コミケって一体何? 来場者数50万人以上の日本最大級のイベントに迫る
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オタクというとマイナスなイメージを持っている人もいるかもしれないが、今やオタク文化は日本を代表する文化の1つと言ってもも過言ではない。そんなオタクの人はもちろん、そうではない人たちまでもが参加し、楽しむことができるのがコミケだ。年に2回開催されるイベントには毎回多くの人が来場し、50万人を超えることも珍しくない、日本最大級のイベントだ。今回はそんなコミケについて基本情報から紹介していく。


コミケとは


コミケって一体何? 来場者数50万人以上の日本最大級のイベントに迫る

コミケとは、正式にはコミックマーケットといい、世界最大規模の同人誌即売会として、さまざまな同人誌が販売されている。

同人誌とは同じ主義や志を持った人が自分たちの作品を共同で発表する雑誌のことだ。あくまでも自分たちの作品を発表するということが目的であり、営利目的とはしていないため、本屋などで販売されることは基本的にはない。

簡単にいうならば、自分たちの好きなことに関して、自分たちで作る雑誌が同人誌ということである。ひとえに同人誌といっても、漫画やアニメ、ゲームなどをはじめとして、さまざまなジャンルに関するものが販売されていて、誰もが知っている有名なアニメや漫画をテーマにした2次創作の同人誌もあれば、ものすごいニッチな分野に関する同人誌までその範囲は多岐に渡る。

コミケは8月のお盆の時期の週末と、12月の仕事納め後〜大晦日にかけて、それぞれ3日間ずつ行われる。会場は東京都江東区にある東京国際展示場(通称東京ビッグサイト)で開催される。東京ビッグサイトは、1996年に中央区晴海にあった東京国際見本市会場が移転してきたもので、総展示面積は約9.5万平方キロメートルにも及ぶ。
コミケの他にも、東京モーターショーや就職活動のための合同企業説明会などが行われている。

コミケが最初に開催されたのは1975年で、実は40年以上の歴史を持つ古いイベントなのだ。後述するが、当初は現在のように何十万人もの人が訪れる大きなイベントではなく、初回の来場者は約700人、会場は東京虎ノ門の日本消防会館会議室だった。その後、会場や開催時期を変えつつも回数を重ねていき、現在では東京ビッグサイトで夏と冬の年2回開催が定着している。

ちなみに、コミケは2018年の冬に行われるもので95回を迎える。コミケの回数に関してはコミックマーケットの頭文字であるCをとってC95のようにCの後に回数を表示するのが一般的だ。

そして、2019年のC96、C97に関しては従来3日間行われていたものが4日間に伸びることが発表されている。これは東京オリンピックの影響で、東京ビッグサイトの増改築工事が行われることに伴い利用できないエリアが出てきてしまうためだ。出展数を減らしたくないという運営側の考えもあり、4日間の開催が決まっている。
会場に関しても、従来の東京ビッグサイトも使うが、青海展示棟の2箇所に分散する形となる。


50万人以上が訪れる日本屈指のイベント



近年、コミケが開催されたことをニュース番組などで見かける機会も多くなってきた。オタクのイベントがなぜニュースに? と思う人もいるかもしれないが、コミケは日本でもトップクラスの来場者数を誇る非常に大きなイベントなのだ。

先述の通り、1回目こそ来場者数は少なかったものの、回を重ねるごとに徐々にその数は増加。C18で初めて1万人を超えると、C36では10万人を突破。以降は多少増減はあるが右肩上がりに来場者は増えていき、C38で20万人、C50で30万人、C52で40万人、C66で50万人を突破している。近年では50万人がコンスタントに来場しているなど、日本の一大イベントの1つとなった。ちなみに、直近のC94(2018年夏)では約53万人が来場。記録的な暑さとなっている2018年だが、それでもコミケには多くの人が訪れた。ちなみに、53万人という数字は鳥取県の人口(約56万人)とほぼ同じだ。

来場者数の多さに加え、出版社やテレビ局、制作会社、ゲーム会社などの大手企業がブースを出展するほか、近年では叶姉妹や神田沙也加、西川貴教、小林幸子、ハライチ岩井勇気など芸能人も参加しており、オタクの枠を飛び越えて多くの人が楽しむイベントになっている。

そのほかにも、コミケがシンポジウムを開催したり、官公庁や大学関係者がコミケの視察に訪れることもあり、社会に与える影響も決して小さくはないと言える。

これだけ多くの人が来場するイベントということもあり、その経済効果は非常に大きく、一説には180億円とも言われている。1回のコミケのためにお金を貯め、数十万円単位で同人誌を購入する人も少なくないため、一度のコミケで大量のお金が動いているのは間違いない。

たくさんのお金を使う人がいれば、稼ぐ人もいる。同人誌の制作、発表を目的としてグループ単位で活動している人たちのことをサークルと呼ぶが、サークルの中にはコミケにおける同人誌の販売数が多いものもあり、コミケへの出展だけで生計を立てている人もいるほどだ。
しかし、大半の出展サークルは赤字になることがほとんど。あくまでも自分の好きなものを作品として発表するということが重視されていることがうかがえる。

ちなみに、現在コミケの出展サークル数は3万を超えており、自分の欲しい同人誌がどこで販売されているのかを把握するだけでも非常に大変だ。そのため、コミケでは冊子版のカタログのほか、専用のアプリまで用意されている。


コミケでできること


コミケって一体何? 来場者数50万人以上の日本最大級のイベントに迫る
画像はコミックマーケット公式サイトのスクリーンショット

ここまで読んで、とりあえずコミケが大規模のイベントであることが理解できただろうか。
では、そんな大きいイベントでは何ができるのだろうか? ココではコミケでできることについて紹介する。

サークルとして出展し販売する


まず、1つは出展側として楽しむというものだ。自分の好きなもの、自分の伝えたいことを作品として1つにまとめ、同人誌として販売する。ニッチなジャンルなどは購入してくれる人は多くないかもしれないが、自分と全く同じ趣味嗜好を持っている人と出会える可能性もある。

また、何年も出展していると、サークルのファンも生まれてくる。毎回の作品を楽しみにしてくれているファンと関わることができるのも楽しみ方の1つだろう。

ちなみに、出展をする場合に注意しなければいけないのが、出展ジャンルだ。コミケではジャンルコードというコードによって同人誌の分野が分類されている。サークルであれば会場のどこにいつでも出展できるというわけではなく、ジャンルコードで出展場所、出展日が決まっているのだ。

時代やその時の流行によって同人誌の内容が変わってくるため、毎回同じというわけではない。また、漫画などの同人誌であれば、漫画雑誌単位、作品単位などでジャンルコードが分かれている。


一般参加者として同人誌を購入


出展側ではなく、同人誌を購入するお客側(一般参加者)としても楽しむことは可能だ。先述の通り、出店数は3万を超え、さらには企業ブースなども用意されているため、3日間あっても時間が足りないと感じるかもしれない。

自分の好きな作品の同人誌を購入することはもちろん、予想もしていなかった新しい作品に出会える可能性がある。

コスプレをする、撮影する


コミケで、漫画やアニメのキャラクターのコスチュームを着用してコスプレを楽しむこともできる。コスプレに関しては専用のエリアが用意されていて、自らコスプレをすることもできれば、カメラで撮影することも可能だ。

コスプレイヤーの中には完成度が非常に高く本物かと思えるような人もいれば、話題のニュースをネタにしたコスプレをする人もいる。

ちなみに、コスプレに関してはいくつかの注意事項があり、ものを振り回したり、投げることは禁止されているほか、決められた更衣室以外での着替えも禁止されている。また、コスプレのままで会場にやってくること、帰宅することもできない。

コスプレによっては露出が激しいものもあるが、露出についても、下着をつけていないコスプレ、下着が透けているコスプレは禁止されている。

撮影側にもルールがあり、無断で撮影することができない(コスプレイヤーに許可をもらう)ほか、ローアングルからの撮影やポーズの強要なども禁止だ。

ただ、ルールをしっかりと守れば自分の好きなキャラクターが目の前に現れるため、楽しむことができるはずだ。

ちなみに、C94ではTBSの宇垣美里アナウンサーがコスプレをしていたことが話題になった。




コミケはさまざな形で参加し、楽しむことができる。仮に何も同人誌を買わないとしても訪れるだけでもコミケ独特の雰囲気を堪能できるはずだ。


熱気が作り出すコミケ雲


多くの人が集まることに加え、夏のコミケは気温の高さもあり、会場は熱気が溢れている。その熱気が形となって現れたことがある。それがコミケ雲だ。

コミケ雲とは簡単にいうと、コミケ参加者によって会場の湿度が上がったことによってできる雲のこと。
多くの来場者で埋め尽くされている地面付近では、参加者の汗などによって水蒸気が発生する。この水蒸気は空気と一緒に上昇していく。天井付近は空調によって空気が冷やされているため、水蒸気が凝結し水滴化され雲になるというわけだ。

にわかには信じがたい雲であるが、直近だと2013年に行われたC84において目撃談が流れている。









綺麗な青空に浮かぶ雲とは違い、人によっては不快に感じるかもしれない雲だが、それだけコミケには多くの熱気が溢れているということだ。


ちなみに、夏のコミケでは汗を大量にかいてしまうため、たびたび来場者の体臭が臭いと話題になることがある。
もちろん、ちゃんと汗対策として制汗剤やボディペーパー、着替えなどを用意している人もいるが、中には何も対策をしていない人もいる。さらに稀にお風呂がそもそも嫌いで風呂に入らずに来場する人もいるんだとか。


コミケに参加するには


コミケって一体何? 来場者数50万人以上の日本最大級のイベントに迫る
画像出典:Amazon.co.jp「コミックマーケット 90 カタログ

では、コミケに参加するにはどうすればいいのだろうか。簡単に説明する。

出展する場合


サークルとして出展する場合は事前に申し込む必要がある。参加申し込みは専用の申込書で郵送もしくはオンラインによってできるので、要綱に沿って情報を記入して提出すれば申し込みは完了だ。ちなみに、申し込みが完了したら受付確認の手紙を受け取るか、オンライン上で確認することができる。

コミケに出展するサークル数は3万を超えるが、実は申込数はそれ以上に及ぶ。つまり、申し込んだからといって必ず出展できるわけではないのだ。

申し込みをしてしばらくたつと当落選の通知が届く。ここで当選すると無事に出展可能となる。


コスプレをする場合


コスプレイヤーとして参加する場合は、参加料金として1,000円を支払えば誰でも参加することができる。ただし、更衣室が混むので、先行入場(優先的に着替えができる)という制度が用意されている(先行入場に関しては事前申込、抽選)。


一般参加


同人誌を購入するなどの一般参加の場合は、特に制限などはない。ただ、事前にカタログを読んでおくようにしておきたい。また、徹夜を含む前日から並ぶ行為は禁止されている。
持ち物は
最後にコミケに参加する際に持って行った方がいいものをいくつか紹介する。これから初めて参加しようとしている人は参考にしてみてほしい。

・飲み物
・食べ物
・タオル
・帽子
・防寒具(冬開催の場合)
・お金(1,000円札、小銭は100円玉と500円玉を多めに)

会場周辺にはコンビニはあるが、50万人以上が来場するため、商品はあっとういまになくなってしまう。そのため、飲み物や食べ物は事前に用意しておくようにしよう。また、夏の場合は汗をふくためのタオルや日差しよけの帽子も欠かせない。
一方で、冬場は寒空のもとで外で待つこともあるので、防寒対策は必須だ。
そして、同人誌を購入したいのであれば、細かいお金を用意しておくようにしよう。一般的には1,000円札と小銭を用意し、お釣りが必要ないようにしておくと、出展者も助かるはずだ。


まとめ


今回は、コミケについてその概要を紹介してきた。オタクの祭典とも言えるビッグイベントだが、オタク以外でも参加することは可能だ。もしかしたら自分の趣味にぴったりあう同人誌がみつかるかもしれない。ぜひ、日本最大級のイベントを体感してみてほしい。
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