鳥貴族とは?280円均一を売り物に快進撃の居酒屋チェーン大手
鳥貴族の特徴 280円均一でジャンボ焼き鳥がヒット
いまやどこの飲み屋街へ行っても目にすることが多くなった鳥貴族。黄色の看板に赤い文字で「鳥貴族」と描かれた看板はもはやおなじみである。鳥貴族がここまで店舗を拡大できたのは、やはりそのお手頃な料金にあった。すべての商品が280円均一のため、会計時に「一体いくらになっているのか?」と心配をする必要がないのだ。好きなだけ飲んで食べた後で、いざ会計になると不安に……。そして金額を見ると「こんなに食べたっけ?」と思わずゾッとしてしまった経験は誰にでもあるだろう。そんなこともあり、鳥貴族の明朗会計なシステムはとにかく料金を安く収めたいといった人々に支持されてきた。
さらに鳥貴族の魅力は安さだけではなかった。280円の商品に対するコストパフォーマンスが非常に高かったのだ。例えば看板メニューでもある「じゃんぼ焼き鳥」は一般的な焼き鳥に比べるとかなりのボリュームがある。そんな焼き鳥が2本セットで運ばれてきて280円とは驚きだ。こぶりな焼き鳥でも1本140円ほどする店に比べると、お得感という点においてはかなりの差があるだろう。
個人的な話にはなるが筆者も鳥貴族に行ったことがある。正直に言ってしまうと、鳥貴族めがけて入店したわけではない。どこに行こうか迷った末に、「では鳥貴族にしようか」といった経緯で入店を決めた。そう、「迷ったときは鳥貴族」という安定感があるのである。店内は繁盛しているものの、十分な席数があり週末でも長い時間待たされることはほとんどない。店内が広いと、なかなか店員が捕まらずに時間だけが過ぎていくということも他店ではあるが、鳥貴族はタッチパネルでオーダーできるのだ。そして運ばれてきた焼き鳥は、想像しているよりも大きい。その一本で茶碗一杯の白ご飯が食べられてしまうくらいの食べ応えがある。そして前述したように料金の計算が簡単。1オーダー約300円と考え、そのときは2人で行ったので20オーダーは越さないように心がけた。そうすれば1人あたり3000円を下回る。安心して友人との会話にも集中できたという次第で、結果的に鳥貴族を選んで良かったと毎回思う自分がいる。
こんにちは〜、トリッキーです 今日はいい天気ですが、もう梅雨入りなんですね〜 恵みの雨って言いますけど。ジメジメしてて、ちと萎えますよねぇ そんな時は!! 焼鳥食べて笑顔になっちゃいましょう pic.twitter.com/C8zrVihKQF
— 鳥貴族 (@_torikizoku) 2018年6月7日
鳥貴族の歴史とは…1号店は東大阪市からスタート
大阪市浪速区に本社を持つ鳥貴族は、大阪府、兵庫県、東京都を中心にチェーン展開している。近隣の京都府、滋賀県、奈良県、三重県、愛知県、岐阜県、静岡県、千葉県、神奈川県、埼玉県にも進出しており、「トリキ」の愛称で親しまれている。
そんな鳥貴族が生まれたのは、1985年(昭和60年)のこと。一号店は大阪府東大阪市の近鉄俊徳道駅前「俊徳店」であった。ここから始まった鳥貴族。この店舗への社長の思い入れも強かったようだが、駅前の再開発により2008年、23年間の歴史に幕を下ろした。東京に進出したのは2005年(平成17年)のこと。関東一号店は中野店であった。その後2009年(平成21年)に名古屋にも進出し、1都2府10県へ店舗を展開する現在の形へと繋がっていった。
おはようございます。 国産国消 株式会社鳥貴族。 pic.twitter.com/MZBSN0XtWi
— 大倉 忠司 (@TadashiOokura) 2018年7月29日
280円均一から298円に値上げ、客離れで業績悪化
鳥貴族、原材料の高騰からメニューを298円に値上げ
安さが売りの鳥貴族であったが、昨秋均一料金を280円から298円へと値上げを実施した。大きな理由の一つが改正酒税法によるビールの値上がりであろう。まず改正酒税法の目的は酒類の過剰な安売り(量販店・ディスカウントストアなど)を防ぎ、酒屋業界の経営に負担をかけないようにすることである。今回の改正では製造業者、卸業者、小売業者のすべてが対象となったため、安く酒類を仕入れていた飲食店も以前の予算のままでは商品を確保できなくなってしまった。鳥貴族も例に漏れず、酒類の仕入れ値が必然的に上がり、値上げを余儀なくされたというわけだ。
また理由のもう一つに人件費の高騰もある。例えば東京都では昨秋、最低賃金を26円引き上げ、時給額を958円とした。原材料の価格高騰に加えて、人件費の圧迫。鳥貴族は値上げに踏み切った。
値上げが客離れを引き起こし、業績が悪化
原価の高騰により、料金が変動するのは飲食業界ではよくあることであり、当然の流れと言えるだろう。しかし鳥貴族のようにとにかく低価格を売りにしている経営スタイルの場合、このたった18円の値上げが大きく響く。28年ぶりの値上げという、会社としても思い切った苦渋の決断であったと考えられるが、この値上げが原因となり、客離れが深刻化してしまった。
安さのおかげで確保できていた固定客。その離れてしまった客を再び取り戻すためには、やはり従来の料金で勝負するしかなさそうである。「それなりの料金で美味い店」はいくらでもあるが、「安くて美味い店」ほど庶民にとって貴重で心強い存在はない。鳥貴族はそういったイメージがすでに定着してしまっている。いまさら違う視点で客を集め直すことは時間がかかるだろうし、リスクも高まるだろう。
鳥二郎、やきとりセンター、豊後高田どり酒場 競合も多数登場
安くて美味い焼き鳥屋といえば鳥貴族といっても過言ではないくらいの状況が続いていたが、値上げによる客離れ。加えて類似する競合店まで登場し、鳥貴族はさらなる苦境に立たされている。中でも問題となったのは訴訟問題にまで発展した「鳥貴族・鳥二郎」問題である。おそらく看板を見比べてみても、両店舗は姉妹店としか思えないだろう。それくらい店のロゴマークが類似しているのだ。メニューも名前こそ「二郎焼」となってはいるが、ほぼ同じ。だが鳥貴族にとって不利なのは、料金が鳥二郎の方が安いという点である。鳥二郎も同じく均一料金のシステム。全品270円均一である。鳥貴族とは違い、税抜き表示にしてあるところも安く見せるための工夫だろうか。もっとも270円に消費税を課税しても鳥貴族よりも数円安いのである。同じような店が2つあったら、客は当然安い方の店を選ぶということは容易に想像できる。
【衝撃】ビール99円(税抜)!!『ジャンボ焼鳥 鳥二郎』京成船橋店の半端ない割引キャンペーン! ビールを飲んで猛暑を乗り越えよう! https://t.co/FIkaPdjBsu pic.twitter.com/zw6M8C0UjP
— グルメプレス (@gourmetpress) 2018年7月27日
やきとりセンター、豊後高田どり酒場も鳥貴族よりは若干料金は高いものの、税抜き価格で均一280円(やきとりセンターは串焼きのみ均一)を前面に押し出している。まさに牛丼屋の価格競争を見ているようだ。いや、牛丼屋に関してはそれぞれ店の特色があり、上手い具合に顧客が分散しているように思える。しかし、この焼き鳥均一価格戦争に関してはどうもお互い潰し合いにかかっているようにしか見えないのである。そして、その中でもネームバリューがあり、「より安い」というイメージが浸透してしまっている鳥貴族がとくにダメージが大きいように思える。先に挙げた3店舗を目にした人は、「鳥貴族みたいに安い焼き鳥は他にもあるんだ」と思ってしまうことだろう。
関ジャニ∞の大倉は鳥貴族社長・大倉忠司氏の長男
関ジャニ∞、大倉は大倉社長の長男、他にも2人の息子が
ここでちょっと話を逸らして、鳥貴族の社長について触れてみよう。同社の社長はあの関ジャニ∞に属する大倉忠義の父であるということを知っているだろうか。関ジャニ∞はもはや説明は不要であるとは思うが、日本の人気アイドルグループで。最近では渋谷すばるが脱退するなど一騒動あったり、事務所所属のタレントが不祥事を起こしたりと何かと話題になるジャニーズであるが、そんなジャニーズグループの中でも関ジャニ∞はトップクラスの人気を誇る。
焼き鳥チェーン鳥貴族の大倉忠司社長は「くいだおれの街」大阪での成功が全国で支持されている要因だと話します。https://t.co/GAFf8gdktk pic.twitter.com/U9w5YEEH4t
— 日経関西 (@nikkeikansai) 2018年1月9日
大倉忠司社長は息子に会社を継がせないことを明言
さて、社長の息子が人気アイドルグループの一員ということで気になるのは、やはり跡取りの問題である。もしかして関ジャニ∞の大倉が脱退して会社を継ぐ? そんなことになればかなりのニュースになりそうである。しかし社長の大倉忠司氏はあるテレビ番組で以下のように明言している。
「生え抜きから輩出したい。会社は子供に継がせない」
大倉忠司氏には大倉忠義の他にも2人の息子がいる。大倉だけでなく、もう2人も会社を継ぐ可能性はないということだ。
鳥貴族のロゴマークに「∞」が入っている理由
鳥貴族のロゴマークを見てみると、最後に「∞」の記号が入っていることに気が付く。これは誰がどう見ても、関ジャニ∞と関係があるように思えるが、このマークはあくまでも会社独自のデザインだそうだ。鳥貴族の経営会社は株式会社イターナルサービス。「イタ―ナル」は「永遠の」と訳すことができる。こういった理由からこの「∞」マークが入っているということであり、関ジャニ∞とは直接的な関係はないという。いずれにせよ「∞」のマークは無限大という意味。両者の末永い活躍を祈りたいところだ。
鳥貴族の値上げによる業績不振によって分かったこと。それは安さを売りにしているサービスである以上、やむを得ない料金の値上げであったとしてもそれがプラスに働くとは限らないということである。一消費者としては、鳥貴族を反面教師に「安くて美味い店」はこれからもそのままの料金で勝負して頂きたいといったところだ。
おっはよ〜ございま〜す^ ^今日は恵みの雨ですね〜それほど寒さも感じなくなってきましたし、いよいよ春ですかね
— 鳥貴族 (@_torikizoku) 2018年3月20日
さて、今回はトリキを記事にしていただいたので、ご報告させていただきますよかったら見てくださいねhttps://t.co/ABEqfapH1p