
「キャッシュアウト」というサービスを知っているだろうか。店のレジで買い物ついでに現金を引き出せるサービスだ。
始めたのはJ-Debitで、これは金融期間が発行したキャッシュカードをデビットカードとしてそのまま買い物等の支払いに利用できるサービスだ。日本で最初のデビットカード決済である。決済の仕組みの違いの影響で、VisaやJCBといったクレジットブランドを持ち合わせたデビットカードよりも利用可能店舗が少ないが、この「キャッシュアウト」の導入で、利用者の増大や決済法を導入する店舗の拡大も期待されている。

レジで現金を引き出せるメリットは?
正直、このキャッシュレス化がうたわれる時代に、現金を便利に引き出せる仕組みなど、需要があるのだろうかと疑問に思っていた。だが、未だ現金決済が80%以上を占めるわが国では、財布の中身に現金をあまり入れず、必要な時にレジから現金を引き出して使うという金銭の扱い方は、「徐々にカード決済へ移行する」前段階としては有効なのかもしれない。
いつもお金を引き出すキャッシュカードで、レジでお金を引き出して使うことを覚え、そのキャッシュカードで支払うことができることもわかれば、次第に「引き出して払う=デビットカードで払う」というようなイメージを持つだろう。そうすると、引き出す手間よりもキャッシュカードで支払おうとする行動が増えるかもしれない。特に今まで現金主義であった人ほど、そのように変わっていけると感じている。
過疎化や高齢化で、ATMに行きにくい人も便利に使えるようにという前提もあるようだが、キャッシュレス化を促進するものの一つになりえると思う。

キャッシュアウトのデメリットとは
デメリットを考えてみると、レジの混雑などがあげられるだろう。普通の有人のレジであれば、引き出しの作業にかかる時間で、混雑時はかなり人がぶことになるだろうし、セルフレジだとしても、現在でもセルフレジでの会計操作を難しいと感じる人が一定数いるのに、お金を引き出すとなるとその操作に慣れるまでは、サポートする人が必要になるだろう。
キャッシュカードを店員に渡すこともあり得るため、セキュリティ面を心配する人も出るかもしれない。
今後キャッシュアウトはどうなる
導入から3カ月、まだ知名度は上がっていないように思うが、今後は計画されているようにドラッグストアなどの小売店や病院の自動精算機など、利用可能な場所を拡大し、人々に当たり前に認識してもらう取り組みが必要だと考える。
気が付かないだけかもしれないが、私の生活圏の中にはまだ、そういったレジは見かけない。見かければ、実際に体験してみたいものだ。
現状でできるのはキャッシュカードを持って、イオンのお店のレジでお金を引き出すことだが、ある銀行ではQRコードを用い、無人のレジからスマートフォンからお金が引き出せるようにしていく構想もあるという。
お金が巡っていくレジなので、たくさんのお金をレジ内に保有しておく必要もなく、ATMを使うよりは手数料が安くなる可能性が高いこの「キャッシュアウト」。今後の動向に注目していきたい。
(横山光昭)