そんな『アウトレイジ 最終章』で花菱会の花田役を演じたピエール瀧さんに取材に応じていただきました!
ピエール瀧が語る北野武監督
本作で北野作品に初参加した瀧さん。出演のオファーを受けたとき、どんなことを感じたのでしょうか。

「北野監督の映画、しかも「アウトレイジ」ということで。役も変態のヤクザっていうからいいねと(笑)。断ってどうするんだっていうお話ですから。宇宙船乗るかって言われたら乗るでしょ? そりゃ乗りますよねという感覚に近いですかね」
バラエティ番組でたけしさんと共演したことはあったという瀧さんですが、映画の現場では初めて。こんな不安もあったようです。
「テレビ界の重鎮としてのたけしさんは知ってますけど、映画監督の北野武さんはどんなスタイルなのか、なんの情報もないまま撮影に臨む感じでした。あまりにデータがなかったんで、新井浩文くんに聞いたんです。そうしたら『僕もそうでしたけど、目の前にたけしさん来たら超ビビりますよ、頭真っ白になりますよ』って言われて。やっぱそういうもの?って(笑)」
新井さんや瀧さんほどの役者であっても緊張してしまうほど、やはり北野武監督のオーラ、存在感は凄いらしい。
ピエール瀧が人生には期待しない理由
ところで、そんな北野監督と瀧さんの間には、ある共通点があります。
以前、瀧さんはラジオ番組で「自分の人生に何も期待していない」と明かしたことがありましたが、北野監督も著書やインタビューで「人生に期待した覚えはない」と発言していました。
奇しくも共通した人生観をお持ちのお二人。
「僕は静岡の田舎の子ですから。そこをゼロとすれば、上京して音楽やお芝居などをやってることって、増築部分じゃないですか。仮に無くなっても、元の田舎の子に戻るだけです。もちろん楽しいし、今まで特別な経験もさせてもらってますが、それがあることを自分のベースに置いちゃうと、今度はそれを守るために色々する必要があったり、足かせになるときもあったりすると思うし。そういった意味で、自分の人生に期待しない方が精神的に楽なんじゃねえかなと」
「昔から悪役に惹かれるものがある」
ところで、瀧さんは本作で演じた花田について、どのような印象を抱いたのでしょうか。

「仲間内でヤンチャしてて、若い連中なりの方法でのし上がったという。だからヤクザとしての仁義はないような印象ですね、"最近のヤツ"代表です。……最近のヤツ代表がこんなキャラじゃあれなんですけど(笑)。でも、そういう図式だとは思いますね」
本作の花田をはじめ、瀧さんは「悪役」を演じることも多い。悪役には惹かれるものがあるといいます。
「昔から悪役には惹かれるものがあります。悪役が魅力的な方が作品自体も面白いですよね。
悪役を演じることの楽しさや魅力は、どういったところにあるのでしょうか。
「悪役は社会のルールから外れたものを心置きなくできますよね。リミッターかかってないじゃないですか、悪役って。そういうものを演じるのは、単純に楽しいです。善人で『僕は地球を守りたいんだ』みたいな真っ当なセリフより、『地球を破壊してやる』の方が本音に近いって言ったら変ですけど(笑)、そちら側の方が個人的にはしっくりくる気がします」

ピエール瀧は「よそ者」?
現在、役者業のほかにも、ラジオや音楽などさまざまなフィールドで活躍中の瀧さん。しかし、自身は「よそ者気分」でやっていると表現します。
「元々役者は自分のリーグだと思ってないですからね(笑)。役者を目指して演劇部に入ったり、劇団を立ち上げたりとかもなかったですし、現場見学に行くような感覚で始めた仕事ですから。各ジャンルで"よそ者気分"でやってるだけです。だから、こうやってインタビュー受けるのが一番困るんですよ、当事者意識が無さ過ぎて(笑)」
『アウトレイジ 最終章』 10月7日より全国公開
<キャスト>
ビートたけし/西田敏行
大森南朋/ピエール瀧/松重 豊/大杉 漣/塩見三省
白竜/名高達男/光石 研/原田泰造/池内博之/津田寛治/金田時男/中村育二/岸部一徳
<スタッフ>
監督・脚本・編集:北野 武/音楽:鈴木慶一
ピエール瀧(電気グルーヴ)
1967年4月8日生まれ、静岡県静岡市出身。