加藤和樹   未来は見えないものだけど、描くことはできる/インタビュー後編

――【加藤和樹】インタビュー前編より

過ぎていく時間の中で、自分も進んでいかないとっていう想いは強く持っています

――加藤さんと言えば、かつては『仮面ライダーカブト』で仮面ライダードレイクを演じられていて……。

加藤:ドレイクはダメダメなヒーローでしたけどね(笑)。


――(笑)。でも、そういった経歴も考えると、今作は加藤さんの全キャリアを詰め込んだような作品なのかなとも思ったりしました。

加藤:そう思っていただけるのはすごくうれしいですね。アーティスト活動と並行して、役者業だったり、最近は声優業もやらせていただいてますけど、やっぱり僕自身は過去の自分を超えていきたくて。<昨日よりも今日 今日より明日>って、「Ultra Worker」の歌詞の中にも入ってるんですけど、自分を更新していくことによって、要は立ち止まっていないっていう。時間というのはどんどん過ぎていくわけで、その中で自分も進んでいかないとっていう想いは強く持っています。その上で、こんなふうに歌詞を書いたり曲を作ったりしていると、時代背景みたいなものが自然と反映されてくるので、そこは素直に取り入れていきたいなと思ってます。

――加藤さんは音楽の他にも、役者、声優と幅広い活動をされていて。全体で見たらいろいろな引き出しを持っているわけですが、だからこそ、“加藤和樹の音楽”として、その中のどれを使うかっていう取捨選択が難しく感じられることもありませんか?

加藤:他の現場だとなかなかうまくいかないこともありますけど、自分の仕事のすべてが集約されるのが音楽なんですよね。例えば、ミュージカルでそれまでやっていなかった発声を学び、声優では声のボリュームやトーンを学んで。そういったものがまとめて出せるのは、ここしかないと思ってます。なので、自分の中では、すべての仕事が表現者としてのベースになってるんだなって思うんですよね。
音楽は音楽、役者は役者といった感じで割り切っている感覚ではないんです。でも、若い頃はそれぞれ別物として考えていたこともあったんですよ。

――そうだったんですか。

加藤:はい。でも、それが全部繋がってきたときに、そうじゃないってことがわかって。やっぱり、芝居をすることによって役の気持ちが自分の中に芽生えて、それを曲にすることも多々あるんですよね。中には役者をやっていないと書けないものっていう曲も。なので、そこはちょっと得してるかなって思ってます(笑)。


加藤和樹   未来は見えないものだけど、描くことはできる/インタビュー後編
撮影/源賀津己

――ここまで主に歌詞についてうかがってきましたが、サウンドへの想い、こだわりはいかがでしょう?

加藤:今回はプリプロの段階からディレクターの方といろいろと意見交換しながら作っていったんです。今までもアルバムや楽曲をいろいろ作ってきましたけど、正直なかなか意思疎通できていない部分もあって……。そこが今回というか、インペリアルレコードに移籍して以降、自分の意志だったり、楽曲を通して伝えたいことに対して、積極的に話すようになってきました。例えば、コーラスワークもそうだし、アレンジの方向性やアプローチの仕方っていうのにも、自分がイメージする形を伝えたりとか。
今回はレコーディングもわりと長い時間をかけてやらせていただいたので、一つ一つ丁寧に作り上げていった感覚があります。

――お話をうかがっていると、今作に対する手応えが伝わってくるのですが、ご自身の感触は?

加藤:今回は自信作というか、過去最高のものが出来たんじゃないかなと思ってます。

――制作当初からイメージしていたというツアーですが、アルバムを作り終えた今、そのイメージは明確になりましたか?

加藤:演出などの細かいところはこれからですが、今回のツアーは何と言ってもアルバムを引っさげてのツアーなので、新曲が揃ってます。その曲たちをどう魅せるかというのも考えている最中ですが、コール&レスポンスができる曲とかコーラスとか、ライブでみんなが参加しやすいようにイメージして制作したので。アルバムを聴き込んでライブに来ていただければ、一緒に盛り上がれると思います。

――また、ちょっと先の話にはなりますが、今年12月には加藤さんが過去に初めて作詞を手がけた楽曲「僕らの未来~3月4日~」(2007年リリースのアルバム『Face』収録)をモチーフにした舞台『僕らの未来』が上演されます。10年以上前に書いた楽曲が、今、舞台として生まれ変わるというのはどんな気持ちですか?

加藤:これはもう、歌詞を書いた頃は想像もしていなかった未来です(笑)。でも、10年って、当時から見たら立派な未来なんですよね。僕は上京して15年経ちますけど、当時の自分からしたら、今これほど充実した仕事をさせてもらっているとは想像もしていませんでした。本当、あの頃は路頭に迷ってた(笑)。この先どうなるんだろう?って。ただ、未来は見えないものだけど、描くことはできるんですよね。
そして、この先を生きていくためには、今がすごく大切。そういう意味でも、10年以上前に自分が作詞をした楽曲の舞台ができることは、この先の未来に繋がる作品になると思います。やっぱり、過去があっての今、今があっての未来。それは今回のアルバムにも共通するものだし、舞台に関しては今の時代だからこそ伝えられる想いもあると思うので、作品を通して少しでも共感してもらえればうれしいですね。

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