答えのない議論「実家暮らし」はやっぱり恥ずかしいことなのか

「30過ぎて実家暮らしは恥ずかしい」
たびたび議論になる話題ですが、答えのないテーマでもあります。
お金の効率性を考えたら、実家暮らしは大正解だし、精神的・物理的な自立を考えたら、やはり一人暮らし未経験者は物足りない。
だからこそ、両者は常に対立し、議論に発展するのだと思います。
先日ネットの女性向け掲示板でも、またしてもこのテーマが議論されることとなり「実家から通えるのに一人暮らしをするのは家賃の無駄では?」という意見に、さまざまな意見が集まっていました。
恋愛シーンにおいては、実家暮らし男子というのはどう映り、またどう振る舞っていけばいいのでしょう。


実家暮らし男子に女性が抱くイメージとは?


そもそも実家暮らし男子のイメージとは、どんなものなのでしょう。今回婚活中の一人暮らし&実家暮らし女性に話を聞いてみました。
「やっぱり家事のできない男ってイメージです。私はもう10年以上一人暮らしなので、絶対相手の粗が見える。今から実家暮らしの男性と付き合うことになると、こっちの家をラブホ代わりにされそうなので、あまり付き合いたくないです」(33歳・18歳から一人暮らし)

「一人暮らしって凄く寂しいですよね。だから実家の居心地の良さは重々わかっているし、私も出るに出られずにいます。実家暮らししか経験のない男性でも気にしませんが、家事を任せっきりにされたらやっぱり困ります。勝手なイメージですが、料理はしても水回りの掃除とかができないイメージ。その辺を自覚して一緒に頑張ってくれるなら、気にしません」(30歳・元一人暮らし歴アリ。現在実家暮らし中)

「実家暮らしの人と付き合うなら、なるべく早く同棲するか、家を出てもらいたいです。
やっぱり私の家にばっかり来られるのが嫌なのと、どのくらい家のこととかできるのかは、知りたいかな」(32歳・22歳から一人暮らし)
現在実家暮らしか、それとも一人暮らしかで見え方は大きく異なるのがわかります。ただ、30代に入ってくると、長い人だと一人暮らしが10年以上になります。そうなると、どうしても埋められない生活スタイルの違いに、スタート時からしりごみする女性は多いようです。


実家暮らし男子と結婚したら本当に大変なの?


このように、実家暮らし男子には「家事スキルが低い」「身の回りのことに無頓着」など、ネガティブイメージがつきまといます。ですが、実際のイメージと、結婚した後の現実はそう同じにならないものです。
先ほどのイメージ通りにいったら、実家暮らし男子と結婚した女子たちは、家事で苦労しているはずです。実際その辺のところはどうなのか、続いては実家暮らし男子と結婚した女子の声をご紹介します。

「ずーっと実家暮らしだった男性と結婚しました。結婚後は彼の家事スキルのなさに、最初は絶望しました(私も実家暮らしから結婚しましたが、共働きなので料理などは早くから一人で担当してた)。洗濯機の回し方も知らなかったし、野菜の適切な洗い方・切り方も知らなくて、初めは私も驚きだったし、彼もショッキングだったみたい(笑)。でも私があえてなにも家事をやらなかったら、今では彼の方が、掃除も洗濯も料理もやってくれます。とはいえ、クオリティは低いとは思うのですが、やってくれる姿勢に感謝しています」(30歳・元実家暮らし)

「実家暮らしの夫は、結婚する前は『簡単な料理はするよ』と言っていました。でもいざ結婚したら、簡単な料理は一切やらなくなり(そもそも簡単な料理とは、パスタを茹でてソースをかけるだけだった!)、ご飯を炊くことすら拒否する始末。
あげく私が仕事で帰りが遅くなったら、徒歩数分の実家で、ご飯を食べ始めるんです。さすがに私が恥ずかしいからやめてと言ったら『だったら毎日キチンと作って』と言われ、絶望しているところです。そこに俺が作るよって選択肢はないものか」(32歳・元一人暮らし)

「実家暮らしだった彼と結婚してはや10年、家事を仕込み続けてやっと最近は4割くらいの家事を分担できるようになりました。『〇〇やってよ』だけだと、何もやらない上、やり方を教えるところからのスタートだったので、何度も喧嘩になりました。でも、子どもがいたから根気強く教えて、向こうにも覚えてもらって、今は色々楽になっています」(36歳・元一人暮らし)

今回の事例を見ると、実家暮らしの男性と結婚しても、結局は個々人の家事に対する自覚が大きく関係しているのがよくわかります。ただ、平均的な家事スキルの低さは、どうしてもスタートが遅い分、やる気があっても一人暮らし経験の長い人にはかなわないもの。そこを言い出したらキリがないですが、結局実家暮らし男子の印象は、恋愛や婚活の場では印象が悪い時があるものの、結婚後に極端に弊害を生んでいるわけでもないようです。


一人暮らしと実家暮らしの間にある壁の正体


そもそも実家暮らしと一人暮らしが議論されるのには、両者の間に超えられない壁があるからだと思います。
それを一般的には「家事スキル=料理と掃除がどのくらいできるか」と「金銭の自活力=家のお金をしっかり負担しているか」に集約するようですが、厳密に考えると「自活力」には、もっと細かい要素もふくまれていると思うのです。
たとえば「ゴキブリが出たときの対処」とか「ご近所トラブルや防犯面の気遣い」とか、「病気中の苦しさから孤独に回復すること」なども、大切な自活力の1つです。こればかりは、実家暮らしの中では経験しないことが多いかも。そう考えると、やはり環境の違いに超えられない先入観がついて回るのは仕方のないことなのかもしれません。


こうして書くと、間接的に実家暮らしの方を批判したようにみえますが、「実家暮らしは恥ずかしい」と言われる本質を知らないことには、一向に双方の溝も埋まらないというもの。また実家暮らしの最大のメリットは金銭面と言われていますが、個人的には毎日親孝行ができるという良さもあると思っています。
後ろめたさから今から一人暮らしを始めるのもいいですし、見え方を理解し、自分なりに対処するのもきっと人生においてプラスに働きます。どうか実家暮らし男子のみなさんが、無用な先入観で損をしないことを祈っています。
(おおしまりえ)
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