2018年にデビュー25周年、50歳の節目を迎える清春。黒夢でデビューして以来、バンドのボーカリストとして、ソロシンガーとして、またファッションリーダーとして、その立ち位置は多岐に渡る。
それでいて存在感がブレなかったのは、圧倒的な“歌声”の力によるものだろう。その力を、これまでの活動から紐解いて行く。

■ジャンル=清春としか言えない多才なスタンス
デビュー25周年を迎える清春、その多才な活動の芯に“歌声”あり


清春ほど、一言で言い表せないアーティストはいない。ビジュアル系がお茶の間に認知される寸前の時期だった1994年に、黒夢のボーカリストとしてメジャーデビュー。ダークでコンセプチャルな世界観は、後のビジュアル系に大きな影響を与えた。

しかし、ビジュアル系がムーヴメントを巻き起こす90年代後半には、彼はメイクを薄くし、音楽性もファッションもパンキッシュなスタイルに移行。10代男子が憧れるカリスマ的な存在となった。

その後もSADSでロックンロールを轟かせたり、ソロで艶やかでスローな楽曲を奏でたり、それらに伴ってファッションやパフォーマンスが変化したりと、目まぐるしく活動を続けてきた。それでも迷走に見えないのは、彼がはっきりとした目的意識を持っていることがわかるからと(特にブームに迎合せず、むしろ先駆けていこうというスタンスは、すべての時期に共通している)、揺るぎない“歌声”を持っているからだろう。

■探求と熟成の果てに生まれた“歌声”

清春の歌声は、歌が上手いだけでは出せないし、もっと言えば、ただ歌って出せるものではない。様々なボーカリストの歌声を吸収して、何度も歌ってみてオリジナルのものとして昇華した。しかも歌い続けて“熟成”されるかのように変化してきたものだと思う。
だからこそ、年を重ねるとだんだん歌声が出なくなるボーカリストが多い中で、彼の歌声は魅力を増しているのだろう。細やかなビブラート、荒々しいシャウト、耳に残る声質……誰にも、どんな機械にも再現できない(だからフォロワーが後を絶たず、モノマネに挑戦されやすいのだろうけれど)緻密な歌声は貴重だ。

■節目の前年、一連の活動の関連性

2017年、彼はPlastic TreeとD’ERLANGERのトリビュートアルバムに、SUGIZOのオリジナルアルバムにゲストボーカルとして参加した。どのアーティストの楽曲を歌っても、鮮烈に刻まれる清春印。また自身としても、コンセプチュアルでアコースティックな“RHYTHMLESS & PERSPECTIVE ALBUM”と題した『エレジー』をリリースしている。これらの活動は、彼が自らの存在感やパフォーマンスだけではなく、“歌声”そのものの強みを改めて感じているからこそ、できたことなのではないか。そういった意味で、すべてが繋がっているように思えてならない。

Writer:高橋美穂
(提供:ヨムミル!Online)
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