公演会場となったclub Gには地元はもとより全国各地から熱心なファンが集結し、チケットは完全にソールドアウト。カリスマの登場を待ち焦がれるオーディエンスの前にまず姿を見せたのは、何故かWエンジンのチャンカワイ。実はこの日、彼は清春とともに某TV番組の収録を行なっており、開演に先がけて異例の“前説”を担当することになったのだった。観客はそうした想定外の展開にも臨機応変な好反応を示し、清春自身の登場を前に場内は充分すぎるほどに温まっていた。
改めて場内が暗転し、オープニングSEに導かれて黒衣に身を包んだメンバーたちが配置につく。清春がステージ中央へと進み出ると、まず聴こえてきたのはフラメンコギターの響き。記念すべき祝宴の幕開けを飾ったのは『夜、カルメンの詩集』に収録されている「赤の永遠」だった。この日、彼の脇を固めていたのは、ファンにはお馴染みの中村佳嗣(Gt)、大橋英之(Gt)、楠瀬拓哉(Dr)に加え、この日が初出演となる高井淳(Ba)という顔ぶれ。つまり過去には一度もなかった布陣ということになるが、当然ながら演奏面での危うさは微塵もない。緩急豊かな楽曲群が、アコースティックとエレクトリックギターのコンビネーションを自在に変えながら、次々と表情豊かに繰り出されていく。
この夜の演奏曲目については別掲のセットリストをご参照いただきたいところだが、何よりも特筆すべきは、アンコール時に披露された、言わずと知れた黒夢のメジャーデビュー曲「for dear」から、まだ世に出ていない新作アルバムの収録曲に至るまで、まさに24年にも及ぶ時間経過のなかで生まれてきた多種多様の楽曲たちが、少しも違和感なく溶け合い、ごく自然に共存しながらお互いを照らし合っていたということだ。
この日の岐阜地方は降雪こそなかったものの底冷えのする寒さだったが、club Gの館内は真夏のような暑さだった。そしてこの記念すべきライブは、会場の“音止め”時刻である夜10時ちょうどに着地点へと至った。クロージング曲の定番といえる「あの詩を歌って」を歌い終えた清春は、満足げな笑みを浮かべながらオーディエンスに「(みんなの)どこにも属さない感じがいいです」と告げ、謝意を表しながら「来年、26回目のデビュー日もぜひ僕と過ごしてください」と伝えていた。もちろん次の記念日到来まで待つまでもなく、2月23日には新作アルバム発売に先駆けてのツアーが開幕を迎える。最後、清春は「素敵な夜を15回共有して、忘れられないツアーにしましょう」と告げてその場を去った。新たなツアーの日々、そしてニューアルバムの全貌が明らかになる瞬間の到来を、心して待ちたいところである。
(取材・文/増田勇一)
≪セットリスト≫
1. 赤の永遠
2. JUDIE
3. アモーレ
4. 夜を、想う
5. 罪滅ぼし野ばら
6. シャレード
7. 美学
8. ジプシー
9. 眠れる天使
10. ベロニカ
11. 妖艶
12. ALIEN MASKED CREATURE
13. COME HOME
<ENCORE 1>
14. for dear
15. ICE MY LIFE
<ENCORE 2>
16. 少年
17. 忘却の空
18. Feeling high & Satisfied
<ENCORE 3>
19. 貴方になって
20. EMILY
21. あの詩を歌って
≪ライブ情報≫
【KIYOHARU TOUR 天使の詩2018『LYRIC IN SCARLET』】
2018年2月23日(金)大阪BIGCAT
2018年2月24日(土)金沢EIGHT HALL
2018年3月2日(金)仙台Rensa
2018年3月16日(金)KYOTO MUSE
2018年3月17日(土)KYOTO MUSE
2018年3月21日(水・祝)柏PALOOZA
2018年3月24日(土)長野CLUB JUNK BOX
2018年3月31日(土)札幌PENNY LANE24
2018年4月7日(土)青森Quarter
2018年4月8日(日)盛岡Club Change Wave
2018年4月13日(金)名古屋 BOTTOM LINE
2018年4月14日(土)Live House 浜松窓枠
2018年4月28日(土)鹿児島CAPARVO HALL
2018年4月29日(日)長崎DRUM Be-7
2018年5月3日(木・祝)EX THEATER ROPPONGI
■清春 オフィシャルサイト