
アベンジャーズ、絶賛空中分解中! そんな地球に迫る魔の手!
2008年の『アイアンマン』以来、10年にわたってシリーズが展開されてきたマーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)の関連作品。その総数は18本を数え、今日のユニバース系作品ブームの基礎にして最大の成功作となっている。MCUの諸作品の中でも、『アベンジャーズ』は特別なタイトルだ。各作品に登場したヒーローたちが一堂に会し、ヒーローチーム"アベンジャーズ"として巨大な敵とぶつかり合うお祭りタイトルにのみ、『アベンジャーズ』の名が冠されるのである。
『インフィニティ・ウォー』の直前までのアベンジャーズは、空中分解状態にある。キャプテン・アメリカ、アイアンマン、ソーの"ビッグ3"は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』から『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』までの戦いでバラバラになり、キャプテン・アメリカは政府に反逆した指名手配犯に。ソーに至っては『マイティ・ソー バトルロイヤル』での戦いで、片目と最強のトンカチであるムジョルニアと故郷アズガルドを失った上に、難民(ハルクを含む)と一緒に宇宙を漂流中という「お前……何があったらそういう状況になるんや……」と言いたくなるような状態になっている。
アベンジャーズ主要メンバーでも、ブラック・ウィドウとファルコンはキャプテン・アメリカとともにお尋ね者に。アントマンとホークアイは収監中。ブラックパンサーは故郷ワカンダを開国したことで忙しい。
この、戦力激減状態の地球に向かい、シリーズ最強の悪役であるサノスが迫る。迫ってきてしまうのである……!
ただの変な色のおっさんじゃない! サノス、めっちゃ強い!
思い返せば、サノスはMCU作品にはちょいちょい思わせぶりに登場していた。2012年の『アベンジャーズ』の最後、宇宙に浮かぶでかいイスに座っていた、紫色のゴツいおっさん。あれがサノスである。「なんであの紫のおっさんはあんなに偉そうなんだ……」と疑問だった人も多いと思うが、サノスはマーベル・コミックスの悪役の中でも超大物と言っていい部類だ。元は土星の衛星タイタンの生まれで、コミックでは死の女神デスに魅了されて全宇宙の破壊を目指すようになる。このへんの設定はMCUではある程度改変されており、デスではなく純粋に自らの信念(どのような信念かはネタバレになるので伏せる)を追い求める悪役となっている。
サノスが自らの目的のために必要としているのが、6つのインフィニティ・ストーンだ。それぞれ「惑星単位での破壊力」「現実の書き換え」「超長距離の瞬間移動」「時間の操作」などの効果があるこの石を6つ全部集め、サノスの腕に装着したガントレットに取り付ければ、指を鳴らすだけで宇宙の半分を死滅させるほどの力を得ることができる。現在このうち2つを地球のヒーローであるヴィジョンとドクター・ストレンジが所有しており、サノスとしては自らの信念のため是が非でも手に入れなくてはならないのだ。
『インフィニティ・ウォー』で描かれるのは、惑星単位で文明を破壊しながらのサノスによるインフィニティ・ストーン探索行である。もう冒頭から、サノスさん飛ばしまくりの暴れまくり。
ストーリーの前提が「石を6つ集めたいサノス」VS「それを阻止したいヒーローのみなさん」という単純なものなので、もう全編がハイスピードなバトルの連打。クライマックスに次ぐクライマックス。映画の中でいちいち細かい状況を説明している暇がないほどの密度感なので、今一度上に書いたような各ヒーローの現在の状況を整理してからの鑑賞をお勧めしたい。
ハァ……本当にとんでもねえことになっちまった……
『インフィニティ・ウォー』のストーリーとその帰結については、ここでは詳しく書くことを控えたい。しかし「本当に、本当にとんでもないから覚悟した方がいい」とだけは強調しておきたい。一応の原作コミックと言える1991年の『インフィニティ・ガントレット』でも、わんこそば状態で次々に現れるヒーローたちがサノスに順次撃破されていく展開には悲壮感が漂っていた。しかし、『インフィニティ・ウォー』の「ど、どえらいことになっちまった……」感はさらに飛び抜けている。
とにかくもう、MCUの映画を全部見るまでは死ねない。できる限り長生きしなくてはならない。休肝日を設けて肝臓をいたわり、体脂肪に気を配ろう。
(しげる)
【作品データ】
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」公式サイト
監督 アンソニー&ジョー・ルッソ
出演 ロバート・ダウニーJr. クリス・ヘムズワース マーク・ラファロ クリス・エヴァンズ スカーレット・ヨハンソン ベネディクト・カンバーバッチ ほか
4月27日より全国ロードショー
STORY
6つ集めると強大な力を得られるインフィニティ・ストーンを求め、ついにサノスが行動を開始する。攻撃の報は地球へと伝わり、アイアンマン、ドクター・ストレンジ、スパイダーマンらが迎撃体制を取るが、アベンジャーズのメンバーは解散状態にあった。