爆笑問題・太田光、フジの“保毛男”ネタ謝罪に違和感「自分の頭通してない」
TBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」公式サイトより

お笑いコンビ・爆笑問題の太田光さんが、フジテレビの宮内正喜社長が炎上した“保毛尾田保毛男”ネタを謝罪したことについて違和感を表明した。ネット上では、太田さんの意見に賛同する声が上がっている。


クレームから謝罪まで速すぎ?


9月28日に放送されたフジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした」の30周年特番では、番組初期を代表する人気キャラクター“保毛尾田保毛男”が約30年ぶりに復活。「懐かしい」と喜ぶ声も多かったものの、ゲイ男性を揶揄するようなネタを「時代にそぐわない」「差別的だ」と批判する声も続出した。翌29日に行われたフジテレビの定例記者会見では、宮内正喜社長が「放送30年間で生まれたキャラクターとして展開したが、不快な面をお持ちになった部分があれば、大変遺憾なので謝罪したい」とコメントしたと報じられている。

しかし、爆笑問題の太田光さんはこの対応に違和感を覚えたらしい。10月3日深夜放送のTBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」で、「クレームを受けてから謝るまでのスピードが速すぎる。自分の頭通してないだろって思った」と指摘。視聴者からのクレームは「なぜ今ダメなのか考えてください」という意味の訴えではないかと推測し、「『ちょっと時間をください』と言ってもいいと思う。『もう1回、バラエティも報道も含めてよく考えます』って。LGBTの人たちも、そういう時間がほしくてクレームを入れているんじゃないか」と語った。

「『時間をください』なんて言えるわけがない」という批判も上がっているが、太田さんが言いたいのは、“クレーム内容を吟味しているのか?”ということだろう。ネット上では、「鋭い」「同意」「いいことを言っている」といった声が上がっている。

炎上はランダムに起こる天災ではない


かねてよりネット上で同じく「クレーム内容を吟味していないのではないか」と批判されているのが、「ご不快に思われた方にはお詫び申し上げます」という謝罪文だ。表現に問題があるとして批判が殺到した際、このように謝罪する企業は多いが、どことなく“怒られたから謝っただけ”という印象を受ける。
一方、「なぜこのような内容になったか。今後どのように反省を活かすか」までを提示して謝罪した企業は、「謝罪が誠実」と評価される傾向にある。

もちろん謝罪文は「ご不快に思われた~」という文面であっても、その後社内でしっかり反省を共有している場合だってあるだろう。しかし、さすがに似たような炎上が多すぎないか? 近年の炎上を見ていくと、“〇〇しないのは男/女失格だと脅す”ことや“容姿やセクシャリティを揶揄する”こと、“老若男女の目に触れる場で、不自然なほど女性にセクシーなセリフやポーズをとらせる”ことなど、いくつかのパターンに大体が分けられる。

パターンさえつかめば、炎上を避けることは可能だ。「最近は何をしてもクレームがつく」とボヤく芸能人やクリエイターたちは、そのパターンを把握できていないせいで、炎上というものを何か「突然ランダムに降りかかってくる天災」のように捉えているのかもしれない。

太田さんの意見は、似たような事例での炎上が続く原因の一端を言い当てたように感じられる。彼による「クレームは、『なぜ今ダメなのか考えてください』という訴えだ」という指摘。クレームは天災ではなく、より良い表現を生むための提言だと業界全体が受け止めるようになったとき、新たな表現というものが花開くのではないだろうか。

(HEW)
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