアにはご当地フードが用意されていたり、県出身の著名人からの映像コメントがあったりと、秋田色満載で故郷を盛り上げる。
そしてこのフェスの特色のひとつが、“キャラバン”であること。毎年会場を変えて秋田県内にある13の市を移動しながら開催されるのだ。ここにも高橋の秋田愛が溢れている。昨年の出身地・横手市での開催に続き、今年の舞台は由利本荘市の鳥海高原 花立牧場公園。標高2236メートルの鳥海山をのぞむ自然豊かな、まさに絶好のフェス・ロケーションだ。さらに、各出演者と高橋優のコラボレーションが必ず行われるというのも注目のポイントだ。
由利本荘市の長谷部市長の力強い開会宣言に続いて、高橋優が白神STAGEに登場。
鳥海STAGEで行われたキンタロー。とのコラボは、社交ダンス。花柄のド派手なシャツを第3ボタンまではだけて、胸元には真っ赤なバラが一輪刺さっている。いつ練習したのか、フェスマジックなのか、さまになっている。
「LAST HERO」からBLUE ENCOUNTのステージが始まった。各地のフェスで鍛え上げられたライブ巧者ぶりはさすがだ。高橋優を呼び込み、100年後、秋田は人口減少で消滅している可能性があるというMCの後、「生き残っていこうぜ秋田!」と高橋が呼びかけ、ブルエンの「Survivor」を一緒に歌った。「秋田はすげえよって、このフェスから伝えていけることがあるんじゃないの!」(田邊 / Vo) 高橋優とブルエン、音楽性は違うが、歌の強度とまっすぐさは通じ合っている。
続いて鳥海STAGEには今をときめく人気者が登場。ANZEN漫才だ。
カンフー着を模したお揃いの衣装で登場したのはPUFFY。新曲からカバー(グリーン・デイ『バスケット・ケース』)、さらには誰もが知っているヒット曲まで、レンジの広いセットリストを組めるあたりに、今年で21年目というキャリアもうなずける。また、それらの曲をきっちりロックバンドのフォーマットでフェス仕様に仕上げてくるあたりもさすがだ。「これが私の生きる道」を高橋優とコラボでフィニッシュ。
40分間のインターバルを挟み、BEGINが登場。三線のなんとも言えない響きとウチナーグチが由利本荘の空に溶けていく。MCを挟んで、同じリズムで様々な曲をつなげて歌う「マルシャショーラ」という12曲30分のメドレーに突入。日本の歌謡曲の歴史を紐解くような構成に会場はカーニバルのような盛り上がりを見せる。そしてこのメドレーの終盤に高橋優とサザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」を披露した。
鳥海STAGEでミラクルひかるが次々繰り出す、JUJUや松任谷由実などのディーヴァ・モノマネはまさにプロの技。
16:00。高橋優がステージに登場。会場に向けて深々と一礼してアコギを構える。1曲目は「同じ空の下」。イントロから会場中でハンドクラップが打ち鳴らされ、肩車されたちびっ子が両手を挙げている。なんて幸せな光景なんだろう。高橋優がいかに地元・秋田でスーパースターなのかがわかる。フォーキーなミドルチューンから一転、言葉をギュッと詰め込んでポエトリーリーディングのように放たれるアップテンポ・チューン「BE RIGHT」へ。
今更ながら気づいたが、オーディエンスに向かって呼びかけるとき、高橋は「秋田」よりも「由利本荘」という地名を多く口にする。そこに、このフェスの本質を見たような気がした。
ライブは「虹」「Mr.Complex Man」「パイオニア」「明日はきっといい日になる」とハイテンションに進み、会場の一体感が増していく。そして、怒涛のコール&レスポンスで作り上げる楽曲「泣ぐ子はいねが」に突入。秋田の言葉で歌われる秋田の歌を秋田で聴くフィット感がたまらない。「みんなの意志がひとつになってここでこうやって過ごさせてもらってるんだと思います」というMCから、本編最後は「ロードムービー」を披露した。
アンコールでは、BLUE ENCOUNT、BEGIN、ミラクルひかるをステージに呼び込み、「福笑い」を一緒に歌って1日目を終えた。降水確率90%からの大逆転――。最後に見上げた青空がまぶしかった。
■9月3日(日) DAY2
初日に続いて8000人のオーディエンスが詰め掛けた2日目は快晴のもとスタート。「現実という名の怪物と戦う者たち」の弾き語りから。昨日の続きのまんま会場のテンションはできあがっていて、この日も良いライブになりそうな予感に心が躍る。
昨日に続いて登場したミラクルひかるはまたあの人と「二人の銀座」をデュエット。
白神STAGEのトップバッターはFLOW。2MCから繰り出されるアグレッシヴなパフォーマンスは、会場をいきなりピークタイムに持っていく。隙のないセットリストで盤石のライブを展開。コラボ曲は「流星」。両者の親密さが滲み出るようなあたたかいグルーヴが最高だった。最後の曲「GO!!!」では8000人のオーディエンスとウェーブを作ったりコール&レスポンスをしたり、とにかく盛り上げてトップの役割を十分すぎるくらい果たしたステージだった。
バンドスタイルで鳥海STAGEに現れたのは、はなわ。故郷を背負ってパフォーマンスする姿は、このフェスにぴったりだ。コラボ曲は、高橋も聴いて感動したという13年ぶりのシングル「お義父さん」。オーディエンス一人一人の物語として染み渡っていった。
「瞬間センチメンタル」「太陽スキャンダラス」とノリのいい曲を畳み掛けるSCANDALのステージは、フェス映えする。
2年連続で『秋田CARAVAN MUSIC FES』のステージに立つのはスガ シカオ。オープニングは「19才」。挨拶代わりのぶっといファンク・グルーヴが会場をうねる。5月に開催されたスガ シカオ20周年のイベント『スガフェス!」で結成されたスガシカオ+高橋優+山村隆太(flumpool)によるアコースティック・ユニット“スガンプーユ”を二人で再現。「夜空ノムコウ」と、福山雅治の「家族になろうよ」を披露した。年齢やジャンルをいとも簡単に飛び越える音楽の楽しさに溢れた二人のハーモニーが会場を包んでいく。ライブの最後は遊び心満載の「したくてたまらない」。カッコいい音楽とは何か、そいつを体感できたライブだった。
もはや自己紹介も「ボン・ジョヴィです!」の椿鬼奴。ちょいちょい、夫である秋田出身のグランジ大も登場。BARBEE BOYS「目を閉じておいでよ」では、酒焼けの声で張り裂けんばかりに歌う杏子鬼奴の隣で、ソプラノサックス片手にハイトーンボイスを駆使するのはKONTA高橋優。しかし、参考にしたのはRGだそう。
大トリ、高橋優のステージは「Mr.Complex Man」「BE RIGHT」のアップテンポ楽曲ツートップから始まった。MCの最中にまた雨がパラつく。つくづく山の変わりやすい天候に左右された1日を振り返りながら、そんな中で最高のパフォーマンスをしてくれた各アーティストとオーディエンスに感謝の気持ちを素直に示し、「虹」を歌う。覚悟を決めた気迫が音に乗る。そしてそれが会場にも伝わっていく。これぞライブ、もはや無敵の状態で「パイオニア」「こどものうた」「明日はきっといい日になる」を間髪入れずに披露していく。時にシリアスに、時に愛おしく、高橋が見つめる未来へのまなざしが感じられるような選曲が胸を打つ。そしてそれは、次の「泣ぐ子はいねが」で秋田へフォーカスされていく。
「秋田は強えんだぞ! 秋田はカッコいいんだぞ! 秋田はどこよりもすげえんだぞ!」
様々なタイプのフェスが日本全国に乱立している状況にあって、この『秋田CARAVAN MUSIC FES』はオリジナルな魅力を放っている。その根幹にあるものは“つながり”だ。刺激し合えるアーティスト仲間とのつながり。高橋優の音楽を聴いてくれる人たちとのつながり。そして、故郷秋田とのつながり。普段は目に見えない“つながり”が、このフェスでははっきり見えるのだ。まるで鳥海高原の夜空に輝く、東京では見えない星座のように。
「ロードムービー」、これはもう一人ひとりの人生のテーマソングだ。
そして、ミラクルひかる、FLOW、SCANDAL、スガ シカオ、椿鬼奴がステージに集結してみんなでリレーして歌う「福笑い」、これはもう秋田の「We Are The World」だ。最後には、高橋からうれしい発表が2つあった。まず1つは、11月22日に18枚目のシングルをリリース! そして2つ目が、12月7日より全国ツアーが始まることがアナウンスされた。
さて、来年はどの町にキャラバンは行くのだろう? 地続きの旅はまだまだ終わらない。
≪セットリスト≫
■9月2日
オープニング(弾き語り):微笑みのリズム
1. 同じ空の下
2. BE RIGHT
3. 虹
4. Mr.Complex Man
5. パイオニア
6. 明日はきっといい日になる
7. 泣く子はいねが
8. ロードムービー
<ENCORE>
1. 福笑い
■9月3日
オープニング(弾き語り):現実という名の怪物と戦う者たち
1. Mr.Complex Man
2. BE RIGHT
3. 虹
4. パイオニア
5. こどものうた
6. 明日はきっといい日になる
7. 泣く子はいねが
8. ロードムービー
<ENCORE>
1. 福笑い
≪リリース情報≫
New Single
『タイトル未定』
2017.11.22リリース
【期間生産限定盤】CD+DVD
WPZL-31401
¥1,500(税抜)
※4曲入り(収録内容未定)
【通常盤】CD
WPCL-12806
¥1,200(税抜)
※4曲入り(収録内容未定)
≪ツアー情報≫
【高橋優全国LIVE TOUR 2017-2018「ROAD MOVIE」】
2017年12月7日(木)埼玉・三郷市文化会館 大ホール ※FC限定販売公演
2017年12月14日(木)千葉・森のホール21 大ホール
2017年12月19日(火)茨城・ひたちなか市文化会館 大ホール
2017年12月24日(日)新潟・新潟テルサ
2018年1月7日(日)宮城・東京エレクトロンホール宮城
2018年1月8日(月・祝)山形・やまぎんホール
2018年1月10日(水)秋田・秋田県民会館
2018年1月12日(金)岩手・盛岡市民文化ホール 大ホール
2018年1月13日(土)青森・リンクモア平安閣市民ホール
2018年1月20日(土)福井・福井市文化会館
2018年1月21日(日)富山・富山県民会館
2018年1月25日(木)愛媛・松山市総合コミュニティセンター キャメリアホール
2018年1月27日(土)和歌山・和歌山市民会館 大ホール
2018年1月28日(日)奈良・なら100年会館 大ホール
2018年2月1日(木)岐阜・長良川国際会議場 メインホール
2018年2月3日(土)京都・ロームシアター京都 メインホール
2018年2月4日(日)兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
2018年2月6日(火)熊本・熊本市民会館
2018年2月9日(金)高知・高知県立県民文化ホール オレンジホール
2018年2月10日(土)徳島・鳴門市文化会館
2018年2月12日(月・祝)山口・山口市民会館 大ホール
2018年2月15日(木)大阪・フェスティバルホール
2018年2月17日(土)岡山・倉敷市民会館
2018年2月18日(日)島根・島根県民会館
2018年2月24日(土)佐賀・鳥栖市民文化会館 大ホール
2018年2月25日(日)長崎・長崎ブリックホール 大ホール
2018年3月3日(土)北海道・ニトリ文化ホール
2018年3月4日(日)北海道・帯広市民文化ホール 大ホール
2018年3月9日(金)愛知・名古屋センチュリーホール
2018年3月10日(土)三重・三重県文化会館 大ホール
2018年3月16日(金)山梨・東京エレクトロン韮崎文化ホール 大ホール
2018年3月17日(土)静岡・静岡市清水文化会館マリナート 大ホール
2018年3月21日(水・祝)宮崎・都城市総合文化ホール 大ホール
2018年3月24日(土)福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール
2018年3月26日(月)広島・上野学園ホール
2018年3月29日(木)神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール
2018年3月30日(金)神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール
■高橋優 オフィシャルサイト
■『秋田CARAVAN MUSIC FES 2017』 オフィシャルサイト