Web会議ツールはここまで進化! 無料版でも十分使えるサービスまとめ

PCやタブレットを用いた「Web会議」は、最近では特別なことではなくなってきている。
未経験の人でも、「Skype」「Googleハングアウト」「Zoom」などのサービスくらいは聞いたことがあるのではないだろうか。


特別な機材は必要ない。ネットにつながったPCやタブレット、スマートフォンさえあれば、どこでも誰とでもコミュニケーションができるうえ、テレワークを推進する「働き方改革」には欠かせないものとして、あらためて注目を浴びているのだ。

たとえばアドビシステムズでは、会議室を利用せずに、個人デスクで「Adobe Connect」というWeb会議システムを利用して、PCのWebカメラを利用したフレキシブルなWebミーティングを行っている。こうしたビジネススタイルは珍しいものではなく、今後ますます増えていくだろう。

近年はますます進化を続けており、遠隔地にいる相手の顔を見ながら会議できるのは当たり前、コラボレーションワークやセミナー、営業など、様々なシーンで役立つツールが登場している。
本記事では、今どきの「Web会議」ツールの最新動向を紹介してみたい。


「テレビ会議」と「Web会議」の違いは


ところで「WEB会議」とは別に、「テレビ会議」というジャンルも存在する。どちらがいいかなどと両者の比較記事もあるので、混乱してしまうかもしれない。まず「Web会議」と「テレビ会議」の違いを整理しておこう。

じつは境界は曖昧になってきてはいるものの、一般的には「テレビ会議」はカメラやマイクのついた専用機材とディスプレイをセットしたシステムのこと。会議室などに設置されることが多い(ただし移動可能なシステムもある)。使い方としては、基本的には同じ機材を設置した拠点同士を結ぶものである。専用機なので、会議の参加者にPC等の知識がなくても使うことができる上、販売会社のメンテナンスも手厚い。


Web会議ツールはここまで進化! 無料版でも十分使えるサービスまとめ

以前は「Web会議」と比較して、機能、画像・音声の品質、セキュリティが高品位だと言われていた「テレビ会議」システムだが、最近ではその差はだいぶ小さくなりつつある。むしろ、両者の大きな違いはその機動性にあると考えるべきだろう。

「テレビ会議」は専用機材が置かれた場所間をつなぐ、言わば固定電話のような存在だ。一方、「Web会議」は、PCやタブレット等があれば接続相手はどこにいてもいい。コラボレーションツールや、営業ツールとして注目されている理由はそこにある。

両者は、性格が異なる存在であって、本来「テレビ会議」と「Web会議」は競合するものではない。
「テレビ会議」から「Web会議」サービスに接続できる相互乗り入れもスタートしており、使用目的によって使い分けるツールと考えるべきだろう。
 

500人のセミナーも開催可能


最近提供されている「Web会議」サービスを見ると、会議に同時参加できる「上限人数」の増加がめざましいことに気づく。従来の「Web会議」は、せいぜい2、3人で行うものというイメージだったが、もはやそれは当てはまらない。

世界的に利用者が急増しているサービス「Zoom」の同時参加可能な人数は、なんと最大500人(有料プランへの加入とオプション料金が必要)。無料版でも、最大40分という制限はあるものの、100人まで参加できる。つまり、これはもう「Web会議」を超えて、「Webセミナー」用ツールと呼べるサービスなのだ。

「ウェビナー」機能(Webとセミナーを合わせた造語)を使えば、ビデオ出席者が最大100人、閲覧だけできる出席者は最大1万人まで参加可能という。
こうした機能を使えば、アイディア次第でさまざまなビジネスを展開できる可能性がある。
他のサービスでも同時参加人数は増加傾向にある。無料版でも1対1の会議しか対応していないようなサービスはむしろ少数派だ。
「Skype」は25人まで(『for business』では250人まで)、「Googleハングアウト」はビデオ会議の場合は25人まで(音声のみなら150人まで)参加可能。通常の会議なら、この程度の人数で十分対応できるだろう。

できるだけ簡単に会議を始めたい


「Skype」や「Googleハングアウト」は、原則的にそれぞれ「マイクロソフトアカウント」や「Googleアカウント」を持っているメンバー同士を結ぶ(『Skype for Business』、『G Suite』版『ハングアウト』ではゲストの招待が可能)サービスなので、ユーザー数という面では最も普及していると言える。

ただし接続相手が必ずアカウントを持っているとは限らないので、会員登録もアプリのインストールも不要なサービスも登場している(主催側はアカウント登録が必要な場合もある)。


基本的には、会議室を作ると発行されるURLを相手に送るだけ。参加者はそのURLにアクセスするだけで会議に参加できる。こういったサービスとしては、「appear.in」「BizMeeβ」「SOBA meeting」などがあり、どれも無料で利用できるので、一度体験してみてほしい。拍子抜けするほど簡単にWeb会議を始めることができる。

この方向性をさらに発展させ、主にBtoBのセールスやユーザーサポートなどに活用できるサービスも登場している。
セールス用Web会議サービス「ベルフェイス」の接続手順を紹介しよう。
まず、セールス担当者が顧客に電話して、ブラウザで「ベルフェイス」を検索してホームページから「接続ナンバー」を取得してほしい旨を要請。画面に「接続ナンバー」が表示されたら、電話口で読み上げてもらう。セールス担当者が手元の画面に接続ナンバーを入力すれば、即ビデオチャットがスタートする。接続先の顧客に負担を与えず、電話を併用することでスピーディにセールストークを開始できるユニークな仕組みだ。

今後とも、セールス向けにチューニングされたWeb会議ツールの市場は伸びていくと思われる。

資料や手書きを共有しよう


最新のWeb会議サービスは、会議の進行を助ける「情報共有機能」を充実させている。
たとえば「画面共有」はほとんどのWeb会議サービスに実装されている。参加者のディスプレイに表示されている映像を他の全員で共有できる仕組みで、無料のサービスでも、標準で利用できる。共有した画面にマーカーを引いたり、コメントを入れる機能なども、スムーズな議事進行の助けになるだろう。

参加者のPCのキーボードやマウスを一時的に操作できる「リモートデスクトップ」機能を持つサービスもある。ユーザーサポートなどで特に威力を発揮しそうだ。「Zoom」なら、無料版でも利用できるので、興味のある方はぜひ体験していただきたい。

自由に文字や図形を書き込むことのできる画面を共有する「ホワイトボード」機能も便利。
マウスでも使えるが、デバイスがタッチパネルでペン入力に対応していれば、参加者がホワイトボードを取り囲んでいるような感覚で使うことができる。
こうした機能の多くは、当初は有料サービス向けだったが、最近は無料版にも普通に搭載されるようになってきている。「Zoom」「BizMeeβ」「V-SESSION」などで利用できるので、未体験の方は実際に触ってみるといいだろう。

オンラインホワイトボードに特化した独立サービスも存在しているので、使い慣れた「Web会議」と組み合わせて使う方法もある。

社内にいても活用できるWeb会議


こうしたツールを駆使することによって、「Web会議」はすっかり日常のビジネスに定着してきた観がある。いっそのこと毎日使っているツールに統合しまえばもっと便利になるのでは、という発想も出てくる。

ビジネス用チャットツールとして人気の「チャットワーク」には、ビデオ通話や画面共有ができる「チャットワークライブ」が標準で搭載されている。無料版では1対1の対話しかできないが、有料版の場合は最大14名が参加可能だ。チャットでのやりとり中に、画面共有や対話が必要になった場合、シームレスに切り替えることができるのは便利だ。

世界標準チャットツールに育ちつつある「Slack」もビデオ通話が可能だ。「Zoom」「ハングアウト」「join.me」などの他の「Web会議」サービスと連携するプラグインも用意されている。使い勝手のよさが特徴だ。

社内システムと連動させる方向にも進んでいる。セールス向けサービスの「Chime Meetings」などは、イントラネット内のポータルやワークグループとの連携をセールスポイントに上げている。

これまでWeb会議と言えば、社外にいる相手とのコミュニケーションのためのものというイメージだったが、ミーティング内容をデータとして残して共有できることを考えれば、社内や部内のコミュニケーションツールとしても存在感を増していくのではないだろうか。

進化し続けるWeb会議サービスを使ってみよう


日々進化する「Web会議」サービス。
簡単接続を強化する方向、同時参加人数にこだわる方向等々、すでに「Web会議」というカテゴリーでくくり切れないほどのバラエティが生まれている。

完全無料のものも豊富で、有料版が主であっても無料版が用意されていることが多い。基本機能は有料版と特に変わりなく使えるので、とにかく試用して自分の目的にあるツールを探すのも楽しいだろう。
コミュニケーションツールを越えて、新たなビジネスのプラットフォームに育ちつつある「Web会議」サービスからしばらくは目が離せそうにない。

(「みんなの仕事場」運営事務局)