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「残業月100時間はザラ」 霞が関「働き方改革」の実態と官僚のホンネ


「公務員の自殺はニュースになりくい」 官僚のホンネは


そしてあまり表沙汰にならないホンネについても官僚は語ったという。
〇 庁舎内診療所の精神科は、受診する職員が多く3週間先まで予約が取れない。
〇 若い職員には、月曜から金曜まで帰宅できず庁舎で仮眠する者もいる。
〇 過労が原因と思われる疾病、死亡、自殺等は多いが、労災認定されているかは不明。人事院が発表する数字は少なすぎる印象。
〇 土日いずれか出勤する職員はかなり多い。係員から課長まで偶然出揃って、土日の間に文書の作成指示から決裁まで終えてしまったという例はままある。土日に会議があるなど理由がなければ代休申請ができないため、業務量過多でやむなく土日に処理する場合には、代休も時間外手当も出ない。

「民間のブラック企業での自殺はニュースにはなりますが、公務員の自殺はニュースになりにくく、あまり知られていません」

一体、なぜ、官僚の働き方はこれほどまでに保守的なのか。
岩本氏は、昔と比べて官僚の仕事が面白くなくなったのではと推察する。それでは、仕事
がつまらなくなった理由とは何か。
岩本氏が官僚にヒアリングしたところ、いくつかの問題点が浮上した。
(1)調整業務が多い
(2)内向きの説明資料が多い
(3)クリエイティブな仕事ができない
(4)意思決定に問題があり、説明が多く、仕事がどんどん増えていく

官僚も本心では「働き方改革」を望み、もし残業が減少すれば、現場を視察し、それを政策に活かしていきたいという思いもあるという。しかし、現実には夜遅くまで霞が関に残っているため、現場視察の時間が確保できないという。
「もともと官僚になる人は国のために仕事をしたいという気持ちがあります。今、経済産業省で働き方改革を進めており、生まれた時間的余裕で外部の人と積極的に意見交換し、政策に活かしている話も聞きました」
「残業月100時間はザラ」 霞が関「働き方改革」の実態と官僚のホンネ
経済産業省

今回、岩本氏はクラウド化、ICT化、ペーパレス化、AI・RPAの導入、柔軟なテレワーク・人事制度の導入を提言した。ICTの活用などにより総労働時間減少による超過勤務手当は1,255億円減、国会関係業務合理化による超過勤務手当の102億円減など年間総額1,417億円のコスト削減が見込まれると明らかにしている。
「しかし、そう簡単にはいきません。省庁によってはクラウド化を異常に恐れるところもありますが、今は逆にクラウドの方が安全という声もあるくらいです。その理由は、データを保存しているPCを破壊されればデータがなくなりますが、クラウド化により、データを残せる余地があるのです。経済産業省は数年前からペーパレス化を進展させましたが、まだ、紙文化が残っている省庁も多いです。民間から見ると遅れている部分はまだあります」
「残業月100時間はザラ」 霞が関「働き方改革」の実態と官僚のホンネ
出典:「霞が関の働き方改革に向けて~ICT を活用した長時間労働是正と生産性向上~」

実は岩本氏の提言は民間で実施し、結果を出している内容が多い。テレワークについては、霞が関の利用者数4,460人で全職員の8.6%。週数回テレワークを実施した人数は170人で全体の0.3%に過ぎない。
霞が関の世界では、課長級職員が大臣や局長に対してレク(説明)をする場合、実際に大臣室や局長室に行き、顔を合わせながらすることが大事であるという文化がある。今は、民間ではビデオチャットによるネット会議は常識のように行われているが、霞が関では会うことが大事であるという声は多い。
「民間の最先端の常識が官僚に追いついていない点が見受けられます。前例踏襲型が抜けていないのかもしれません。また、クラウド化した場合、情報漏洩が起きた場合に責任を取ることを恐れているように思えます」

岩本氏はセキュリティーに対してもしっかりしたソフトがあることから情報漏洩の懸念は薄いと見ている。
いろいろと難しい面はあるが、まずは誰がいつまでに何をやるのかを明確化した「霞が関働き方改革ロードマップ」の策定からはじめ、総務省や経済産業省が先進的に進めている働き方改革を各省庁に横断的に共有することを実施すべきと提起する。「実は、経済産業省はRPA導入の検討を開始しました。もし、導入成功に至れば、各省庁にも反映される可能性があります。私が提案した技術的なことは、やろうと思えば今すぐにでもできることです」
一方で制度面での能力評価の運用、組織の効率性評価の導入、人事運用の弾力化、勤怠管理などについては「時間がかかりそう」とのことだ。

現在、安倍晋三首相は、「働き方改革」を主導しているが、霞が関ではまだ技術・運用面でも遅れている。しかし、霞が関がもっと効率よく、生産性を向上できる働き方を実現できれば、民間にも反映できるだろう。今、民間で働き方改革を推進し、余った時間はイノベーションを実現するために使うというイノベーティブ人材に成長しようという試みもなされている。ちょうど経済産業省でも、イノベーティブな仕事をするためにはどうすれば良いかと検討に入ったと岩本氏は明かした。誤解をしてほしくないのは、霞が関全体で働き方改革が遅れているわけではなく、省庁によっては先進的な取組みもなされているということだ。
縦割り行政を超えて横断的な働き方改革を推進すれば、創造的発想を抱く革新官僚が次々と誕生するだろう。青雲の志を持ち、社会のためになる政策立案することが本来の霞が関ではないだろうか。自由で革新的な発想を持ち、霞が関の仕事が楽しくなり、日本国家全体の働き方も大きく変わっていくことを切に願う。
(長井雄一朗)
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