バンドブームで人生が一変したCASCADE、結成25年目にセルフカバーベスト発売/インタビュー前編

CASCADE/7月25日にセルフカバーベストアルバム『VIVA NICE TASTE』をリリース


過去を振り返ったり、やってきたことをまとめてみた時にこそ、それまでの真価が問われるような気がする。例えば人でいうなら、どう生きてきたか、何をしてきたかが、そこで露わになる。
音楽もそうだ。どう演奏してきたか、どう向き合ってきたか、それが集大成された時に浮かび上がってくる。その意味でCASCADEのセルフカバーベストアルバム『VIVA NICE TASTE』は、いまだ活き活きと新陳代謝する彼らの音楽を感じるアルバムだ。もちろん、かつて時代を彩った曲としての懐かしさ、それもある。けれども、そんな気持ちを軽く凌ぐ“今”が、どの曲にも普通に自然に息づいていた。だからデビューしたばかりのバンドの曲と同じ感覚で、2018年の音楽として耳にすることができる。結成25年にして妙なベテラン感を出さずにいるCASCADE、その“新作”として楽しめる作品である。
(取材・文/前原雅子)

新曲とセルフカバー、どっちにも今のCASCADEがちゃんと詰まってるものになった

──選曲は大変でしたか。

MASASHI:最初の段階では、やっぱりたくさん候補曲が出てきましたよね。今回はセルフカバーなので、やりたい曲もいろいろあったし。

HIROSHI:それで集まって相談して。でも結局、シングル中心にするのがいいんじゃないか、というところに落ち着きました。


TAMA:まずはシングルのなかから選びまして。それから、うちにあったライブでの人気曲みたいな表を見ながら、ライブで盛り上がる人気曲を選んでいったりして。そうなると「これを入れるべきだろうな」というのも一致してくるので、めちゃくちゃ時間がかかったというほどではなかったですね。

──わりと客観的な選曲を心がけたという。

TAMA:やっぱりみんなが楽しんでくれるように。知ってる曲が多いと、入りやすいんじゃないかと思いましたし。

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──なおかつ改めて作品化してみたい曲、というのもあって。

TAMA:あります、あります。ただ収録曲は10曲くらいで、ということが決まってたので、セルフカバー10曲、新曲1曲のなかで考えていきましたね。

HIROSHI:新曲は絶対入れたかったんですよ。いくらセルフカバーであっても、過去の曲だけじゃどうだろうっていうことで、1曲目に新曲の「unfairly」を入れて。

TAMA:ライブでは当然のこととして今のCASCADEの曲をやってますからね。
逆に過去の曲も最近の曲と同じように普通にやってますし。だから新曲とセルフカバー、どっちにも今のCASCADEがちゃんと詰まっているものになったと思いますね。

──だからなんでしょうね。過去の曲も新曲と同じような感覚で聴けるのは。それが素晴らしいことだなと思いました。

TAMA:あ~~、そうそう。僕も聴いて、そう思いました。ライブでやってきたっていうのもあるんでしょうけど、「これ、ほんとにずっと前からやってた曲なの?」っていう感じで。すごくアレンジを変えているわけでもないんですけどね。不思議だよね?

MASASHI::うん、細かいとこはこだわったりしてるけどね。

TAMA:全部いい感じで今のCASCADEになってると思いますね。

──そこがすごく不思議でした。
もちろん慣れ親しんだ曲がたくさん入っているんですけど、セルフカバー感が薄いというか。まるで新曲を聴いているような感覚で聴けたので。

TAMA:ええ、ええ、ええ。わかります。

HIROSHI:どの曲も、最近のライブでもやっている曲なので。最近の曲と同じようにね。それで、ですかね。

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──アレンジも大きな変更はないように思ったのですが、もう一度録音するにあたって、せっかくだからアレンジも変える?みたいな話は出なかったのですか。

MASASHI:なかったですね。本当に最近の曲に混じって普通にライブでやってるので、それをレコーディングすればいいと思ってましたから。

──セルフカバー=リメイクする、というのではなく、日々やっているなかで自然に変わってきているものを形にすればいい、という考え方。

MASASHI:そうです、そうです。


──今のCASCADEが演奏する=2018年のセルフカバーだと。

TAMA:ええ、ええ、ええ。そういうことです。

──とはいえいろいろ歴史のある曲ばかりですから、曲にまつわる思い出もたくさんあるのではないですか。

TAMA:例えば「Sexy Sexy,」は結構エッチな歌詞の、デジタリーな曲なんですけど。今回のは、なんかCASCADEの隠の部分が出てる、今の「Sexy Sexy,」になったかなと思いますね。でもこれを聴いた時にですね、うまく言えないんですけど、怖さというか不気味さというか、子どもが歌う“通りゃんせ、通りゃんせ”みたいな童謡のニュアンスが出たかなって思ってですね、ええ、ええ。

──わかるような気がします。ああいう童謡って、ちょっとどこか怖さがありますよね。

TAMA:そこの部分がですね、おどろおどろしくならずに、いい感じで今のポップな感じとして出たかなって。なので個人的には今回の「Sexy Sexy,」は大好きですね。

バンドブームで人生が一変したCASCADE、結成25年目にセルフカバーベスト発売/インタビュー前編

──リリース当時の「Sexy Sexy,」(2000年)はどうだったんですか。


TAMA:えっ? 当時ですか? いやらしいことばっかり考えてました(笑)。いやらしいって、そういうアレじゃないですよ。とにかく……モテたいなぁっていう下心みたいな感じで、セクシーセクシーに歌わないとなって思ってましたかね。……いや、今もモテたいですけどね(笑)。

MASASHI:(笑)。僕は「Dance Capriccio」が思い出深いですね。当時から生バンドでの演奏以外に同期物を取り入れて、シーケンスの技術を駆使して音を作っていたんですけど。その手の機材は進化のスピードが速いので。今回、もう一回全部の音を打ち込み直してみたんですよ。そしたら、当時もかなりバランスよくちゃんと作っていたことがわかったりして。

──歌詞の語感も含めて、むしろすごく今な感じがする曲ですね。

MASASHI:そうかもしれないですね。
ライブでやっていても僕らも相当楽しいですし、お客さんも盛り上がってくれる曲なので。

HIROSHI:僕は「コングラッチェ」ですねえ。たしかみんなでアイルランドとイギリスに行ったあとで出たシングルなんですけど。その時、向こうのフェスみたいなのに行って、そこで撮った記念写真がすごく勢いのある感じに撮れたので、その写真をジャケットにしたという。なんかそのことがすごく印象に残ってますね。

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